後遺障害 [公開日] [更新日]

事前認定に対する異議申立てとは?|方法と注意点

事前認定に対する異議申立てとは?|方法と注意点

交通事故で自賠保険に対して後遺障害認定を申請した場合、非該当となったり、認定された等級に納得がいかなかったりという被害者の方も多くいらっしゃるようです。そんな時はどうすればいいのでしょうか?

今回は、後遺障害認定に不服がある場合に執ることができる手段のひとつ、異議申立について理解を深め、後遺障害への認容を高めるためにどうすべきかを解説します。

1. 後遺障害認定への異議申立

(1) 再審査するのは外部の専門家で構成された機関

後遺障害申請への結果に対する不服申立の制度として、異議申立という方法があります。

後遺障害認定を損害保険料率算出機構に申請すると、その審査は同機構内の自賠責損害調査事務所という機関が行います。

一方、異議申立の場合、申請は同じ損害保険料率算出機構にしますが、具体的な審査は同機構内の自賠責保険審査会という機関が行います。

この審査会は、審査の客観性・専門性を確保するため、弁護士・専門医・学識経験者など外部の専門家で構成されます。

この公正さを担保した審査会において、認定の判断をもう一度求める制度が異議申立なのです。

(2) 異議申立の厳しい現状

異議申立の審査は、一度下した判断を再審査することになるわけですから、最初の後遺障害申請に比べ審査が厳しい傾向にあると言わざるを得ません。

異議申立をして認定の判断が変わる可能性は、全体の5%程度というデータも公表されています。

また本来、自賠責保険の後遺障害認定等級には厳格な基準が設けられているため、それを満たすための要件が十分に揃って初めて認定が下ることになります。

(3) 異議申立の具体的手順

実際に異議申立を行う場合には、申請結果の分析によって考えられる不足部分について病院や医者に医療照会などを行い、異議申立に必要な医証を収集しなければなりません。

また、被害者に残存する症状が認定基準を満たしていることを主張するためには、医師の意見書新たな後遺障害診断書などを添付しなければならないでしょう。

これら証拠に基づき異議申立書を作成するのですが、添付できる書証の内容が前判断を覆すだけの証拠となるかどうかを見極めたうえで異議申立をすることが重要です。

このように、有効な異議申立をするためには、多くのハードルとなる手順を踏まなければなりません。

初回申請の際に非該当となった原因を分析、解明し、認定基準を満たすだけの新たな証拠を提示することには専門的な要素が非常に多くなります。

さらに医療関係者との交渉も必要となるため、専門家である弁護士に相談し委任することをお勧めします。

2.後遺障害認定と異議申立の方法

(1) 後遺障害認定申請の2つの方法

後遺障害認定には事前認定と被害者請求があります。被害者請求の場合は、1回目の申請時から被害者側が独自に認定に必要な書類を用意することが前提となりますから、再審査となる異議申立の際にも、前回の内容を精査し何をどう補充していくかの判断がつけやすいという利点があります。

しかし、事前認定の場合はそうはいきません。

(2) 非該当になるケースが多い事前認定

後遺障害の申請を保険会社が主として行う事前認定では、1回目の審査の際、書類を提出するのは相手方が加入する任意保険会社ですから、その内容を被害者が把握することは困難です。

つまり、初回申請で被害者の後遺症の現状を伝えるのに十分な証拠が提示されているかが疑わしいため、事前認定による後遺障害認定は非該当となるケースが多いともいわれています。

よって、事前認定に対する異議申立てでは、認定理由を検討する際に以前添付した書類がどのようなものだったか調べ収集しなければならない手間があります。

しかし、提出書類の不十分さを補えば正しい認定が下る可能性があるのですから、異議申立をして適正な認定を受けるべきでしょう。

(3) 異議申立の方法

初回申請と同様に、異議申立てにも、事前認定に対する異議申立てと被害者請求に対する異議申立ての2種類があります。

初回申請を被害者請求で行った場合は異議申立の方法も被害者請求ですることになります。

一方、初回申請を事前認定で行った場合には、異議申立は事前認定、被害者請求いずれの方法でも行うことができます

3.異議申立は被害者請求でする

(1) 事前認定による異議申立

事前認定による異議申立の場合、異議申立書を相手方任意保険会社に提出します。

つまり、初回申請時と同じように、審査のために提出する書類等の内容を被害者がコントールできないというデメリットがあるのです。

また、異議申立が直接的な保険金請求の手続きには該当しないため、等級認定がされたとしても即座に自賠責保険金を受領できるわけではありません。

異議申立に関する手続きは常に相手方任意保険会社を仲介することになり、時間的なロスと手続きの適正さへの疑念で被害者を悩ませることになるのです。

(2) 被害者請求による異議申立

被害者請求による異議申立をすると、異議申立書は相手方自賠責保険会社に直接提出することになります。

ですから、等級認定が下りた際には、相手方自賠責保険会社からすぐに自賠保険金が支払われます。

また、被害者請求の方法で異議申立するうえでは、被害者本人が積極的に動いたり弁護士に依頼したりすることで、必要な書証の収集などが主体的に行えます。

他方、事前認定の方法では再審査に必要な証拠や書類の準備が十分行えたかが不明なまま、後悔が残ることにもなりかねません。

このような両者の手続きの差異が、後遺障害の異議申立は事前認定よりも被害者請求でした方が認められる確率が高まるといわれる所以です。

4.異議申立書の記載事項

(1) 異議申立書

自賠責保険への異議申立は原則、書面審査ですが、決まった形式はありません。それはつまり、異議申立書の書き方、書く内容が後遺障害の異議申立の認容を左右することを意味します。

