過失割合 [公開日][更新日]

高速道路での交通事故―一般道との過失割合の違い

高速道路での交通事故―一般道との過失割合の違い

【この記事を読んでわかる事】

  • 一般道と高速道路で過失割合の考え方が異なる理由
  • 高速道路において過失割合が争われる交通事故の具体例
  • 過失割合でもめている場合、正当な慰謝料獲得のために取るべき行動

高速道路上で交通事故被害に遭った場合、一般道とでは過失割合が異なることをご存知ですか?

高速道路上では、当然のことながらすべての車両が高速度で走行しています。

そのため、交通事故が起こると大事故につながることも多くなるため、過失割合にも違いが出てくるのです。

もっとも、具体的になぜ高速道路と一般道で過失割合が異なるのかは知らない方も多いはずです。また、どのような状況の事故において過失割合がどの程度の割合になるのかについても知らない方が多いでしょう。

そこで、今回は高速道路上で起きた交通事故の過失割合について解説します。具体例や過失割合の判断基準も一緒に見ていきましょう。

1.過失割合と高速道路

まず、交通事故における過失割合とは何かを理解していきましょう。その上で、高速道路と高速道路の特殊性についてご説明します。

(1) 過失割合は、損害賠償額に関係する重要な基準

交通事故における過失割合とは、当該交通事故における当事者の責任の割合のことを指します。

責任の割合とは、交通事故に対する落ち度の割合です。過失割合を表示するときは、8:2というように表示します。

交通事故では、通常10:0という当事者の一方だけに責任があるという状況はまれです。被害者とされる方にも、前方不注意があるなどなんらかの過失(落ち度)があると判断されるケースが多くなっています。

過失割合は、責任の割合を決めるだけにとどまりません。過失割合を何のために決めるかというと、損害賠償額を決める一定の基準となるからです。

交通事故被害に遭うと、多くの損害が発生します。具体的には、治療費や入通院費、車の修理代、慰謝料、後遺障害慰謝料などさまざまな損害項目があります。

これらの費用は、被害者から加害者(加害者が任意保険に加入している場合は任意保険会社)に損害賠償請求を行うことで、まかなうことになります。

もっとも、すべての損害額が1000万円だったとしても、過失割合が加害者8:被害者2だったとすると、800万円しか請求できないことになってしまうのです。

このように、過失割合は損害賠償額に大きく影響するため、被害者・加害者の両者にとって重要な基準の1つとなります。

(2) 一般道と高速道路の違い

では、一般道路と高速道路は何が異なるのでしょうか。

一般道路と高速道路との大きな違いは、スピードにあるでしょう。一般道路は幹線道路でも60km以下が多いのに対し、高速道路では80km以上の走行も可能です。

これ以外には、高速道路は基本的に一方通行であること、そして信号機がないことが違いとしてあげられます。

さらに、日本では、高速道路が有料であることが違いとしてあげられます。

このように、一般道路と高速道路では、同じ道路でもたくさんの違いがあります。この違いが、過失割合に影響することになるのです。

(3) 高速道路上の安全配慮義務

では、高速道路の特殊性としてはどのようなものがあげられるのでしょうか。

一般道路と高速道路で過失割合が違うということは、高速道路が一般道路とは異なる要素を持つということになります。

先ほど、「一般道路と高速道路の違い」で上げた高速度での走行、信号機がない、なども高速道路の特殊性としてみることができますが、これら以外にも駐停車禁止(サービスエリア、緊急時の路肩停車は除く)などの違いがあります。

  • 高速度での走行
  • 信号機がない
  • 駐停車禁止(サービスエリア、緊急時の路肩停車は除く)

これらの特殊性から、高速道路の走行中は一般道路の走行よりもより一層の注意が求められます

具体的には、以下のような内容です。

  • 高速度で走行している分、車間距離は一般道路よりも大きく取る必要がある
  • 小さなハンドル操作にも気をつけること
  • 後続車の走行にも十分気を配ること
  • ジャンクション本線への進入経路には十分注意すること
  • 高速道路上に駐停車することは危険であるため、理由なく駐停車しないこと

