過失割合 [公開日]2018年3月8日[更新日]2020年9月18日

加害者が信号無視した交通事故の過失割合について

加害者が信号無視した交通事故の過失割合について

信号無視の車にぶつけられた被害者は、たとえ怪我のない物損事故であったとしても、加害者に対して憤りにかられるでしょう。
そのうえ、中には、信号無視の事実を認めない加害者も存在します。

こういったケースでは、事故当事者の過失割合についての主張がかみ合わず、示談が上手くいきません。

しかし、一口に信号無視の過失割合といっても、実は、被害者にも過失が認められることがあります。

今回は、加害者が信号無視をした場合の基本の過失割合と、加害者が信号無視を認めない場合の対処法をご紹介します。

1.信号無視と過失割合

(1) 過失割合とは

過失割合は、事故の発生について、交通事故当事者のどちらがどれだけ責任があるのかを割合で示したものです。

交通事故では、被害者にも何らかの過失が認められることが多いため、請求できる賠償額がその過失割合に従って減額されます。このことを、過失相殺と言います。

交通事故における過失相殺について|損害賠償に大きな影響

[参考記事]

交通事故における過失相殺について|損害賠償に大きな影響

(2) 信号無視の過失割合

では、交通事故の加害者が信号無視をした場合、事故当事者双方の過失割合はどのようになるのでしょうか?

信号を守るべき義務は、道路交通法上におけるもっとも基本的な義務の1つです(道路交通法7条)。

そこで、加害者の一方的な信号無視により事故が発生した場合、基本的に加害者には100%の過失が認められます。

ただ、信号無視とは言っても、信号の色は赤だけでなく黄色の場合もあり、黄色で交差点内に進入したけれども、交差点内で赤に変わってしまうケースもあるでしょう。
また、被害者に不注意があることもあります。

このように、過失割合は、信号の色や状況によって変わる可能性があります。

さらに、事故当事者が四輪車同士なのか、四輪車とバイクなのか、四輪車と自転車なのか、自動車と歩行者なのかによっても過失割合は変わってきます。

以上のように、信号無視における過失割合については、さまざまな状況によって変わってくるのです。

2.信号無視で起きた交通事故の基本過失割合

以下では、加害者が信号無視していた場合の基本の過失割合をご紹介します。

基本の過失割合とは、交通事故のケースごとの被害者と加害者の過失割合の相場のことであり、裁判をすると、裁判所はこの基本の過失割合に則って過失割合を判断します。

過失割合の適正な基準と言えるので、示談交渉に備えて抑えておきましょう。

(1) 自動車対自動車の交通事故

①交差点で、直進する自動車同士の出会い頭の衝突事故

まずは、信号機のある交差点における、直進する自動車同士の衝突事故の過失割合を見てみましょう。

いずれも直進する自動車の場合 
信号の色 過失割合
片方の信号が青、他方の信号が赤 青:赤=0:100
片方の信号が赤、他方の信号が黄 赤:黄=80:20
双方とも赤 50:50
点滅信号、一時停止、優先道路…交差点事故の過失割合と決定要素

[参考記事]

交差点事故の過失割合と決定要素|点滅信号、一時停止、優先道路

②交差点での直進車と右折車の事故

次に、信号機のある交差点を右折する自動車と直進する自動車による事故の過失割合を確認しましょう。

直進する自動車と右折する自動車の場合
直進車の信号の色 右折車の信号の色 直進車の過失割合 右折車の過失割合
50 50
青信号で進入し、赤信号で右折 90 10
黄信号で進入し、赤信号で右折 70 30
青信号で進入し、黄信号で右折 70 30
40 60

