むち打ち

交通事故でむち打ちの症状や治療法、通院期間|適切な治療のために

交通事故におけるむちうちの症状や治療法、期間|適切な治療のために

外部から衝撃を受け、頸部(首)に負担がかかって起こるのがむち打ち症です。

むち打ち症は、医学的に詳しいメカニズムが解明されていない部分も多く、治療が困難なこともあります。

交通事故でケガをした方の8割以上が頸部に損傷を受けていると言われており、交通事故被害でむち打ち症になるケースは非常に多いことがうかがわれます。

ここでは、むち打ち症の症状や治療法、治療期間について解説しますので、むち打ち症になった場合にはどうすればよいのかを知っておきましょう。

1.むち打ち症の症状

(1) 交通事故で最もよくある症状がむち打ち症

「交通事故でむち打ちになった」という話はよく聞くと思いますが、むち打ち症は実際のところ交通事故で最もよくある症状です。

「むち打ち症」というのは正式な診断名ではなく、「頸椎捻挫」「頸部捻挫」「外傷性頸部症候群」「頸部挫傷」などと診断された場合にむち打ち症と呼ばれます。

車の追突や急停車が起こった際、車内にいる人の頭部は、胴体に引っ張られ、鞭を打ったようなS字状の動きをすることになってしまいます。

このS字状の動きにより頸部に損傷が起こることから、むち打ち症と呼ばれるのです。

(2) どんな症状がむち打ち症?

むち打ち症になると、幅広い症状が出ます。

事故後に、以下のような症状が出た場合には、むち打ち症と考えられます。

①頸椎捻挫の一般的な症状

頸椎捻挫により、首の筋肉やじん帯をいためてしまうと、首や肩、背中周辺にコリや痛みが生じます。

②バレー・ルー症状

自律神経の1つである交感神経にダメージを受けることにより発生するのがバレー・ルー症状(バレー・ルー症候群)で、めまい、耳鳴り、息苦しさ、頭痛、後頭部の痛みなどが生じます。

バレー・ルー症状は、事故で直接いためた部位だけでなく、全身に症状が出るのが特徴です。

③神経根症状

事故により首の神経に損傷を受けると、神経が圧迫され、伝達障害が起こることがあります。

その結果、首、手足などのしびれや、力が入らないなどの神経根症状が出ることがあります。

④脊髄症状

事故により脊髄を損傷してしまうと、胸部のしびれ、歩行障害、知覚障害などが起こります。

脊髄の損傷は、重い後遺障害を引き起こすことも多くなっています。

⑤脳脊髄液減少症

何らかの衝撃を受けたことにより、脳と脊髄を覆っている髄液が漏れ出し、頭痛、めまい、耳鳴り、視力障害、味覚障害、倦怠感など様々な症状を引き起こすのが脳脊髄液減少症で、むち打ち症の一つと考えられています。

同様の症状が出た場合、自律神経失調症と診断されることがありますが、交通事故後であれば脳脊髄液減少症の可能性があります。

(3) むち打ち症の症状はすぐには出ない

むち打ち症は、事故直後から症状が出ることはまれで、数日経ってから症状が出始めることが多くなっています。

事故後しばらく経ってから上記のような症状が出た場合には、交通事故との因果関係を疑う必要があります。

交通事故による外傷がなくても、むち打ち症になっている可能性はありますから、事故直後から用心しておきましょう。

2. むち打ち症の治療法

(1) 接骨院・整骨院、整形外科どこに行くべき?

むち打ち症になった場合、「病院に行くよりも、接骨院や整骨院に行った方がよいのではないか?」と考えるかもしれません。

しかし、交通事故が原因と考えられる場合には、まずは病院の整形外科で診察を受けることが重要です。

というのも、事故後早い段階でレントゲンやMRIなどの検査を受けていないと、事故と症状との因果関係が証明できず、損害賠償請求ができなくなってしまう可能性があるからです。

むち打ち症は遅れて症状が出るという特徴もありますから、たとえケガがなくても事故当日に病院を受診しておくのが安心です。

(2) 整形外科での治療

①整形外科におけるむち打ち症の治療法

むち打ち症の初期段階では、安静にしておく必要がありますから、患部を冷やしたりギプスで固定したりする治療を行います。

整形外科では、初期段階のこうした処置を受けることができます。さらに症状が続くようであれば、消炎鎮痛剤の処方やブロック注射などの治療法により痛みなどを抑えることになります。

