後遺障害 [公開日] [更新日]

正当な認定等級は1級!交通事故で遷延性意識障害(植物状態)

残念なことですが、交通事故によって重篤な症状となってしまう方は少なくありません。特に、交通事故で頭部に大きな衝撃を受けたときには、重度の意識障害や脳機能障害が残ってしまうこともあります。

遷延性意識障害(せんえんせいいしきしょうがい)もその1つです。

あまり聞き慣れない難しい言葉ですが、いわゆる「植物状態」のことを言います。遷延性意識障害の原因の約5割は、交通事故であると言われます。

今回は、交通事故で遷延性意識障害となった場合の対応について説明します。

1.遷延性意識障害とは

遷延性意識障害は、脳の大部分に壊死や回復不能の損傷が生じる「昏睡状態」となり、意思疎通ができなくなった症状のことを言います。「植物状態」と言われることもあります。

脳梗塞、脳出血、くも膜下出血を原因とすることもありますが、多くは、交通事故のような頭部外傷による脳挫傷が原因です。

(1) 遷延性意識障害の診断基準

日本脳神経学会では、以下に掲げる6項目が3ヶ月以上継続した場合に、遷延性意識障害と診断するものとしています。

  • 自力移動ができない
  • 自力摂食ができない
  • 失禁がある
  • 眼球は動いていても認識することができない
  • 簡単な命令には応じることもできるが、意思疎通ができない
  • 声を出しても意味のある発語ができない

(2) 遷延性意識障害の治療には、十分な補償が必要

遷延性意識障害となれば、24時間の介護が必要となります。また、回復の可能性がないわけではありませんが、長期間の治療・介護が前提となることが一般的です。

しかし、現在の医療制度では、3ヶ月以上の入院は難しいことが少なくありません。長期の治療となれば転院を繰り返す必要が生じます。

また、転院先が見つからずに、在宅介護を余儀なくされるケースも少なくありません。

在宅介護となると、介護ベッドなどの必要なものを揃えなければならないだけでなく、自宅をリフォームしなければならないこともあります。また、家族だけの介護には限界があるため、訪問診療、訪問介護、ヘルパーの利用も必要となり、経済的な負担は小さくありません。

なお、ヘルパーは医療行為ができないため、在宅介護では、家族の支えが必要不可欠になりますから、精神的負担、肉体的負担も計り知れません。

被害者にできるかぎりのことをしてあげるためにも、十分な補償を得ることが何よりも大切です。

2.成年後見人の選任

遷延性意識障害となった方は、意思表示することができないため、自分で契約締結などの法律行為を行えません。

法律行為は、損害賠償請求だけにかぎらず、介護施設の入所契約も含めて日常生活のあらゆる場面に関係するので、早期に対応する必要があります。

この場合は、被害者が未成年であれば、両親が法定代理人として法律行為を行うことができます。

しかし、被害者が成人である際には、成年後見人を選任しなければなりません。

成年後見人の選任は、家庭裁判所に成年後見の申立をすることで行います。

家族を後見人に選任してもらうことが一般的です。しかし、遷延性意識障害のケースでは、高額の損害賠償金の管理が必要となるので、弁護士を後見人として選任することを考えてもよいかもしれません。

成年後見の申立についても、弁護士にご相談いただけます。

成年後見人選任後は、家庭裁判所の監督の下で、被害者に代わって、財産を管理し、介護施設などの入所契約を行うことになります。

3.損害賠償の交渉

遷延性意識障害となったケースでは、十分な補償を受ける必要があることは、すでに触れたとおりです。

そのため、事故発生後、できるだけ早い段階から、交通事故の実績が豊富な弁護士による適切なサポートを受けることをおすすめします。

(1) 遷延性意識障害の等級は?

遷延性意識障害のケースでは、症状固定以後も長期間の介護が必要となります。そのため、他の交通事故のケース以上に、後遺障害に対する補償が重要です。

後遺障害に対する補償額は、後遺障害等級の認定によって決まります。

遷延性意識障害と診断された場合は、最も重い後遺障害等級1級の認定となるのが一般的です。しかし、後遺障害等級の認定は、「書面による定型審査」で行われます。

つまり、後遺障害等級1級相当の症状があったとしても、書類が不十分であれば、後遺障害等級2級・3級に認定されてしまう可能性があります。

万が一、後遺障害等級2級や3級と認定されてしまうと、損害賠償の総額は、1級に認定された場合と比べて数千万円単位の違いが出る可能性もあります。

後遺障害等級の認定手続には、相手方の保険会社に任せる「事前認定」と被害者側が自ら行う「被害者請求」の2つの方法があります。

事前認定では、書類不備に気づけない(保険会社が不備・不十分を指摘してくれない)可能性もあります。また、医師が後遺障害等級の認定のための診断書作成に不慣れなケースもあるかもしれません。