(2) 自動車対バイクの交通事故

一方が自動車、一方がバイクのケースでは、自動車同士の事故と比較して、過失割合がバイクに有利に変わります。

①交差点で、直進する自動車とバイクの出会い頭の交通事故

交差点事故におけるどちらも直進する自動車とバイクの過失割合は以下の通りです。

 バイク・自動車いずれも直進する場合
自動車の信号の色 バイクの信号の色 自動車の過失割合 バイクの過失割合
100 0
0 100
90 10
70 30
60 40

上記のように、四輪車とバイクの事故の場合、同じ状況であれば、バイクの過失割合が小さくなります。

バイクの方が車体も小さくて損害が大きくなりやすいこと、バイクの方が事故発生を避ける能力が低いことなどが影響しています。

バイク事故の慰謝料や過失割合について

[参考記事]

バイク事故における過失割合と慰謝料について、車同士との違い

②右折車と直進車の事故

バイク、自動車いずれかが交差点で右折する際に起きた事故の過失割合は、以下の通りです。

バイクが直進、自動車が右折の場合 
バイクの信号の色 自動車の信号の色 バイクの過失割合 自動車の過失割合
青で侵入し黄で右折 60 40
30 70
40 60
青で侵入し赤で右折 80 20
黄で侵入し赤で右折 60 40
自動車が直進、バイクが右折の場合
自動車の信号の色 バイクの信号の色 自動車の過失割合 バイクの過失割合
青で侵入し黄で右折 75 25
50 50
60 40
青で侵入し赤で右折 90 10
黄で侵入し赤で右折 80 20

(3) 自動車対自転車の交通事故

次に、自転車と自動車の交通事故の過失割合を確認しましょう。

①交差点で、出会い頭の衝突事故

信号機のある交差点でのどちらも直進する自転車と自動車の衝突事故の過失割合は、以下の通りです。

自転車・自動車いずれも直進の場合
自動車の信号の色 自転車の信号の色 自動車の過失割合 自転車の過失割合
100 0
20 80
90 10
40 60
30 70

②右折車と直進車の交通事故

自転車、自動車いずれかが右折する際の交差点における交通事故の過失割合は、以下の通りです。

自転車が直進、自動車が右折の場合
自転車の信号の色 自動車の信号の色 自転車の過失割合 自動車の過失割合
青で進入し黄で右折 40 60
20 80
30 70
青で進入し赤で右折 70 30
黄で進入し赤で右折 50 50
右折矢印信号で侵入 80 20
自転車が右折、自動車が直進の場合
自動車の信号の色 自転車の信号の色 自動車の過失割合 自転車の過失割合
青で進入し黄で右折 80 20
60 40
70 30

自転車対自動車の交通事故の場合、バイクよりさらに自転車に有利に過失割合が修正されます。

自転車は、単車よりもさらに車体が小さく運転者がダメージを受けやく、エンジンも積んでいないため、損害を避ける能力が低いからです。

[参考記事]

自転車と車の事故の過失割合|自転車が悪いとどうなる?

(4) 自動車対歩行者の交通事故

自転車と歩行者の交通事故のケースにおける交通事故の過失割合も確認しましょう。

歩行者の信号の色 四輪車の信号の色 歩行者の過失割合 四輪車の過失割合
0 100
10 90
20 80
50 50
70 30
青で横断開始、途中で赤信号に変更 0 100
赤で横断開始、途中で青信号に変更 10 90
青で横断開始、途中で赤信号に変更 20 80
黄で横断開始、途中で赤信号に変更 30 70

歩行者と自動車の事故では、歩行者が保護されます。

特に横断歩道上を渡っている歩行者の場合は強い保護を受けますが、例外的に歩行者が赤信号で横断歩道を渡っていた場合には、歩行者に高い過失割合が認められます

3.加害者が信号無視を認めない場合の対処法

示談交渉では、自分の信号無視を認めない加害者もいます。

加害者の過失割合が小さくなれば、その分慰謝料を含む示談金が大きく減額されてしまい、信号無視における慰謝料・示談金の相場を大きく割ってしまう可能性があります。

では、どのように対処すればいいのでしょうか?

