後遺障害 [公開日]2018年1月9日[更新日]2020年10月19日

後遺障害認定が非該当になる理由とは?正しい認定を受けるために

交通事故で怪我をして後遺症が残ってしまった場合、後遺障害の等級認定の申請をして認められれば、後遺障害慰謝料や逸失利益を受け取ることができます。

しかし、後遺症があるとは言え、必ず等級が認定されるとはかぎりません。ときには14級にも該当しない「非該当」になってしまうこともあります。
そうなると、後遺障害としての賠償金を受けることができません。

そのようなとき、どのように対応したらよいのでしょうか?
また、非該当とならないために、申請の際から気をつけるべきことはあるのでしょうか?

今回は、後遺障害非該当になる理由や等級獲得の方法、非該当になってしまったときの対応方法について解説します。

1.後遺障害認定とは

(1) 後遺障害認定制度の意義

後遺障害認定制度とは、交通事故が原因で残ってしまうさまざまな後遺症を「等級」に分類して、それぞれに認定する制度のことです。

交通事故に遭ってケガをすると、「慢性的なしびれが残る」「腕や指が曲がりにくくなる」など、様々な後遺症が残ることがあります。
同等な後遺症が残っているなら、同じように賠償金が支払われないと不公平となってしまいます。

そこで、後遺症をパターンごとに分類し、認定基準を作って、同じような後遺症であれば平等な賠償金が支払われるようにすることが必要です。
そのための制度が、後遺障害の認定制度です。

交通事故では、何らかの後遺症が残ったとしても、その症状について、正式に「後遺障害」として認定されないと、後遺障害慰謝料や逸失利益の支払いを受けることができません

交通事故で身体のどこかに後遺症が残ったら、まずは、後遺障害の認定請求を行い、等級認定を受けることが必要とされます。

知っておくべき後遺障害等級認定機関と認定手続

[参考記事]

知っておくべき後遺障害等級認定機関と認定手続

(2) 後遺障害の「等級」について

交通事故の後遺障害には「等級」制度が採用されています。
「等級」とは、それぞれの後遺障害に認められるレベル・程度によるランク付けのことです。

後遺障害に「等級」という程度を作り、同程度の後遺障害の場合、同じくらいの賠償金が支払われるようにしています。

後遺障害認定を請求すると、同時に等級も決定されます。
後遺障害の等級は、重いものから順に、1級~14級まで用意されています。1級の場合には賠償金が最も高額になり、14級の場合には最も低くなります。

2.後遺障害の「非該当」とは?

「後遺障害が非該当になる」ということは、「後遺障害のいずれの等級も認められなかった」ということです。
つまり、1級から14級までに該当する症状がないときに、後遺障害非該当となります。

「非該当」の場合、むち打ちなどで14級の認定を受けようとしたけれども、審査の結果後遺障害に該当しないと判断された、というケースが大半です。

[参考記事]

後遺障害14級の慰謝料相場と逸失利益の計算方法

そうなると、後遺障害慰謝料も逸失利益も支払われないので、受け取れる賠償金(示談金)の金額が大きく減額されます。
(「非該当」の場合には、後遺障害慰謝料や逸失利益は基本的に0円です。)

3.後遺障害認定が非該当となる理由

後遺障害が非該当となるのは、どのような理由によるものでしょうか?

まず、後遺障害が認定されるためには、以下のような要素が備わっている必要があります。

  • 交通事故の程度が、後遺障害が発生して然るべきものである
    事故が小さすぎて、到底そのような後遺障害が発生するものではないと考えられる場合に「後遺障害がある」と主張しても認められません。
  • 交通事故の状況と受傷内容が一致している
    事故の状況からして、その後遺障害の発生を合理的に説明できることが必要とされます。
  • 後遺障害に該当する症状があり、その症状が当初から一貫している
    症状の原因がMRIなどではっきり異常を捉えることができる事案では、後遺障害の認定は比較的容易です。反対に、画像で異常が見られない場合、非該当になる可能性も相応に高くなります。
    また、事故直後から症状が一貫していない場合には、非該当の可能性が高くなります。
  • 交通事故によって、後遺障害が発生している(因果関係)
    交通事故によって後遺障害が発生したという因果関係が必要となります。たとえ後遺障害に該当する症状があるとしても、それは交通事故前からの持病のせいだという可能性があると、後遺障害は認められず、非該当となります。

