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高次脳機能障害「びまん性軸索損傷」とは?該当する等級と賠償金額

高次脳機能障害「びまん性軸索損傷」とは?該当する等級と賠償金額

【この記事を読んでわかる事】

  • 交通事故によるびまん性軸索損傷では、どのような症状が見られるのか?
  • びまん性軸索損傷が認められるためのポイントとは?
  • びまん性軸索損傷が後遺障害として認定された際に受け取れる慰謝料は?

交通事故で頭部に激しい衝撃があった場合、CT画像上では脳の損傷が確認できなくても、6時間以上の意識消失の後、人格変容、記憶障害、注意力障害などの症状が出てくることがあります。

びまん性軸索損傷と言われるこの傷病は、その症状から被害者ばかりかご家族にも大きな負担となってしまいます。事故との因果関係を証明するのが困難で、適正な等級認定が難しい傷病でもあります。

びまん性軸索損傷はどのようにして起きるのか、なぜ立証が難しいのか、後遺障害等級などについて解説します。

1.びまん性軸索損傷とは

「びまん性」とは、症状が広範囲に広がっている状態で患部を明確に限定することができない状態のことです。「軸索」とは、1つの脳神経細胞から他の脳神経細胞へ情報を伝達するための1本の神経繊維の束のことで、先端はいくつにも枝分かれしています。

つまり、びまん性軸索損傷とは、事故などによって脳全体に激しい振動が加わったことで、脳の軸索が広範囲で損傷し、情報伝達が途切れている状態です。

頭を強打した場合、その衝撃波や振動が脳に伝わることになります。この時に、振動により回転力が生じた場合、脳は深部と表面部とで回転力に差が生じてしまいます。

その速度差により、脳にねじれが生じます。その結果、脳の軸索が強く引っ張られてしまい、神経線維が断裂してしまうため、広範囲にわたり脳に損傷が生じてしまうのです。

広範囲にわたり、損傷を受けてしまうため、とても重症になりやすいです。また、神経線維の断裂であり、脳内に出血が生じても、大出血ということはなく、小さい血腫が多数生じるので、手術で血腫を除去することは極めて困難です。

さらに、効果的な治療法も存在しません。呼吸や循環器の安定化や頭蓋内圧のコントロールなどの管理を行うことで、外力が生じたあとの二次的な脳損傷を予防することで、脳の回復を待つしかありません。

びまん性軸索損傷とは、臨床医学的には、頭部外傷のうち、受傷直後から6時間を超えた意識消失がある場合をいいます。逆に、意識がはっきりしている期間がある場合には、この傷病名はつきません。

では、どうやってびまん性軸索損傷であることを証明すればいいのでしょうか。

2.びまん性軸索損傷立証の注意事項

交通事故賠償の世界においては、損害の立証責任は被害者側にあるという厳しい掟があるので、画像という動かしがたい証拠が重要になります。

しかし、頭蓋内の圧力の増加が穏やかなために、前述の通り、レントゲンであるXP画像やCTスキャンでは、ほとんど発見できません。MRIでの撮影では、MRIでも軸索損傷自体は撮影できず、軸索損傷に伴う点状出血の撮影ができるだけです。

医学的には、MRIで異常所見がないことがびまん性軸索損傷を否定しうる根拠にはならないのですが、肯定できる証拠も示せません。

しかし、「受傷直後である治療初期のころ」にMRIにて点状出血は撮影されているのであれば、事故によってびまん性軸索損傷が生じたという因果関係に関する強い武器になります。

一方、急性期であれば、拡散強調画像(DWI : Diffusion Weighted Image)にて撮影すると血液を捉えた高信号を呈することもあります。慢性期の時期については、脳出血を判別しやすいT2*(スター)画像にて高信号を呈することがあります。これらの画像は、微細な出血を捉えやすいという特徴があります。