(1) 被害者は加害者の信号無視を立証しなければならない

まず、加害者が信号無視を認めない場合には、被害者が、加害者の信号無視を立証しなければなりません。

そのためには、以下のようなものが役に立ちます。

ドライブレコーダー

ドライブレコーダーには交通事故の状況が写るので、信号の色をはっきり確認できることがあります。

被害者や加害者、周辺を走行していた車などのドライブレコーダーに信号機が記録として残っていたら、比較的容易に事故当時の信号の色を立証できます。

[参考記事]

ドライブレコーダーの証拠能力。交通事故でどれほどの効果があるか

信号サイクル表

信号サイクル表を取り寄せることにより、事故当時の信号の色を立証できることがあります。

信号サイクル表とは、信号の色が青→黄(青点滅)→赤に一巡するサイクル(信号サイクル、信号周期)を示す表です。

信号サイクル表には、事故当時の信号サイクルも書き込まれているので、精査することによって事故当時の信号の色を明らかにすることができますが、取得するには、都道府県の警察本部などへ、「情報公開条例にもとづく開示請求」をする必要があります。

弁護士が照会すると、さらに詳しく信号サイクルを調査することも可能です。

実況見分調書、供述調書

交通事故現場で警察官が作成した「実況見分調書」や、加害者・被害者の「供述調書」を取得して信号無視の事実を確認できることもあります。

実況見分調書には、事故当時の状況が正確に書かれているので、当時の信号の色が判明することがあります。

一方、事故直後、加害者が供述調書に信号の色を正直に話していれば、被害者の言い分が正しいことを証明できる可能性があります。

実況見分調書や供述調書については、加害者の刑事事件の処分が決定したのち、検察庁に照会することによって取得することができます(ただし、供述調書は開示されないことがあります)。依頼すれば、弁護士が被害者の代理人として取得することも可能です。

[参考記事]

交通事故の供述調書・実況見分書とは?裁判の証拠にもなる!

(2) 過失割合で合意ができず示談が決着しない場合

もし、交渉が上手くいかない場合には、示談以外に以下3つの解決方法があります。

  • ADR機関を利用する
  • 調停
  • 裁判

まず、ADRですが、裁判所を介さずに、交通事故の損害賠償を解決する方法です。

交通事故紛争処理センターや日弁連の交通事故相談センターといったADR機関が存在し、無料で利用できる反面、ADRの弁護士は、あくまで中立の立場で和解のあっ旋をするため、被害者の味方というわけにはいかず、最終的に満足のいく解決案とはならない可能性もあります。

また、ADRは、簡易な内容であればともかく、証拠関係が複雑である等、数回の期日では終了できない事件には向きません。

次に、調停ですが、裁判とは違い、当事者の合意がなければ解決には至りませんが、裁判よりは費用が安く、手続きが比較的に簡単で解決までの期間が短く、一方的に不利な結果にはならないといったメリットもあります。調停で解決しなければ、裁判に持ち込むしかありません。

調停やADRを利用せず直接、裁判を提起する方法もあります。

いずれの手段を選ぶにしろ、信号無視の慰謝料・示談金の相場を割らないために、一度弁護士に相談した方がいいでしょう。

4.信号無視の過失割合でもめたら弁護士へ

以上のように、信号無視があった交通事故では、当然ながら無視した側の過失割合が大きくなるものです。
しかし、中には信号無視を認めない加害者がいるので注意が必要です。

不利益を受けないようにするには、正確な過失割合についての知識を持ち、証拠に対する適正な評価をした上で、適正な基準で計算してもらうことが大切です。

過失割合に納得できない場合には、弁護士に依頼することをお勧めします。
まずは、自分や家族の自動車保険(任意保険)の弁護士費用特約付帯状況をご確認ください。

[参考記事]

弁護士費用特約とは?|誰が、いつ、どんなことを補償されるか

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