以上により、後遺障害非該当になってしまうパターンは、以下のようなケースだと言えるでしょう。

  • 事故と症状に整合性がない
  • 自覚症状についての主張が一貫していない
  • 客観的な資料から所見が読み取れない
  • 交通事故以外の原因で症状が発生している

4.非該当にならないためには

以下では、非該当にならない方法を具体的に説明していきます。

(1) 交通事故後、一貫した主張をする

例えばむち打ちの場合、通院中の医師に対する訴えが変遷してしまうことがあります。
たまたま痛みを感じていないときに「もう痛くないです」などと言ってしまったり「昨日は首が痛かったけれど、今日は頭痛がする」と言ってしまったりすることもあるでしょう。

このような発言はカルテに残ってしまい、後に「症状が一貫していない」と判断されるリスクがあります。

また、後遺障害認定における重要な書類が「後遺障害診断書」ですが、ここにも自覚症状と他覚症状を記入する欄があるため、医師への自覚症状の訴えは非常に重要です。

[参考記事]

交通事故の後遺障害診断書|書き方のポイント・記入例

交通事故後は、症状に関して一貫した主張を行わないと非該当になってしまうリスクが高まります。

医師に症状を説明するときには、分かりやすく説明をすること、また、長期的な症状を述べることが重要です。

「一時的に痛くない」「今日は痛みが酷い」ということではなく、日常生活や仕事でどのような影響があるかなどを述べましょう。

また、軽微な交通事故によりやたらと重度な後遺障害が残ったと主張しても、通常は聞き入れてもらえません。
交通事故によって生じたことを合理的に説明できる、交通事故の状況と一致した症状の主張をすることも重要です。

(2) 適切な頻度で通院を継続する

むち打ちなどで後遺障害が否定されるパターンとして、ほとんど通院していないケースも多いです。

通院日数が少なかったり、積極的な治療が行われていなかったりすると、後遺障害は否定されやすいです。
「本当は治療の必要がなく、症状は存在していないのではないか?」と疑われてしまいます。

交通事故の後に通院するときには、できれば週2~3回は病院に通院するようにしましょう。

(3) 症状の証明資料を集める

後遺障害認定を受けるために一番重要であると言っても過言ではないのが、検査資料です。

たとえば、多くのケースではMRIが非常に重要な資料となります。もしレントゲンしか受けていないのであれば、早急にMRI検査を受けるべきです。

また、同じMRI検査機器でも精度が大きく異なりますので、より精度の高いMRIで撮影をした方が、異常所見を捉えやすくなります。

むち打ちの場合、神経学的検査と呼ばれるさまざまな検査も有効ですので、これらを受けていない場合には、是非とも受けておくべきです。

綿密な検査を受けて、しっかりと資料を揃えておくと、後遺障害認定を受けられる可能性が飛躍的に高まります。

(4) 不当な主張には反論をする

最後に、自賠責において後遺障害等級が認定されたとしても、加害者の保険会社がそれと異なる主張をしてくることもあります。加害者の保険会社が不当な主張をしてきたときに、適切に反論をすることです。

たとえば、既往症があるので後遺障害が否定されると言われたとき、本当は既往症ではないこともありますし、既往症があったとしても後遺障害自体は認めるべきケースもあります。

後遺障害認定に関する正確な法的知識を持って、不当な主張にはしっかりと反論することが、適切な後遺障害等級を獲得することにつながります。専門的知識なく主張したとしても、相手にされなかったり、加害者側の顧問弁護士が出て来て状況がより悪くなることもあります。

この点は、専門家である弁護士に交渉をお願いすることがおすすめです。

5.後遺障害認定が非該当となってしまったら?

