後遺障害 [公開日]2018年4月16日[更新日]2018年9月4日

膀胱直腸障害とは?交通事故における後遺障害

1.膀胱直腸障害とは

膀胱直腸障害とは、中枢性あるいは末梢性神経麻痺により排尿機能に障害を起こしている状態のことです。

交通事故では、脊髄を損傷するとこの障害が起こります。

その症状は、尿閉、残尿、失禁、排尿遅延などです。麻痺の程度によってさまざまな症状が見られるようです。

副交感神経の骨盤神経が膀胱利尿筋を支配していて、尿意もこの神経を通じて伝わっています。

一方、脳脊髄神経の陰部神経は外尿道括約筋を随意的にコントロールしています。両神経は、大脳からの支配を受けています。

脊髄障害などで脊髄利尿中枢よりも上位で損傷された場合、反射が亢進(こうしん)することになり、少量の尿貯留でも排尿反射が起こってしまうことになります。

この場合、抑制は不可能であり失禁することになります。

一方、仙髄反射中枢、末梢神経の損傷つまり排尿反射弓が損傷すると排尿反射自体が起こらなくなり、膀胱内圧は低下して容量が増大し残尿が多くなり、横溢性尿失禁となります。

2.膀胱直腸障害が残った場合の後遺障害認定

脊髄が損傷された場合、相当高い確率で膀胱直腸障害は発症します。この場合、脊髄が損傷されていますので、膀胱直腸障害よりも先に目立った症状があるはずです。

たとえば、手足のしびれであったり麻痺が発症していることが考えられます。

したがいまして、膀胱直腸障害がある場合には、他の後遺症も残っている可能性が高いですので、膀胱直腸障害だけで後遺障害の申請をするということはほとんどないでしょう。

では、膀胱直腸障害の後遺障害は何級に認定されるのでしょうか。

膀胱直腸障害は、神経症状に該当することになり、その等級は

  • 「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」として1級1号
  • 「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」として2級1号
  •  「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの」として3級3号
  •  「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」として5級2号
  •  「神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」として7級4号
  •  「神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」として9級10号
  •  「局部に頑固な神経症状を残すもの」として12級13号に、「局部に神経症状を残すもの」として14級9号

にそれぞれ認定される可能性があります。

ただし、1級から3級の後遺障害は、四肢麻痺などいわゆる寝たきりの状態やこれに比肩する程度の障害になりますので、膀胱直腸障害だけではなく、他の重度の障害が相まって認定されることになろうかと考えられます(後遺障害等級認定における「併合」)。

3.まとめ

膀胱直腸障害は、脊髄損傷によって起こりますから、膀胱直腸障害だけ抜き出して、後遺障害等級を検討することはあまり意味がないかもしれません。

しかし、膀胱直腸障害が発症しているケースでは、もっと重度の他の障害が発症していることが考えられ、膀胱直腸障害が見落とされる、あるいは他の発症している障害に比べて相対的に軽く見てしまうことにより、膀胱直腸障害自体でも後遺障害等級が認定される可能性があることに目が向かないかもしれません。

膀胱直腸障害だけでも等級認定がなされる可能性がありますので、そのことは忘れずに留意しておきたいものです。

弁護士に依頼をしますと、発症している症状から多岐に渡って、聞き取り作業も行いますので、見落としていた症状が喚起されたりすることもあるでしょう。

また、軽く見ていた症状が実は後遺障害等級に認定される可能性があるものかもしれません。

泉総合法律事務所では、多くの交通事故事件を扱ってきた実績がございます。その経験を皆様の被害回復に役立てることができればと常に考えております。

もちろん専門的な医学的知識を持った弁護士も多数在籍しております。是非とも、交通事故の被害相談は泉総合法律事務所にご相談ください。

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