整形外科での治療法は、個別の症状改善を目的とするため、むち打ち症が治ったとは感じられず、不満に思ってしまうことがあります。

この場合には、整骨院や接骨院、鍼灸院との併用を検討するとよいでしょう。

②整骨院・接骨院・鍼灸院等と併用する場合の注意点

整形外科だけでなく、整骨院等で治療を受ける場合、それが本当に必要な治療なのかどうかがわかりにくいため、後日加害者側とトラブルになるケースがあります。

被害者が整骨院等で治療を受けることにより、賠償すべき治療費が大きくなってしまうと、加害者側は負担が増えるからです。

トラブル防止のためにも、整骨院等へ通院する場合には、先に整形外科で診察を受け、医師の許可を得てからにしましょう。

整骨院等の治療も、医師の指導にもとづくものであれば、通常は治療費を払ってもらえます。

整骨院等での治療を受ける前に、加害者側の任意保険会社に連絡しておくことも忘れないようにしましょう。

(3) 整骨院・接骨院での治療

整骨院や接骨院では、国家資格をもつ柔道整復師が、マッサージや物理療法(電気療法、温熱療法など)による治療を行います。

整骨院・接骨院の治療法は、整形外科で行う対症療法とは違います。

整骨院・接骨院では、ずれた骨を正常な位置に戻したり、自然治癒力を高めたりすることにより、むち打ち症を根本的に治すことを目指します。

(4) 鍼灸院での治療

鍼灸院では、はり師、きゅう師の国家資格をもついわゆる「鍼灸師」が、はり、灸による治療を行います。

はりや灸によってツボを刺激する治療法では、血液やリンパの流れが良くなったり、筋肉の緊張がほぐれたりする効果があります。

整形外科の薬物治療で良くならなくても、鍼灸の施術を受けることで、むち打ち症の症状が改善することがあります。

(5) むち打ち症の治療にかかる期間

むち打ち症は、事故から日数が経ってから症状が出る上に、症状がおさまるまで長くかかってしまうことがあります。

比較的軽症の場合には1~3ヶ月程度で快方に向かいますが、何か月も治療を続けているにもかかわらず症状がいっこうに改善しないこともあります。

もう治らない「症状固定」であると医師が判断すれば、それ以降に残った症状は後遺症となりますから、後遺障害の認定を受けることを考える必要があります。

むち打ち症では、事故後6か月から1年程度治療を続けても症状が改善しなければ、症状固定とされるケースが多くなっています。

3. むち打ち症の治療費は誰が出してくれる?

(1) 交通事故の治療費は加害者側が負担

①任意保険会社から医療機関に直接払ってもらう

交通事故が原因でむち打ち症になった場合、加害者側に治療費を請求できます。

しかし、実際に損害賠償金を受け取るのは、加害者側の任意保険会社と示談が成立した後になりますから、それまで治療費を立て替えしなければならないのかという問題が生じます。

交通事故で医療機関にかかった場合の治療費は、医療機関から加害者側の任意保険会社に直接請求してもらうこともできます。

まずは、医療機関に相談するようにしましょう。

②自賠責保険に仮渡金請求をする

交通事故の治療費を任意保険会社から医療機関に払ってもらえない場合、自賠責保険にお金を請求することを検討しましょう。

交通事故の被害者は、加害者側から支払いを受けられず当座の費用が必要な場合に、自賠責保険に対して「仮渡金」を請求することができます。

請求できる仮渡金の金額は、次の表のとおりです。

死亡事故 290万円
傷害事故
  • 入院14日以上かつ治療30日以上を要する場合
  • 大腿または下腿の骨折などのケガ
40万円
  • 入院14日以上または入院を要し治療30日以上を要する場合
  • 上腕または前腕の骨折などのケガ
20万円
  • 11日以上医師の治療を要するケガ
5万円

なお、接骨院・整骨院・鍼灸院等での治療費も自賠責保険に請求できるかについて、「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」(平成13年金融庁・国土交通省告示第1号)では、「免許を有する柔道整復師、あんま・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師が行う施術費用は、必要かつ妥当な実費とする」とされています。

つまり、国家資格者の行う施術であれば、基本的に自賠責でカバーされることになります。

ただし、トラブル予防のために保険会社に事前に連絡を入れておきましょう。

また、自賠責から支払われる保険金には120万円(傷害事故の場合)という上限があることにも注意しておきましょう。

(2) 交通事故の治療に健康保険は使える?

交通事故でむち打ち症になった場合でも、医療機関において、健康保険を使って保険診療を受けることができます。

被害者としては、「治療費は加害者側に払ってもらうから、健康保険を使う必要もないのでは?」と考えるかもしれません。

しかし、交通事故の大部分のケースで、被害者側にも過失が認められ、過失相殺が行われます。

被害者であっても、自らの過失割合に相当する分の治療費を支払わなければならないことがありますから、健康保険を使った方が安心です。

なお、交通事故の被害者が健康保険を使う場合には、加入している健康保険組合等に「第三者行為による傷病届」を提出する必要があります。

4. むち打ち症が治らなければ後遺障害の認定を受ける

(1) 後遺障害認定を受ければ後遺障害慰謝料等を請求できる

むち打ち症の治療を続けても、あるときから症状が改善せず、治療の効果がみられなくなることがあります。

この場合、症状固定とされてしまい、加害者側からの治療費の支払いが打ち切られることになります。

症状固定した後に賠償金を受けるには、後遺障害の認定を受ける必要があります。

後遺障害認定を受ければ、治療費とは別に、後遺障害慰謝料や逸失利益についての賠償金などを払ってもらうことができます。

(2) むち打ち症で後遺障害認定を受けるには

むち打ち症で後遺障害の認定を受けるには、医師に後遺障害診断書を作成してもらうと同時に、事故と後遺症との因果関係を証明する資料をできるだけ多く揃えた上で、認定申請をする必要があります。

むち打ち症の場合には、事故直後から症状が出ることが少ないため、当初病院を受診しておらず、因果関係の証明が困難になってしまうケースがあります。

交通事故に遭った場合には、むち打ち症が起こる可能性を認識しておき、できるだけ早い段階で医師の診察を受けることが大切です。

また、交通事故でむち打ち症になったけれど、加害者側に治療費を払ってもらえないなどのトラブルが生じている場合には、速やかに弁護士に相談しましょう。

5.まとめ

交通事故が原因のむち打ち症が治らずお困りの方は、弁護士にご相談ください。

交通事故とむち打ち症との因果関係を証明し、後遺障害認定を受けることで、より多くの損害賠償金を得られる可能性があります。

泉総合法律事務所では、後遺障害の認定から示談交渉までトータルにサポートさせていただきます。お気軽に無料相談をご利用ください。

ご依頼をお悩みの方も、一度ご相談ください。
初回のご相談は無料です。
まずはお気軽にお問い合わせください。
0120-260-105
【通話無料】電話でのご相談はこちら
平日 9:00〜22:00 / 土日祝 9:00〜19:00
お問い合わせは全国から受け付けております。