様々な努力をしても、後遺障害が非該当になってしまうケースはあります。

自賠責保険から渡される結果の通知書は、「非該当」と書いてあるだけですが、その通知書には理由書も添えられており、この理由書の内容を検討することが重要です。

もし非該当とされた場合には、理由書を参照の上、以下のような方法で対処しましょう。

(1) 資料を再度集める

非該当とされた場合、次にどのような手段をとるにせよ、今のままでは判定を覆すことは容易ではありません。
結果を変えるには、後述の異議申立ての書面だけ出してもダメであり、新たな証拠資料を用意しなければならないのです。

よって、まずは再度いろいろな資料の収集を開始しましょう。

不足している検査があれば、受け直すことです。画像検査を別機関で受け直すこともあるでしょうし、未実施の神経学的検査を受けることも有効です。

そして、医師に依頼して、再度、後遺障害診断書を作成してもらうことも必要です。

前回の診断書のどの部分に問題があって後遺障害が非該当となったのかを検討して、その部分を重点的に改善するよう調整しましょう。

(2) 異議申立てを行う

検査資料や新たな後遺障害診断書などの資料を集めたら、自賠責保険に対し、異議申立ての手続をとることができます。

異議申立てをすると、再度、自賠責保険料率算出機構が調査を行い、後遺障害についての判断を行います。

とは言え、同じ機関が同じような方法で認定手続を行うわけですから、一度目と同じ主張や立証をしても認定は覆りません。
異議申立てで認定の判断が変わる確率は5%程度といも言われています。

異議申立てを行うなら、一度目の反省点をしっかり検討して、効果的な立証と説明をすることが重要です。

被害者の方がご自身で後遺障害等級認定申請をして非該当になった事案などでは、後に弁護士が介入して異議申立てを行うことにより、認定を覆せることがよくあります。

また、初回の申請を「事前認定」で行った場合、異議申立ては「被害者請求」で行うことがおすすめです。

事前認定に対する異議申立てとは?|方法と注意点

[参考記事]

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(3) 自賠責保険・共済紛争処理機構を利用する

異議申立てをしても非該当の結果が変わらない場合には、自賠責保険・共済紛争処理機構という機関を利用する方法もあります。

これは、自賠責保険や共済が行った決定や保険金支払いについての紛争を解決するためのADR(裁判外の紛争解決機関)です。

自賠責保険や損害保険料率算出機構とは全くの別組織ですから、自賠責保険・共済紛争処理機構を利用すると、非該当の結果が変わることもあります。

ただし、これをして納得がいかない場合、裁判以外の方法が取れないため、最終手段です。

被害者の方が単独で取り組む場合、十分な立証活動を行うことが容易ではないケースが多いため、弁護士によるサポートを受けることをおすすめします。

(4) 裁判を起こす

自賠責保険へ異議申立てをしても、自賠責保険・共済紛争処理機構を利用しても納得のいく結果が出なかった場合には、裁判を起こすことにより、後遺障害の等級を争うことができます。

実際に、自賠責保険では後遺障害等級が「非該当」と判断されていても、弁護士が代理人となって裁判を起こすことで、等級認定されるケースもあります。

また、裁判では、最終的に等級認定には至らなくても、入通院慰謝料を増額することなどによって、全体的な示談金の金額を調整できることもあります。

訴訟は、自賠責や紛争処理機構における手続以上に専門性を要する手続なので、有利にすすめるためには、やはり弁護士によるサポートが必須です。

6.後遺障害等級・非該当のお悩みは弁護士へ

交通事故に遭って後遺症が残りそうだと思ったら、早い段階で弁護士に相談してください。適切な治療機関や適切な検査方法をアドバイスいたします。
その結果、将来、後遺障害の等級認定が受けやすくなることでしょう。

また、実際に非該当となってしまった場合にも、弁護士によるサポートが必要です。
異議申立てを弁護士にサポートなしに認めてもらうことは大変難しいと言わざるを得ないでしょう。

泉総合法律事務所では、交通事故被害者様の支援に積極的に取り組んでおり、これまでに後遺障害等級を獲得してきた実績も豊富にあります。

すでに非該当となったケースでの異議申立ても代行しておりますので、まずはお気軽に当事務所へご連絡ください。初回相談は無料でお受けしております。

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