過失割合

追突事故の被害者になってしまった場合に気をつけるべきこと

【この記事を読んでわかる事】

  • 発生件数が非常に多い追突事故の原因と対応策
  • 追突事故の被害者になってしまった場合にするべきこと
  • 正式な損害賠償請求の相場とその獲得方法

交通事故には、さまざまなパターンのものがあります。

たとえば、交差点における出会い頭の事故、右左折する際の事故、進路変更するときの事故、すれ違いの際の事故などがありますし、単独事故もあります。

ただ、こういった交通事故のうち、「追突事故」に分類されるものが、件数的にもっとも多くなっています。

追突事故に遭ってしまったときに十分な慰謝料を獲得するためには、どのようなことに注意すれば良いのでしょうか?

今回は、追突事故の被害者が、できるだけ高額な慰謝料を請求するために知っておくべき知識を中心に、弁護士が解説します。

1.追突事故

(1) そもそも、追突事故とは

交通事故の中でも件数の多い「追突事故」とは、どのような事故を言うのでしょうか?

定義づけをすると、以下のようなものです。

停止中または低速で前進している車両に対し、後続の車両が後ろから衝突する交通事故

すなわち、複数の車両が同一方向に向かって並んで進行しており、後ろの車両が前方の車両に対し、後方から衝突したら追突事故です。

追突された前方の車両は停止していることもありますし、前進していることや進路変更しようとしているケースもあります。こういった事故状況により、それぞれの車両の過失割合も変わってきます。

追突事故が起こると、いわゆる「玉突き事故」が発生することもあります。

玉突き事故とは、ある車両が前方の車両に追突することにより、前方の車両が前に押し出されて、さらに前方の車両に追突する3台以上の車両が関係する追突事故です。

道路状況が渋滞しているときなどに勢いよく追突すると、玉突き事故が起こりやすいです。

玉突き事故について、詳しくは「玉突き事故における過失割合と修正要素」をご覧ください。

(2) 追突事故の件数

それでは、追突事故は年間でどのくらい発生しているのでしょうか?

平成29年、車両同士の交通事故は、全部で408,812件発生しています。そのうち、追突事故は167,845件となっており、全体の35.5%を占めています。

次いで多いのが出会い頭の接触事故で24.5%、3番目が正面衝突の10.7%です。

このように、追突事故は、各種の交通事故の中でも、3割以上に及んでおり、突出して多数と言えます。

自動車を運転しているときには、自分が注意して運転していても、後続車が追突してくる可能性も低くなく、追突事故は、決して他人事ではありません。

(3) 追突事故の原因

脇見運転、前方不注視、スピード違反、車間距離、居眠り運転、飲酒運転、急ブレーキ、急な進路変更、駐停車禁止場所への駐車

追突事故は、どのようなことが原因で発生しているのでしょうか?

①脇見運転、前方不注視

多くは、後続車両による前方不注視が原因です。

脇見運転などをしていて、気がつくと目の前に前方車両が迫っていて衝突してしまうケースが典型例です。

②スピード違反

後ろの車がスピード違反していた場合にも、追突事故が起こりやすいです。

スピードを出しすぎているため、前方の車両が減速したときなどに対応できず、そのままの勢いで衝突してしまいます。

③車間距離を取っていない

後方車両が前方車両との間で適切に車間距離を取っていなかった場合にも、追突事故が起こりやすいです。

車間距離が短いため、前方車両が減速したときや進路変更しようとした際などに対応できず、追突します。

④居眠り運転、飲酒運転など

後方車両が居眠り運転や飲酒運転をしているときにも追突事故が起こりやすいです。

たとえば、まっすぐな道路であっても、後方車両が居眠りしていると、前方車両が減速したことに気づかず、そのまま追突してしまいます。

⑤急ブレーキ、急な進路変更

前方車両が急な進路変更をしたりした場合にも、追突事故が発生しやすいです。

前方に障害物があるので、前方車両がそれを避けようとして減速したり進路変更しようとしたりしているときに、後方車両が前方車両に追いついて衝突してしまうケースもあります。

⑥駐停車禁止場所

前方車両が停車している場合の追突事故でありがちなのは、前方車両が駐停車禁止場所に駐停車しているケースです。

後方車両は、そのような場所に車両が停まっているとは思わないので、いきなり前方に車両があって驚き、避けられずに追突してしまいます。

以上のように、追突事故の原因や態様はさまざまです。それぞれの状況によって、過失割合や請求できる慰謝料の金額も変わってきます。

(4) 追突事故の過失割合

基本的には、被害者:加害者=0%:100%

追突事故が起こった場合、追突された前方車両(被害者)と追突した後方車両(加害者)の過失割合は、どのくらいになるのでしょうか?

