過失割合 [公開日] [更新日]

追突事故における慰謝料の決定要素。過失割合・修正要素について

追突事故における慰謝料の決定要素。過失割合・修正要素について

【この記事を読んでわかる事】

  • 追突事故に遭った場合、慰謝料はどう決まるのか
  • 四輪車同士、単車と四輪車など、事故様態により過失割合はどう決まるか
  • 高速道路での追突事故では、何か別段の事情が考慮されるのか

交通事故において被害者に過失があった場合、損害の公平な分担という理念から、その過失を考慮して損害額を算定します(過失割合の問題)。

追突事故といっても、四輪車、単車という車の種類や交通事故が高速道路で起きたものかどうかという点から、様々な考慮が必要になります。

以下では、「別冊判例タイムズ38号 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂5版」に掲載されている代表的な類型・修正要素をご紹介します。

紙幅の関係上このコラムで触れることのできない修正要素も多くあります。詳しくは泉総合法律事務所の弁護士にお尋ねください。

1.四輪車同士の追突事故

(1) 基本過失割合

【追突車:被追突車=100:0】

この類型では、基本的には【追突した側:追突された側】の過失割合は【100:0】とされます。

(2) 視認不良による修正

【追突車:被追突車=90:10】

降雨や濃霧などの天候要因による視認不良など、追突した側に発見が容易でなかった事情がある場合には、10%の修正がなされる可能性があります。

(3) 駐停車禁止場所・故障などによる駐停車による修正

【追突車:被追突車=90:10】

弁護士をしていてよくご相談をいただく例としては交差点や踏切などの駐停車が禁止されている場所で停車中に追突されるといったケースですが、故障して駐停車しているような場合もこの類型に含まれます。

故障した車両の場合には、ハザードを点けておくといった対応をしていないと、さらに過失割合が修正される可能性があります。

(4) 理由のない急ブレーキがある場合の過失割合

【追突車:被追突車=70:30】

道路交通法24条では、危険を防止するためやむを得ない場合を除き急ブレーキをかけてはならないとされています。先行車両の急ブレーキが後続車両にとって危険である可能性があるためです。

そのため、理由のない急ブレーキをした車両が追突された場合には、基本的に30%の過失相殺がなされることになります。

2.単車と四輪車の追突事故

(1) 単車が追突した場合の基本過失割合

【追突した単車:追突された四輪車=100:0

基本的には2(1)と同様です。

(2) 視認不良による修正

【追突した単車:追突された四輪車=80:20】

ただ、視認不良の場合には20%の修正とされています。

これは、悪天候などの場合、単車の方が四輪車よりも前方駐停車車両の発見が難しくなるためです。

(3) 理由のない急ブレーキがある場合

ア.追突された四輪車に理由のない急ブレーキがある場合

【追突した単車:追突された四輪車=60:40】

イ.追突された単車に理由のない急ブレーキがある場合

【追突した四輪車:追突された単車=80:20】

ア・イいずれの場合も、歩行者の多い場所では飛び出しを警戒した急ブレーキがなされる可能性があり、後続車両もその予測をして運転すべきだと考えられますので、住宅街や商店街などでは5%の修正がなされる可能性があります。

3.高速道路における追突事故

高速道路では、高速での走行ができ、最低速度を維持する義務があり、駐停車は原則として禁止されています。

そのため、高速道路においては、やむを得ない事情がないかぎり、駐停車していた先行車両の運転者も過失があることになります。

過失のある駐停車とは、たとえば、ガス欠やエンジントラブルによる駐停車、被追突車が過失により別の事故を起こしてしまっていた場合の駐停車のことです。

こういった場合、運転者は、追突を避けるために、速やかに本線車道など以外の場所に車両を移動し、停止表示器材を設置することが義務付けられています(道路交通法75条の11)。

他方、高速道路が渋滞しており、やむを得ず停車していた場合などは、駐停車に過失はありません。

(1) 高速道路の追突事故における過失割合の判断要素

まず、高速道路での過失割合の判断には、本線車道上の駐停車の過失の有無が問題となります。

次に、前述したように、運転者の車両の退避義務と、停止表示器材の設置義務についての違反が過失割合の修正要素となってきます。

たとえば、駐停車していた車両が退避できる状況になく、かつ、停止表示器材を設置したが追突事故が起きてしまった場合や、追突された車両の運転者が死傷してしまった、あるいは停止表示器材を設置する間もなく追突事故が起きてしまった場合には、退避義務及び停止表示器材の設置に過失はなかったとされます。