このように、一般道とは異なる道路の仕組みから注意すべき内容も変化します。これらの注意を怠った場合には、過失割合が大きくなる可能性もあります。

高速道路では、信号機や交差点がない分、交通事故の発生も少なくなります。しかし、高速度で走行することから一度事故が起きると大事故につながります。

そのため、上記のように一般道とは別の注意義務が課せられることになるのです。

3.過失割合の具体的な違い

過失割合の具体的な違い

次に、高速道路での過失割合がどのような内容になるのかを具体的に見ていきましょう。

以下では、高速道路上の交通事故でよくあるケースを取り上げます。

(1) 高速道路上での人対車の人身事故の過失割合

では、高速道路上で人対車の交通事故が起きてしまった場合の過失割合はどうなるのでしょうか。

まず、原則として高速道路上では歩行者は通行することができません。

しかし、車が故障した、何かを落としたなどなんらかの理由で歩行者が高速道路上に現れることがあります。

この場合、原則として歩行者がいない道路なわけですから、車の過失割合が低くなることが予想できます。

しかし、実際のところは場合によります。具体的には、歩行者が歩いていた位置によって、過失割合が変わってきます。

  • 歩行者が高速道路上を歩く、または道路を横断しようとしていた場合→自動車2:歩行者8の過失割合
  • 故障車や事故車付近に歩行者がいた場合→自動車6:歩行者4

過失割合に違いが出るのは、自動車側が歩行者に気付けるかどうかの違いにあります。

事故車両がある場合は、遠くからでも歩行者や事故車の存在が確認できますが、歩行者のみが高速道路上を歩いていた場合は、対象物が小さいので通常は確認が遅れます。

また、歩行者がいると通常は想定できないため、事故車付近にいない場合には自動車の過失割合が低くなるのです。

もっとも、過失割合は歩行者の位置だけで判断されるわけではありません。

走行中にスマホを操作する、スピード違反をするなどの行為があった場合には自動車側の過失が上乗せされることになります。

このように、通常歩行者がいないはずである高速道路上の歩行者対車の事故でも、自動車に過失が認められます。高速道路の走行には十分な注意が必要です。

(2) 高速道路上の合流地点での過失割合

次に、合流地点での過失割合についてご説明します。

高速道路上では、信号機や交差点がありません。そのため、交通事故が少なくなるように思われます。

しかし、信号機や交差点はないものの、高速道路上には合流地点が存在します。

合流地点は、一般道路から高速道路に進入する場合、サービスエリア等から本線に戻る場合、インターチェンジで他の路線に移る場合には避けて通れない場所です。

この合流地点では、本線を走る車と進入してくる車とで、速度に違いがあるため交通事故が発生しやすい状況ができています。実際上も、交通事故が起きる確率が高い場所といわれています。

高速道路上は、本線を走る車両が優先となります。これは道路交通法75条の6第1条にも記載されています。

具体的には、「自動車(緊急自動車を除く。)は、本線車道に入ろうとする場合…当該本線車道を通行する自動車があるときは、当該自動車の進行妨害をしてはならない。」と規定されています。

この条文があることから、本線を走行している車と進入車両とで事故が起きた場合には、進入車両の方が過失割合は高くなります。

なお、本線車両にも過失があると考えるのは、合流してくる車を確認することができることは明らかであるためです。

車線変更などにより事故を避けることができたと判断されます。

  • 本線車両が走行中に進入車が本線に入り、交通事故となった場合→本線車両3:進入車両7

このように、合流地点では進入車両の過失が大きくなります

もっとも、本線走行車両にも過失が認定される点には注意が必要です。

(3) 高速道路上の追い越し事故の過失割合

次に、高速道路上の追い越し事故の過失割合をご説明します。

高速道路では、早く目的地に到着するためによく追い越し車線への車線変更が行われます。このときにも、交通事故は起きやすくなっているのです。

一般道路では、対向車があること等から追い越しの際も比較的気をつけて車線変更が行われています。

しかし、高速道路上では、対向車がないため頻繁に追い越しが行われその分事故の確率もあがるといわれているのです。

実際に、追い越しの際の事故も発生しています。

高速道路上で追い越しの際に事故が起きた場合、車線変更をした側の過失が大きくなります。

高速道上の車線変更事故の場合、一般道路の場合よりも1割過失割合がアップします。高速度での走行のため、車線変更時(進路変更時)はより一層の注意が求められるためです。