①基本的な過失割合

この場合、加害者は一方的に後ろから衝突しているので、被害者に過失を認めにくく、原則的な過失割合は、被害者:加害者=0%:100%となります。

②被害者に過失割合が認められるケース

しかし、被害者が急ブレーキをかけたときには、被害者にも交通事故を発生させた責任があると言えるので、被害者に過失割合が認められ、基本の過失割合が、被害者:加害者=30%:70%となります。

また、被害者の過失割合がさらに上がることもあります。それは、以下のようなケースです。

・幹線道路上で停止していた

車両の通行量が多い幹線道路上で停車していると危険なので、被害者の過失割合が10%程度、上がります。

・被害者のブレーキ灯が故障していた

被害者が急ブレーキを踏んだとき、ブレーキ灯が故障していると危険度が増すので、被害者の過失割合が10~20%程度、上がります。

・進路変更しようとしていた

被害者が前方で進路変更しようとしていて事故につながった場合には、進路変更車に高い過失が認められるので、追突事故とは言え前方車両の過失割合が70%となります。

・進路変更の表示をしなかった

前方車両が進路変更の際に進路変更(ウインカー)の表示をしなかった場合には、進路変更車により高い過失割合が認められるので、過失割合が90%程度になります。

・著しい脇見運転

被害者がスマホなどを見て著しい脇見運転をしたことで交通事故につながったケースなどでは、前方車両の過失割合が10%程度、上がります。

・居眠り運転や飲酒運転など

前方車両が居眠り運転や飲酒運転をしていて危険を発生させ、追突事故につながったケースなどでは、前方車両の過失割合が20%程度、上がります。

・駐停車禁止場所に停まっていた

前方車両が駐停車禁止場所に駐停車していて追突事故が発生した場合には、被害者の過失割合が10%程度上がります。

・駐車方法不適切

前方車両が不適切な方法で駐停車していたために交通事故につながったケースでは、状況に応じて被害者の過失割合が10~20%程度、上がります。

以上のように、追突事故のケースでも、被害者に責任が認められることもあるので、車を運転するときには、ルールを守って適切に運行することが大切です。

2.追突事故にあったとき、まずすべきこと

追突事故にあったとき、まずすべきこと

もしも追突事故の被害に遭ってしまったら、以下のような対応をすることが重要です。

(1) 警察を呼ぶ

まずは、警察を呼ぶことが重要です。

事故の加害者は、点数や刑事事件のことを心配して警察を呼びたがらないことがありますが、警察を呼ばないと、被害者にとっては非常に不利な状況となってしまいます。

後に適切な慰謝料請求もできなくなってしまう可能性がありますし、各種の保険金を支払ってもらえなくなるケースもあります。

また、車両同士の事故の場合、被害者にも警察への事故報告義務があります(道路交通法72条1項後段)。

そこで、追突事故ではもちろんのこと、どのような交通事故でも、事故に遭ったときには必ず警察を呼びましょう。

(2) 病院へ行く

追突事故に遭ったときには、次の項目で詳しく説明しますが、外傷もなく、すぐに痛みなどの身体的な症状を感じないことがあります。

このような場合、軽傷や無傷と思い、病院に行かない方も多いのですが、実際には、追突事故では「むち打ち」や「腰椎捻挫」になる頻度が高いので、注意が必要です。

こうした症状になると、すぐには自覚症状を感じにくいのですが、末梢神経を障害されるので、後日首や背中、腕や腰などに痛みやしびれが発生したり、めまいや耳鳴り、吐き気などの症状が発生したりすることがあります。

そこで、追突事故に遭って首や腰に衝撃を感じたのであれば、自分では特に異常を感じなくても、病院に行っておきましょう

このとき受診すべき診療科は整形外科です。問診を受けて、レントゲンやMRIなどの撮影をしてもらい、神経や組織に異常が発生していないかについても、調べてもらっておきましょう。

このことが、後の慰謝料アップにつながります。

(3) 必要に応じて人身事故に切り替える

追突事故が発生して警察を呼ぶと「人身事故か、物損事故か」と尋ねられます。

このとき、被害者としては「外傷がないし痛みもないから、物損事故かな」と思い、そのように届け出てしまうことが多いです。

しかし、上記で説明したように、追突事故でむち打ちや腰椎捻挫になると、その場では痛みなどがなくても、数日後にさまざまな症状が発生することがあります。

そこで、追突事故で首や腰に衝撃を受けたら、できる限り、人身事故として届け出ておくことをおすすめします。

もしも物損事故として届け出てしまい、後日に痛みなどの症状が出てきた場合には、速やかに人身事故への切り替えを行うことが重要です(参考コラム:物損事故から人身事故への切り替え注意点!手続方法・期限など)。

