休業損害 裁判例集

休業損害

休業損害は、交通事故により休業したことで、現実に減収があった方に認められるというのが基本的な考え方です。しかし復職後、配置換えなどで従前の収入額を維持できなかった場合にも認められることがあります。

また、事故当時は、無職であり、収入がなかったとしても、すでに就職が決まっていたような場合には、相応の補償が受けられる場合があります。

名古屋地方裁判所平成22年3月17日判決

後遺障害等級第12級7号の足関節の機能障害(疼痛を含む)を残した男性銀行員(営業職)の休業損害について、障害の内容から配置換えを余儀なくされ、営業職のまま就労を継続できていれば得られたであろう職務手当相当額の20か月分が認められた。

裁判例抜粋:

証拠(略)からは、本件事故以降、原告には、職務手当が支給されていないこと、原告は、平成16年11月ころから職場である○銀行○支店に復帰したが、平成17年3月までは松葉杖を使う必要のあったこと、そして、原告は、平成17年4月から融資事務職に従事していたことが認められ、これらから、原告は、本件事故により、同支店内での営業職勤務に支障が生じた結果、原告の症状が固定するまでの間、営業職を全うすれば得られたであろう本件職務手当相当分の損害を被ったというべきである。証拠(略)によれば、月1万5500円の職務手当の20か月分である31万円が、本件事故と相当因果関係のある損害と認めることができる。

名古屋地方裁判所平成23年5月20日判決

定年退職により事故当時無職であったが、事故前にすでに事故後の日を就労開始日とする雇用契約を締結していた被害者が、本件事故受傷のため、就職できなかったところ、雇用契約上の就労開始日から、次の実際の別会社への就職日の前日までの期間を休業期間とし、従前の雇用契約の収入額を基礎に休業損害が認められた。

裁判例抜粋:

証拠(略)によれば、次の事実が認められる。

 

ア 原告は、昭和20年○月○日生まれであり、本件事故日である平成19年4月7日当時、61歳であった。

 

イ 原告は、C自動車工業に勤務していたが、平成18年5月に同社を定年退職し、その後、本件事故当時まで無職であった。

 

ウ 原告は、平成19年4月1日、B自動車及びD株式会社 との間で、雇用期間を同年5月1日から同年7月31日まで、月給を20万円、昇給・賞与は業績による、契約の更新がありえるなどとする雇用契約を締結した(乙1)。
原告は、同年4月7日に本件事故にあったため、結局、同社には勤務しなかった。

 

エ 原告は、平成20年1月15日、A1株式会社との間で、雇用期間を平成20年2月1日から平成21年3月31日、月額の基本給を30万8400円、賞与が毎年6月(対象雇用期間は前年10月1日から当年3月31日)と12月(対象雇用期間は4月1日から9月30日)、で支給額が各回15万円(平成20年6月の賞与は4万8700円)などとする雇用契約を締結した。

 

オ 原告は、平成20年4月1日、A株式会社との間で、雇用期間を同日から平成21年3月31日、月額の給与を30万8400円、賞与が12月と6月で各15万円ずつなどとする営業推進役雇用契約を締結した。

 

カ 原告の平成20年2月1日から同年末までの給与は合計で388万6772円、平成21年の給与は486万2224円であった。

 

以上によれば、原告は、平成19年4月7日から平成20年1月31日までは本件事故のために就労が不可能な状態にあったと認められる(なお、平成20年1月15日にA1株式会社との雇用契約を締結していることから、そのころから就労可能な状態にはなっていたと推認されるが、本件事故のために平成20年2月1日に勤務が開始される契約を締結することになったものと認められるから、同年1月末日までは本件事故により就労できなかったと認めるのが相当である。)。

 

そして、原告が、本件事故当時は無職であり、上記ウのとおりの雇用契約を締結しており、平成19年5月1日より前に就労する予定があったとの主張、立証がないことからすれば、本件事故による休業期間の始期は、平成19年5月1日であると認めるのが相当である。

 

また、原告は、上記ウの雇用契約は一時的なものであったと主張するが、3か月の雇用期間があることからすれば、少なくとも3か月は上記ウの雇用契約に従って勤務する予定であったと認めるのが相当である。そして、平成20年2月になるまでの短期間で、それとは別の職に就く予定があったことについては特段の主張、立証がないから、平成19年5月から平成20年1月までの9か月間は、上記ウの雇用契約により月額20万円、合計180万円を得る予定であったと認めるのが相当である。なお、同雇用契約では、業績により賞与が出ることになっているが、その支給基準などが明らかではないから、賞与が得られたとの蓋然性の立証はないというほかない。また、残業などをしたであろうことも立証がない。

 

したがって、休業損害は180万円を認めるのが相当である。

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