自賠責保険と任意保険の違い

1 自賠責保険

車検のときに強制的に付保されるのが自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)と呼ばれるものです。自動車が公道上を走行する際に付保しなければならないもので、俗に「強制保険」とも呼ばれます。

日本の場合には、この自賠責保険が支払いの対象としているのは、「自動車の運行に伴い他人の生命、身体を害した場合」と定義されています。ゆえに物的損害についてはこの保険では一切担保されません。

また「運行」という言葉が登場するのも特徴です。一般的には、運転中に発生した事故と考えればまず間違いはありませんが、簡単に説明をすると、「運行」とは、「当該自動車をその正規の構造用法に従い用いること」を指し、場所的観念としては「車庫から発進して、車庫に格納されるまで」をイメージしていただければ結構です。

具体的には、クレーン車が、作業中に転倒して歩行者を下敷きにして死亡させた場合にも、自賠責保険は一般的には支払いの対象としています。他には、友人を駅まで送っていった際に友人が不用意に助手席のドアを開けたため自転車と接触し負傷したようなケースが考えられます。このように走行中以外でも自賠責は有責になります。

自賠責保険の特徴は、支払いの限度額が決められていることです。

たとえば、傷害事故の場合の限度額は120万円、死亡事故の場合の限度額は3000万円などです。入院雑費や休業損害、慰謝料など損害賠償額計算の単価が大量処理を目的としているため画一化されているのも特徴です。

・自賠責保険は、加害者が請求する場合(加害者請求:15条請求)と被害者が請求する場合(被害者請求:16条請求)があります。いずれにしても加害者、被害者どちらかが損害額を立替支払いしなければなりません。

・過失相殺の考え方が被害者側に非常に有利になっているのも特徴です。これは挙証責任の転換にも通じる部分ですが、一般的には、被害者側の過失が70%以上にならなければ過失減額はされません。また、されたとしても傷害の場合には20%減額、死亡、後遺障害においては20%~50%となっています。これを自賠責保険の「重過失減額」と言います。

簡単に言えば、重過失がないかぎり過失減額されないということです。重過失減額の判定は、損害保険料率算出機構自賠責損害調査事務所において判断されます。よってどのケースが減額されるのかは公表されていません。数値はあくまでも目安です。

2 任意(自動車)保険

・任意保険(自動車保険)とは、その名のとおり、付保するか否かは個人の判断に任されています。任意保険は損害保険各社が販売しており、その種類も損害保険の料率自由化がなされてからは多種多様です。自賠責との違いは、担保種目が人身だけにかぎられない点、いわゆる物的損害の賠償を行うのは任意保険の範疇になります。

保険の種類としては、対人賠償保険、対物賠償保険、搭乗者傷害保険、自損事故保険、無保険車傷害保険、車両保険、人身傷害保険などがあり、その他にも多くの特約が保険会社ごとに用意されており、多種多様な保険が揃っています。

・支払いの限度額も、それぞれの契約によって違ってきます。たとえば、人身については、自賠責保険を超えたものを填補するのが任意保険とされていますが、その限度額は一般的には無制限としているものが多いでしょう(ただ、現在でも稀に限度額7000万円などの契約もあります)。

・物損(対物)の補償においては、自賠責が担保範囲とはしていないため、任意保険が一から支払いを行うこととなります。

・自賠責保険との相違点として大きいところは、商品の種類によっては、示談代行サービスを保険会社側が提供しているところです。現在販売されているほとんどの自動車保険(一部運送会社などの契約を除く)については、対人賠償の示談代行サービス、もしくは対物賠償の示談代行サービスがついています。

具体的には、対人の場合には、任意保険の会社が自賠責保険の支払相当分も含めて代行(一括払いと呼ぶ)を行ってきます。それゆえ、被害者の側から見るとあたかも全て任意保険にて支払いを行っているように見えます。

・過失相殺(減額)も、自賠責とは異なりきっちりと行ってきます。ケースによっては5%刻みでの交渉となります。基本的には現場の状況、両当事者の言い分、目撃者の証言などを総合的に勘案して決定するとされていますが、実際のところ、現実の損保の交渉としては、聞き取りを行い、その状況から判例タイムズに当てはめて過失相殺を判断していきます。裁判所においてさえ、事例によっては実質的な判断ではなく、判例タイムズの事例によることもあるようです。

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