また、外傷後ほぼ3か月以内に、脳全体が委縮することが多く、その結果、脳室が拡大することがあります。このびまん性脳萎縮の結果、脳室が拡大しているという画像所見についても、立証上、重要な点です。

そして、これらの画像にて、「事故による頭部外傷によりびまん性軸索損傷が生じた」ということを立証していくことになります。

3.びまん性軸索損傷が原因の症状

びまん性軸索損傷の具体的な症状とは、たとえば、記憶・記銘力障害、失見当識、知能低下、判断力低下、注意力低下、性格変化、易怒性、攻撃性、暴言・暴力、幼稚性、病的嫉妬、被害妄想、意欲低下などです。詳細については「高次脳機能障害について」をご確認ください。

もっとも、被害者本人では、これらの点に気づけないばかりか、指摘すると機嫌を損ねてしまうことがあります。ですので、被害者のご家族が、日記などを付けることで、「今までと違う。おかしい。」ということを記録しておくことが大切です。

それは、その具体的内容を、後遺障害等級認定の際の添付資料である「日常生活状況に関する回答書」の中に記載できるようにするためです。

また、医療機関にて神経心理学的検査などの適切な検査の受診や、診療していた担当医の医療照会回答書なども、びまん性軸索損傷から生じた神経症状を立証する強い武器になることでしょう。

もちろん、治ることが最善の結果です。しかし、6時間以上の意識消失などが起こる場合には、現実的には何らかの障害が残る可能性が高いと言われています。

そのため、辛いことではありますが、もしもの時に備えて対応を考えておくことも必要かもしれません。

4.びまん性軸索損傷の治療法

残念ながら、現在において有効な治療法は確立されていません。できることは、脳挫傷、血腫などの合併症防止の対処療法として、呼吸の安定化、脳への血液・酸素供給など全身状態の管理を行ったうえで、脳機能の回復を待つことです。

意識を回復した後、高次脳機能障害による記憶障害、失語症、人格変容などが発症した場合には、リハビリを行うことになります。

これらの治療は、ご家族にとって経済的にも大きな負担となるでしょう。

そこで、最後に、後遺障害等級と慰謝料について説明します。

5.びまん性軸索損傷による高次脳機能障害の等級と慰謝料

前記「3」でお伝えした通り、神経症状ですので、以下の等級表に該当するか判断することになります。

等級 後遺障害の内容(認定基準) 弁護士基準の慰謝料
別表第1
1級1号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
※身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために、生活維持に必要な身の回り動作に全面的介護を要するもの
2800万円
別表第1
2級1号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
※著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって、1人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体動作には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの
2370万円
別表第2
3級3号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
※自宅周辺を1人で外出できるなど、日常生活の範囲は自宅に限定されていない。また、声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。しかし、記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力に著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの
1990万円
別表第2
5級2号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
※単純繰り返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの
1400万円
別表第2
7級4号
神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
※一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの
1000万円
別表第2
9級10号
神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
※一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるもの
690万円
別表第2
12級13号
局部に頑固な神経症状を残すもの 290万円
別表第2
14級9号
局部に神経症状を残すもの 110万円

特に、受傷直後に重度の意識消失が生じやすいびまん性軸索損傷においては、比較的重度の後遺障害が残ってしまう傾向にあります。

つまり、交通事故に関する法律問題が解決しても、その症状が残ってしまうことが少なくないということです。

ですので、交通事故によって変わってしまった被害者様の将来の生活を考えると、正当な賠償がなされて当然です。

しかし、そのためには、交通事故の解決について見識、実績を持った弁護士の交渉力が必須です。

6.交通事故の後遺障害のご相談は泉総合法律事務所へ

泉総合法律事務所には、これまで多数の交通事故問題を解決させてきたという実績が豊富にあります。

初回相談は無料ですので、まずは当事務所の弁護士へご相談ください。それぞれのお悩みに適した解決方法をご提案させていただきます。

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