後遺障害9級の慰謝料相場と逸失利益

交通事故に遭って、その後、治療を続けても限界があります。後遺症が残ってしまう場合、その程度によって1~14の等級により、後遺症認定されます。
ここでは、9級と認定された場合の慰謝料相場と逸失利益について説明していきたいと思います。
1.後遺症9級とは?
1号 | 両眼の視力が0.6以下になったもの |
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2号 | 1眼の視力が0.06以下になったもの |
3号 | 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの |
4号 | 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの |
5号 | 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの |
6号 | 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの |
7号 | 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの |
8号 | 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの |
9号 | 1耳の聴力を全く失ったもの |
10号 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの |
11号 | 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの |
12号 | 1手のおや指又はおや指以外の2の手指を失ったもの |
13号 | 1手のおや指を含み2の手指の用を廃したもの又はおや指以外の3の手指の用を廃したもの |
14号 | 1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの |
15号 | 1足の足指の全部の用を廃したもの |
16号 | 外貌に相当程度の醜状を残すもの |
17号 | 生殖器に著しい障害を残すもの |
2.慰謝料相場と逸失利益
(1) 自賠責保険の保険金額
自賠責保険基準では616万円となっています。
しかしながら、自賠責基準は最も金額の小さい基準です。
(2) 赤い本基準
赤い本とは、裁判所や弁護士などが用いる交通事故に関する損害賠償額の算定基準をまとめた書物です。
通常、訴訟や弁護士の入った交渉においては、この本の基準が参考とされます。
①後遺症慰謝料
これだけで、690万円です。
なお、自賠責基準は後遺症慰謝料と後述の逸失利益とを合計した金額です。
②逸失利益
逸失利益は、基本的に次のような公式により算定されます。
逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に相当する係数
(ア)基礎収入
基本的に事故前の現実に得ていた収入を基礎に算定します。
(イ)労働能力喪失率
これが、後遺症の等級によって変化します。
9級の場合は35%が喪失するものとして一般的には考えられています。
(ウ)労働能力喪失期間
労働能力喪失期間の始期は、症状固定日です。その終期は原則として67歳と考えられています。
もっとも、被害者の職種や地位などから、これと異なった判断をされる場合があります。
そして、損害賠償として前払いしてもらえる関係で、中間利息を控除しなければ公平とは言えませんので、その点を考慮した当該労働能力喪失期間に相当する係数により算定します。
この係数は、ホフマン式を採られていた時期もあったようですが、現在はほぼライプニッツ式が採用されております。
(エ)参考
たとえば、40歳(症状固定時)の専業主婦の方が交通事故により後遺症9級に認定された場合は次のように算定します。
基礎収入(=372万7100円)×労働能力喪失率(=35%)×労働能力喪失期間27年に相当するライプニッツ係数(=14.643)≒1910万1574円(小数点以下四捨五入)
3.まとめ
このように、後遺症9級のように重い後遺症が認定された場合、自賠責基準と赤い本基準では後遺症部分だけを見ても大きな差が出てきます。
弁護士費用を仮に控除しても、弁護士に依頼するメリットは大きいです。
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