したがって、十分な補償を得るためにも、交通事故案件の経験が豊富な弁護士のサポートを後遺障害等級認定の段階から得ておくと非常に安心です。

(2) 損害賠償額をめぐる交渉

遷延性意識障害のように損害賠償が高額となるケースでは、当初から訴訟提起を視野に入れる必要があります。

保険会社が提示する損害賠償額の基準には、①自賠責基準、②任意保険基準、③裁判基準の3通りあります。①が最も金額が低く、③が最も高額です。

訴訟提起せずに満足できる補償を得るためには、示談交渉の段階から交通事故案件の経験が豊富な弁護士を介して、保険会社としっかり交渉することが不可欠です。

また、遷延性意識障害のケースでは、次のように、一般の方が取り扱うには非常に難しい問題について、保険会社と十分に議論しなければならないこともあります。

【参考】慰謝料が2倍、3倍、1000万円差!?弁護士基準と任意保険基準は大違い

①過失割合の認定

被害者本人が意思表示できないため、交通事故時の状況について、加害者側の一方的な主張に基づいて不利な過失割合が認定される可能性があります。

弁護士にご依頼いただければ、実況見分調書を精査し、実際に現場を確認するなどして、保険会社側と対等に交渉することが可能になります。

②損害額の算定をめぐるいくつかの問題

次に、損害額の算定をめぐっても保険会社と対立することが少なくありません。

わが国の損害賠償制度は、原状回復を前提としています。つまり、「実際に損害が生じた分」のみ賠償されるという考え方です。

しかし、後遺障害部分の損害賠償は、「将来の不確かなこと」に対する損害賠償なので、その額をめぐって、加害者側(保険会社)と被害者との間で争いになることが珍しくありません。

たとえば、保険会社は、次のようなポイントについて、被害者に不利な主張をしてくる可能性があります。

  • 生活費控除(遷延性意識障害の方は健常者よりも生活費が少ないという主張)
  • 在宅介護の蓋然性(現在は入院・入所しているのだから、将来のリフォーム費用、ヘルパー費用などは不要という主張)
  • 余命制限(遷延性意識障害の方は健常者よりも平均余命が短いという主張)

いずれの論点についても、現在の判例は被害者側に有利な立場を採用していますが、訴訟では、最近の裁判動向に目を配りながら、適切に反論する必要があります。

③将来の介護費用を一時金と定期金のいずれで受け取るべきか

遷延性意識障害の方の介護は長期にわたります。将来の介護費用については、必要な補償を包括的に1回払いで受け取る方法(一時金賠償)と継続定期的に受け取る方法(定期金賠償)のいずれが有利かは、判断の難しい問題です。

実際に一時金と定期金のいずれを採用すべきかで、保険会社と争いになることも珍しくありません。

一般的には、介護期間が確実に長くなるのであれば定期金賠償の方が、公平で合理的と言えるでしょう。

しかし、定期金賠償となれば、被害者の症状によっては、受け取れる総額が一時金よりも少なくなる場合もありますし、保険会社が破綻して定期金が受け取れなくなるといったリスクがないわけでもありません。

また、損害賠償額をめぐって争うことになった保険会社と長期間つきあうことが精神的に大きな負担となることもあるかもしれません。

それぞれのご事情に応じて慎重に検討することが大切です。弁護士にご相談していただければ、それぞれのケースで最も適切な受給方法についてアドバイスすることも可能です。

4.まとめ

遷延性意識障害となったケースでは、十分な補償を得ることが、被害者にとって何よりも重要です。また、経済的な負担だけでなく、被害者を支える家族の精神的負担も小さくありません。

弁護士にご依頼いただくことは、適切な補償を受けられる可能性を高めるだけでなく、精神的なご負担を軽減させることにもつながります。

交通事故に遭ってご不安に思うことがありましたら、できるだけ早い段階で、交通事故案件の解決実績が豊富な泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。ご状況に応じた適切なアドバイス、そして万全のサポートをお約束いたします。

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