後遺障害 [公開日]2018年7月3日[更新日]2020年4月30日

後遺障害で障害者手帳の申請はできるのか?

交通事故で大きな怪我を負ってしまった場合、完治せず身体の一部機能を失ってしまう(後遺症が残る)ことがあります。

交通事故の怪我で後遺症が残った場合には「後遺障害認定」を申請し、これが認められればその等級に応じた慰謝料等を請求することが可能となります。

一方で、手・足などの身体の一部を喪失した場合や、脊髄への損傷による身体機能障害など、身体に障害を負うと「身体障害者手帳」を申請できると聞いたこともあるでしょう。

では、交通事故による後遺障害で「身体障害者手帳」の申請をすることはできるのでしょうか?
また、どのような身体障害に障害者手帳は交付されるのでしょうか?

今回は、後遺障害と障害者手帳の関係についてご説明します。

1.身体障害者手帳とは

身体障害者手帳は、社会保障法のひとつである「身体障害者福祉法」に基づいて作られました。

身体障害者福祉法に基づく様々な支援は全国共通の福祉政策ですから、障害者手帳はそれを法的に証明するものです。

(1) 障害者手帳交付の条件

厚生労働省は、身体障害者手帳制度の概要について、「身体障害者福祉法に定める身体上の障害がある者に対して、都道府県知事、指定都市市長又は中核市市長が交付する。」と定めています。

一方、身体障害者の自立と社会経済的活動への支援を目的とした身体障害者福祉法は、その4条で身体障害者を「身体上の障害がある十八歳以上の者であつて、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けたもの」と定義しています。

具体的な障害については別表の一覧に示されていますが、身体障害者としての公的な支援を受けるためには、身体障害者手帳を交付される必要があるということです。

一 次に掲げる視覚障害で、永続するもの
  1. 両眼の視力(万国式試視力表によって測ったものをいい、屈折異常がある者については、矯正視力について測ったものをいう。以下同じ。)がそれぞれ0.1以下のもの
  2. 一眼の視力が0.02以下、他眼の視力が0.6以下のもの
  3. 両眼の視野がそれぞれ10度以内のもの
  4. 両眼による視野の2分の1以上が欠けているもの
二 次に掲げる聴覚又は平衡機能の障害で、永続するもの
  1. 両耳の聴力レベルがそれぞれ70デシベル以上のもの
  2. 一耳の聴力レベルが90デシベル以上、他耳の聴力レベルが50デシベル以上のもの
  3. 両耳による普通話声の最良の語音明瞭度が50パーセント以下のもの
  4. 平衡機能の著しい障害
三 次に掲げる音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害
  1. 音声機能、言語機能又はそしゃく機能の喪失
  2. 音声機能、言語機能又はそしゃく機能の著しい障害で、永続するもの
四 次に掲げる肢体不自由
  1. 一上肢、一下肢又は体幹の機能の著しい障害で、永続するもの
  2. 一上肢のおや指を指骨間関節以上で欠くもの又はひとさし指を含めて一上肢の二指以上をそれぞれ第一指骨間関節以上で欠くもの
  3. 一下肢をリスフラン関節以上で欠くもの
  4. 両下肢のすべての指を欠くもの
  5. 一上肢のおや指の機能の著しい障害又はひとさし指を含めて一上肢の三指以上の機能の著しい障害で、永続するもの
  6. 1 から 5 までに掲げるもののほか、その程度が 1 から 5 までに掲げる障害の程度以上であると認められる障害
五 心臓、じん臓又は呼吸器の機能の障害その他政令で定める障害で、永続し、かつ、日常生活が著しい制限を受ける程度であると認められるもの (身体障害者福祉法施行令 第36条)法別表第五号に規定する政令で定める障害は、次に掲げる機能の障害とする
一 ぼうこう又は直腸の機能
二 小腸の機能
三 ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能

なお、身体障害者手帳では、障害の程度に応じて1級~7級までの等級(1級が最も重い等級)が定められていて、身体障害者手帳が交付されるのは1級〜6級です。

単独の障害で最軽度等級の7級に該当する場合には、法的に身体障害者として認定されず身体障害者手帳を交付されることはありません。

7級の障害が2つ以上ある場合には併合して6級に認定されるため、身体障害者手帳がもらえます。

(2) 障害者手帳による支援

身体障害者手帳が交付されることで、割引サービスや補助金などの様々な支援を受けることができます。

また、一度発行されると更新はないため、一生涯使用が可能となります。
つまり、認定された身体障害が回復する見込みはないものであるということが前提となっているということです。