四輪車同士の高速道路での過失割合の考え方は、以下の通りです。

(2) 高速道路における四輪車同士の追突事故の過失割合

①過失により本線車道などに駐停車した自動車に対する追突事故

【追突車:被追突車=60:40】

原則として、本線車道に駐停車したことに過失がある場合、過失割合は、上記の割合となります。

ここで言う過失割合は、過失により本線車道に駐停車したことに加えて、路肩などへの退避義務、停止表示器材を設置義務のいずれかに過失があることを前提としています。

両方を怠った過失がある場合には、10~20%の修正がなされる可能性があります。

②過失なく本線車道などに駐停車した自動車に対する追突事故

被追突者に過失のない事故が原因で本線車道上に駐停車していた場合については、①と異なる考慮が必要になります。

ア.追突された車両に退避または停止表示器材設置を怠った過失がある場合の過失割合

【追突車:被追突車=80:20】

イ.追突された車両に退避や停止表示器材設置を怠った過失がない場合

【追突車:被追突車=100:0】

四輪車、自動二輪車の区別なく、この類型の追突事故の場合には追突された側の過失は否定されます。

本線に駐停車 退避を怠った過失 停止表示を怠った過失 過失割合
過失あり あり あり 追突車40:被追突車60
あり なし 追突車60:被追突車40
なし あり 追突車60:被追突車40
なし なし 追突車80:被追突車20
過失なし あり あり 追突車60:被追突車40
あり なし 追突車80:被追突車20
なし あり 追突車80:被追突車20
なし なし 追突車100:被追突車0

③追突された車両に理由のない急ブレーキがある場合

【追突車:被追突車=50:50】

高速道路では、時速80㎞を超える速度での走行ができますが、本線車道での駐停車は原則としてできず、車の流れに従った円滑な走行が一般道路より強く求められるので、理由のない急ブレーキの危険性はより高いものとなります。

④路肩などに駐停車中の自動車に対する追突事故

【追突車:被追突車=100:0】

路肩など(路肩または路側帯)は、原則として車両の通行が禁止されていますので、故障などやむを得ない理由で路肩などに駐停車中の車両に対する追突事故が起きたときには、基本的には後続の追突車の過失割合が100%とされます。

ただ、路肩などに駐停車するにもやむを得ない理由が必要ですので、これがない場合には10~20%の修正がなされる可能性があります。

次に、高速道路での四輪車と自動二輪車の追突事故の過失割合は以下の通りです。

(3) 高速道路における自動二輪車と四輪車の過失割合

四輪車と自動二輪車の追突事故における過失割合の考え方は、四輪車同士の追突事故と変わりません。

ただし、一般的に、対自動車の事故においては、自動二輪車の運転者の損傷が大きくなるたるため、過失割合において、保護される傾向があります。

①過失により本線車道などに駐停車した車両に対する追突事故

ア.四輪車が駐停車していた場合の過失割合

【追突した自動二輪車:追突された四輪車=50:50】

イ・自動二輪車が駐停車していた場合の過失割合

【追突した四輪車:追突された自動二輪車=70:30】

②過失なく本線車道などに駐停車した車両に対する追突事故

ア.追突された車両に退避または停止表示器材設置を怠った過失がある場合の過失割合
(ア) 四輪車が駐停車していた場合の過失割合

【追突した自動二輪車:追突された四輪車=70:30】

(イ)自動二輪車が駐停車していた場合の過失割合

【追突した四輪車:追突された自動二輪車=90:10】

イ.追突された車両に退避や停止表示器材設置を怠った過失がない場合

【追突した自動二輪車:被追突車=100:0】

【追突した四輪車:追突された自動二輪車=100:0】

③追突された車両に理由のない急ブレーキがある場合

・四輪車に理由のない急ブレーキがある場合の過失割合

【追突した自動二輪車:追突された四輪車=40:60】

・自動二輪車に理由のない急ブレーキがある場合の過失割合

【追突した四輪車:追突された自動二輪車=60:40】

4.まとめ

このコラムでご紹介したものは基本的なものにすぎません。保険会社の担当者との間で過失割合について折り合いがつかずに困っているといったお悩みがある場合、弁護士が代理人となることで、スムーズに過失割合の問題について解決できる可能性があります。

泉総合法律事務所では、過失割合が争点となった交通事故案件を多数手掛けており、解決実績も豊富にあります。交通事故被害でお困りの方や、「過失割合に納得できない」という交通事故被害者の方は、まずは当事務所にご連絡ください。

ご相談内容に応じた適切な解決策やアドバイスをさせていただきます。

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