そのためには、まずは整形外科に行って診察を受けて診断書を書いてもらい、警察に持参して人身事故への切り替え申請をしましょう。

事故から時間が経ちすぎて、警察では人身事故への切り替えが認められなくなってしまったら、保険会社から「人身事故証明書入手不能理由書」の書式を取り寄せて、必要事項を書き入れて提出することが重要です。この書類を提出しないと、追突事故の慰謝料を一切請求できなくなる可能性もあります。

物損事故から人身事故への切り替え方法などが分からない場合や書類作成方法が不明な場合、弁護士がアドバイスしますので、お気軽にご相談ください。

3.追突事故の場合に多いむち打ち症

(1) むち打ち症とは

先に少し紹介しましたが、追突事故に遭ったときには「むち打ち症」になることがとても多いです。

むち打ち症とは、首骨である頸椎が衝撃を受けて、一瞬S字状に曲がってしまうことにより、末梢神経が損傷を受ける症状です。「頸椎捻挫」や「外傷性頸椎症」と診断される例が多いです。

むち打ちよりも少ない例ですが、同様に「腰椎捻挫」になることもあります。これは、腰の骨である腰椎が、追突の衝撃で不自然にゆがむことによって損傷を受けるものです。

頸椎捻挫でも腰椎捻挫でも、症状や治療方法、認定される後遺障害はほとんど同じです。

(2) 症状

むち打ちや腰椎捻挫の症状は、以下のようなものです。

  • 首や肩、背中の痛みやしびれ
  • 腕の痛みやしびれ
  • 脚の痛みやしびれ
  • けだるい、頭重感
  • めまい、耳鳴り
  • 吐き気

受傷状況や怪我の程度によって、発症する症状が異なります。

詳しくは「むち打ち症の症状―交通事故で頭痛・腰痛はすぐに病院に受診!」で解説しております。

(3) 治療方法

むち打ちの治療は、保存療法が基本です。痛みを抑えながらリハビリによって症状の改善を目指します。

電気治療やシップなどをすることが多く、整骨院でマッサージなどを受けるケースもあります。時間をかければ後遺障害を残さず完治する例も多くあります。

(4) 後遺障害

むち打ちや腰椎捻挫となった場合、完全には症状がとれず、後遺障害が認定されることもあります。

むち打ちで認められる後遺障害の等級は、多くの場合、12級か14級です。

むち打ちの後遺障害の証明では、MRIが重要です。MRI撮影によって異常を証明できれば、14級、および高い方の等級である12級が認定される可能性があるためです。

また、ジャクソンテストや徒手筋力テスト、腱反射テストなどの神経学的検査により、補足的に後遺障害を証明することも大切です。

MRIなどの画像による他覚的所見がなくても、合理的に症状を推認させることができれば14級の認定を受ける可能性もあります。

後遺障害が認定されると、後遺障害慰謝料や逸失利益が認められるので、加害者に請求できる賠償金が大きく上がります。

そこで、むち打ちや腰椎捻挫になって症状が残ったときには、確実に後遺障害認定を受けることが、慰謝料アップへの第一歩となります。

【参考】非該当にならないために!むち打ち症後遺障害認定のためのポイント

(5) 入通院慰謝料

むち打ちや腰椎捻挫で入通院すると、その期間に応じて入通院慰謝料が支払われます。

基本的に通院期間が長くなればなるほど入通院慰謝料が上がるので、むち打ちの治療を受けるときには、「症状固定」するまでの期間、しっかりと治療を受け続けることが重要です。

また、通院頻度にも注意が必要です。通院頻度が少なすぎると慰謝料を減額されたり治療費を支払ってもらえなくなったりする可能性があるからです。

4.十分な慰謝料を請求するための示談交渉

(1) 人身損害については被害者が保険会社と交渉しなければいけない。

交通事故の被害者が加害者に慰謝料など損害賠償請求するためには「示談交渉」を進める必要があります。

自動車同士の事故の場合、一般的には被害者の保険会社が加害者の保険会社と話をするので、「保険会社同士の話し合い」をしてくれるのではないかと思われる方も多いでしょう。

しかし、被害者の保険会社が示談交渉の代行をしてくれるのは物損事故で被害者にも過失がある場合であって、ケガなどの人身損害については被害者本人が対応しなければなりません。