なかでも特に重要なのが、異議申立ての理由です。

意義申立をした第一の理由ともなる、事前認定結果が不合理であると考えたことへの説明は必須です。

また、申立人の症状が想定する等級の基準に該当していることを論理的に説明して記載しなければなりません。

(2) 添付資料

さらに、異議申立書を裏付ける証拠となる資料が必要です。

この新たな後遺障害診断書や医療照会の回答書、医師の意見書などの添付書類の内容が異議申立を認容へと導く重要なカギとなります。

特に、事前認定での初回申請で申請書を十分に証明するための資料が提出されていたかを検証することは重要です。

初回に認定結果の理由が不当だと考えられる場合には、申請した後遺障害等級に該当することの妥当性を裏付ける資料の収集に注力しましょう。

一方、当該理由が相当だと考えられる場合には、異議申立書で新たな主張を行うための必要書類を収集しなければなりません。

5.審査までの期間を延長する

(1) 時効の存在に注意

後遺障害認定への異議申立には原則、期間や回数の制限はありません。

該当可否の決定に対する不服を申立てる制度ですから、納得がいくまで何度でも申請できます。

ただし、被害者請求の場合には法律で時効が定められています。

自動車損害賠償保障法19条は、「第16条第1項及び第17条第1項の規定による請求権は、3年を経過したときは、時効によって消滅する」と規定しています。同法第16条第1項は損害賠償請求権、第17条第1項は自賠責保険への仮渡請求権を定める規定です。

いずれも症状固定から3年が過ぎると、権利が消滅します。

したがって、異議申立自体に期限はなくとも、時効期間内に異議申立をしなければ賠償額に反映されず意味をなさないことになるので、注意が必要です。

(2) 時効を中断させ期間を延長する

①時効の中断とは

異議申立をした時期や煩雑な証拠集めなどにより、症状固定から3年が経過してしまうこともあるはずです。

しかし、そのような場合にも時効を中断させる方法があります。

時効の中断とは、時効期間の進行を中断させそれまで進行してきた時効期間をリセットさせることです。

中断した時点をゼロとして時効は再スタートします。

②自賠責保険に対する損害賠償請求権の時効

まず、自賠責保険に対する損害賠償請求権の時効を中断することです。その結果、後遺障害の異議申立期間を延長することができます。

自賠責保険会社に時効中断申請書を提出し受理されると債務を承認したことになり時効が中断します。

③相手方に対する損害賠償請求権の時効

また、事故の相手方に対する損害賠償請求権にも時効が存在します。

交通事故の加害者の行為は不法行為にあたり、「不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する」(民法724条前段)と定められています。

本請求権も症状固定時から3年で時効が成立するのです。

④同時進行する二つの時効

自賠責保険に対する損害賠償請求権と加害者に対する損害賠償請求権の時効は、各々、別個に進行します。

ですから、後遺障害認定への異議申立期間を延長したい場合には、自賠責保険に対する損害賠償請求権の時効を中断すると同時に、相手方に対する損害賠償請求権の時効も中断しなければなりません。

その方法としては、相手方本人または相手方任意保険会社から賠償額の提示や賠償金の一部支払いをしてもらう必要があります。

これらの行為によって債務の承認があったものとされ、時効が中断するのです。

(3) 異議申立と裁判の関係

①裁判による時効の中断

時効を中断させるために裁判を提起するという方法があります。

自賠責保険会社に対しては裁判よりも時効中断申請書を提出する方が簡易ですから、実務的な裁判のケースはあまりありません。

一方、相手方本人に対しては、時効中断の要件となる賠償額の提示や賠償金の一部支払いをしてくれないケースも多いため、裁判を提起するという方法で時効を中断するケースは少なくないようです。

②裁判後の異議申立

裁判の後に異議申立をすることも可能ですが、裁判は自賠責とは切り離した判断のもと進行していきますから異議申立の結果を待ってはくれるわけではありません。

異議申立をして自賠責からの回答を得られるまでには2~6か月ほどの時間を要します。

その間に裁判が終結してしまうと異議申立も制限されることになりますから、裁判を検討される方は、裁判提起前に異議申立との関係、時効の問題について十分に把握しておくようにしましょう。

時効を中断させる際にどの方法を選ぶかについては慎重に検討すべきです。法的な問題も多く発生する専門性の高い内容ですので、一度、弁護士に相談してみるとよいでしょう。

6.異議申立が上手く行かなかった場合の対策

(1) 紛争処理機構による調停

最善を尽くし、異議申立による再審査を経てもなおご自身が納得のいく認定がなされなかった場合、認定結果の不合理性を訴え出る手段として、自賠責保険・共済紛争処理機構というところに紛争処理申請の申立をすることができます。

  • 自分が考えていた後遺障害の等級より低い等級が示されたケース
  • 自賠責の後遺障害等級に至らず、非該当として支払いを断られたケース

に該当する場合、紛争処理申請書に後遺障害の等級に関する申立内容を記載し提出します。

弁護士や医師などからなる紛争処理委員が書面審査を行ったのち、調停による結果が送られてきます。申立は1度きりですが無料でできますので、利用することをお勧めします。

7.まとめ

後遺障害の異議申立は被害者請求の方法ですべきであることは明らかです。

ただし、認容の確率を高めるためには、等級認定基準にきちんと適合する異議申立書や意見書を作成し、病院や医師に医療照会をして医療記録などの医証を追加収集するという手順を踏まなければなりません。

実際には被害者ご自身だけで異議申立を行うのは知識も経験も乏しく難しいはずです。専門的なことは交通事故に詳しい弁護士に相談し任せましょう。

後遺障害認定に不服を申立てる最善の策を提示してくれる弁護士に依頼すべきです。

泉総合法律事務所であれば、交通事故に特化した弁護士が責任もってサポートさせていただきます。初回相談は無料となっておりますので、交通事故でお悩みの方は是非一度泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

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