例えば、以下のような割引やサービスが受けられます。

  • 医療費の助成
    国の公費負担医療制度のひとつである自立支援医療の「更生医療」での助成が受けられます。18歳以上の身体障害者が対象ですが、18歳未満の場合には同様の「育成医療」という制度が用意されています。
  • リフォーム費用の助成
    障害者の住環境を改善するため、手すりを取り付けたり、段差を解消したりするなどの住宅リフォーム費用の助成も受けられます。
  • 所得税・住民税・自動車税などの軽減
    一定額の所得控除を受けることができ、所得税や住民税が軽減されます。また、相続税や贈与税での特例、障害者本人が所有する自動車の自動車取得税・自動車税・軽自動車税の減免を受けることもできます。
  • 公共料金などの割引サービス
    鉄道やバスなどの公共交通機関を利用する際、身体障害者手帳を提示することで運賃の割引が受けられます。また、タクシーや飛行機、高速道路の利用料金、NHKの放送受信料、携帯電話会社などの料金割引サービスが受けられます。
  • 公共施設の割引サービス
    美術館や博物館、動物園など多くの公共施設では、手帳を提示して入場料割引が受けられるサービスが充実しています。
  • 障害者雇用枠での就職
    障害者雇用促進法は、従業員数50人以上の一般事業所は全従業員の20%以上に身体障害者または知的障害者を雇用することを義務付けています。身体障害認定を受けると、一般採用に加えて障害者雇用で採用される可能性が広がります。

2.後遺障害で障害者手帳の申請は可能

結論から言うと、交通事故による怪我が原因で身体に障害を負い後遺障害が残った場合、障害者等級に該当すると判断されれば障害者手帳の申請をすることができます。

ただ、後遺障害認定をされたからといって、必ず障害者等級に認定されるとは言えません
例えば、後遺障害等級の中でも軽度とされる14級や12級に認定されても、障害者等級の条件は満たさずに、障害者手帳の交付は認められない可能性が高いでしょう。

[参考記事]

むち打ちの後遺障害認定|12級・14級の違い

また、両者は制度趣旨も目的も異なる全く別の制度で、各々等級の内容や障害の程度も異なりますので、別々に申請しなければなりません。

双方の申請のタイミングや、申請時期による影響などは前もって押さえておく方が望ましいでしょう。

【身体障害者認定・後遺障害認定申請のタイミング】
交通事故による怪我で身体への障害が明らかになった時には、できるだけ早く身体障害認定を申請し身体障害者手帳を交付してもらうことが大切です(身体障害者手帳の申請の手続きは、住んでいる市区町村の障害福祉の担当窓口で行います)。障害が法的に認められ公的なサービス等を享受する権利を取得できれば、障害への負担を少しでも軽くすることが可能だからです。
一方、後遺障害認定への申請には症状固定(治療を継続してもその効果が期待できず、残存する症状が最終段階に達したと判断できる段階のこと)することが必須となりますが、身体障害等級を申請した後も治療は続けられますので、医師と相談のうえで医学的な必要な範囲内において治療をしてから、後遺障害への認定申請をすれば良いのです。
参考:被害者請求はどのように行うのか?開始の手順と準備するべき書類

3.障害者手帳で慰謝料は増額する?

身体障害の等級認定を受け身体障害者手帳を交付されることで受けるメリットは、先述した助成金の交付や様々な支援・サービスが受けられることです。

一方、後遺障害等級に認定されると、交通事故の損害賠償として後遺障害慰謝料逸失利益が請求できるようになります。

[参考記事]

後遺障害14級の慰謝料相場と逸失利益の計算方法

[参考記事]

後遺障害12級の症状と後遺障害慰謝料相場・逸失利益の計算

では、障害者手帳を交付してもらったことにより、このような後遺障害に関する賠償金・慰謝料は増額するのでしょうか?

結論を言うと、身体障害認定と後遺障害認定は、一方の認定結果が他方に影響するということはありません。
先述の通り、身体障害認定と後遺障害認定は全くの別物なのです。

もっとも、高次脳機能障害などの後遺障害認定の場合には、参考資料として障害者手帳を添付することもあり得ます。しかし、それはあくまで参考資料である旨は理解する必要があります。

申請先も認定する機関も異なるため、身体障害認定の結果によって後遺障害認定の等級結果や後遺障害慰謝料が影響を受けるということもないというのはある意味当然と言えます。

4.後遺障害が残ったならばお早めに弁護士へ相談を

身体障害認定と後遺障害認定はそれぞれ異なる制度ですが、交通事故で後遺障害を負った被害者にとっては、いずれの制度も十分利用する価値のあるものです。

後遺障害等級認定制度は、交通事故という不法行為の行為者に対し損害賠償を請求する権利を、被害を受けた人に認めたものです。
交通事故による後遺障害でお困りのことがあれば、弁護士にご相談ください。

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