追突事故の被害者が、自分一人で加害者の保険会社と示談交渉を進めて不利になってしまうケースも多々見られますので、慎重な対応が必要です。

(2) 弁護士費用特約を利用

このような追突事故の被害者の方には「弁護士費用特約」を利用することをおすすめします。

弁護士費用特約とは、自動車保険に附随する特約で、事故の処理に係る弁護士費用について、自動車保険が負担してくれるというものです。

一般的に、300万円までの弁護士費用がかからなくなるので、被害者にとっては非常に大きな助けになります。

弁護士費用特約を使って弁護士に対応を依頼したら、弁護士が代わって示談交渉を行うので、保険会社が示談交渉を代行してくれなくても安心です。

事故に遭ったら、まずは自分の自動車保険の加入状況を確認しましょう。

(3) 追突事故の場合の一般的な慰謝料

一般的な追突事故の場合、どのくらいの慰謝料を請求できるのでしょうか?

追突事故に遭ったら、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料の2種類の慰謝料を請求できます。入通院慰謝料は、入通院期間によって異なります。

また、むち打ちや腰椎捻挫の場合、画像診断などの他覚所見の有無によっても慰謝料が変わり、他覚所見があると、慰謝料が上がります。

たとえば半年通院した場合の入通院慰謝料は、自覚症状しかない軽傷の場合には89万円、他覚所見のあるケースでは116万円程度が相場となります。

10ヶ月通院した場合、自覚症状しかない軽傷の場合には113万円程度となりますが、他覚所見のあるケースでは145万円程度まで上がります。

このように、入通院慰謝料は治療期間に応じて上がるので、事故後の治療は必要なだけ十分に受け続けることが、慰謝料アップのポイントです。

むち打ちで認められる慰謝料として、後遺障害慰謝料もあります。後遺障害慰謝料は、認定される等級によって異なり、14級の場合には110万円程度となりますが、12級の場合には290万円程度にまで上がります。

そこで、追突事故後、つらい後遺症が残っているならば、できるだけ12級の認定を目指し、それがダメでも14級の認定を受けるよう力を尽くすことが、慰謝料アップのコツとなります。

たとえば、むち打ちとなって10ヶ月通院し、12級の認定を受けた場合、慰謝料の合計額は以下の通りです。

  • 入通院慰謝料145万円
  • 後遺障害慰謝料290万円
  • 合計435万円

むち打ちの慰謝料について、詳細は「むち打ちの慰謝料に相場はあるのか?慰謝料算出の基準とは」で解説しております。

(4) 弁護士が示談交渉するメリット

追突事故の被害者の方は、示談交渉を弁護士に依頼されると多くのメリットを受けられます。

まず、慰謝料を大きく増額することができます。一般的にはあまりよく知られていないのですが、交通事故の慰謝料の計算基準は複数存在しており、被害者が自分で示談交渉をするときと、弁護士が示談交渉するときとでは、適用される基準が異なります。

先にご紹介した入通院慰謝料や後遺障害慰謝料の金額はすべて弁護士基準で計算したものです。被害者が自分で示談交渉をすると、自賠責基準や任意保険基準といった弁護士基準よりも低い基準で提案されることが多いです。

できるだけ高額な慰謝料を獲得したいなら、弁護士に依頼する必要があります。

また、弁護士が示談交渉をすると、被害者が直接加害者の保険会社とやり取りしなくて済むのでストレスもかかりません

後遺障害認定の手続を依頼すると、自分で手続をするより効果的に高い等級の認定を目指せます。

追突事故に遭ったとき、弁護士に依頼すると多大なメリットがあるので、弁護士費用特約があってもなくても、必ず示談交渉を依頼されることをおすすめします。

5.まとめ

追突事故の被害者は、むち打ちなどのつらい症状に苦しめられることも多いものですが、過失割合が0%であるために、保険会社にも間に入ってもらえないことがよくあります。

そのようなとき、弁護士費用特約を使える場合はもちろんのこと、使えないケースにおいても弁護士に示談交渉を依頼すると、慰謝料が増額されることを始めとして、多くのメリットを得られます。

追突事故で十分な慰謝料を獲得するためには、弁護士への依頼がほとんど必須とも言えますので、事故に遭われた際には、まずは泉総合法律事務所まで、お気軽にお問い合わせください。

泉総合法律事務所では、追突事故による交通事故被害者様からのご相談を多数お受けしております。解決実績も豊富にございますので、安心してご依頼いただければと思います。

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