具体的には、以下の通りです。

  • 《高速道路》追い越し車線を走行していた車両に、車線変更をした車が衝突した場合
    →追越し車線走行車2:車線変更車8
  • 《一般道路》追い越し車線を走行していた車両に、車線変更をした車が衝突した場合
    →追越し車線走行車3:車線変更車7

このように、追越しの際の事故でも元々その車線を走行していた車よりも、車線変更をした車の方が過失は大きくなります

車線変更は、一般道路よりも注意深く行う必要があります。

(4) 自動車対バイクの事故の過失割合

最後に、自動車対バイク(単車)での交通事故の過失割合をご説明します。

バイクと自動車の事故の場合、単車修正というものが行われます。

単車修正とは、事故当事者の一方が単車(バイク)の場合は、過失割合に修正要素を加える方法のことです。

具体的には、バイクの過失割合が低くなります。

これは、高速道路上の事故でも、一般道路上の事故でも同じです。同様に、単車修正が行われます。

一般道の場合は、自動車同士の事故と比べ1割過失割合が軽く修正されます。

高速道路では、バイク乗車時に事故が起きた場合死亡リスクが極めて高くなるため、過失割合の軽減率も大きくなります。

具体的には、2割程度過失割合が修正されることもあります。

例えば、合流地点で自動車間の事故がおきた場合は、本線車両3:進入車両7です。

このケースで、一方当事者がバイクであった場合には、以下のような過失割合となります。

  • 本線走行中の二輪車に、進入車両(自動車)が衝突した場合→本線車両2:進入車両8
  • 本線走行中の自動車に、進入車両(二輪車)が衝突した場合→本線車両4:進入車両6

このように、バイク対自動車の事故ではバイクが弱者とみなされるため、過失割合に修正が加えられます。

交通事故被害に遭われた方は、ご紹介した典型例の過失割合を参考にしてみてください。

4.高速道路での過失割合。

判断基準・解決にかかる時間は?

次に、高速道路の過失割合の判断基準について解説します。また、高速道路で交通事故被害にあった場合に、解決にかかる時間もご説明します。

(1) 高速道路上の交通事故

過失割合の判断基準

では、高速道路上の交通事故の過失割合はどのように判断されているのでしょうか。

まず、交通事故全体における過失割合の判断基準について理解していきましょう。

過失割合は、先ほどご紹介した通り、8:2などというように表現されています。しかし、これらは何を根拠に定められているのかは明らかではありません。

実は、過失割合は、判例をもとに判断されています。具体的には、過去の事故に関する判例から、当該事故と類似する状況のものを探し出し、過失割合を当てはめているのです。

もっとも、事実関係が全く同じ事故というものは、存在しないため個別事情に修正を加えて、最終的な過失割合を判断していくことになります。

具体的には、過失割合は、どのような態様の事故だったのか(車線変更、合流時、バイク対自動車、自動車同士)だけでなく、運転者の力量や事故時の天気、時間なども考慮して判断しています。

そのため、モデルとなる判例と全く同じ事故というのは存在しないに等しいのです。

このような理由から、過失割合に絶対的な割合は存在しません。個別事情による修正を加えるため、任意保険会社の言い分と、被害者側の言い分で違いが出てくることがあるのです。

任意保険会社側としては、少しでも過失割合を低くして損害賠償額を引き下げようとします。

被害者側としても、適正な損害賠償額を請求するため、自身の過失割合を低く換算しようとします。

高速道路上の事故における過失割合も基本的には同じ判断基準です。

もっとも、高速道路では、最初にご説明した通り、高速度での走行であること等からより一層の注意義務が課せられます。その分、モデルとなる判例でも一般道路に比べると過失割合の比重が重くなるケースもあります。

また、事故が起きた場合には、死亡事故や重症事故など重大事故につながりやすいため、修正要素も一般道路より重く加算されることがあります。

このように、高速道路上の交通事故における過失割合は、加害者側は一般道路の事故よりも重く判断されるケースが多くなります。

過失割合の判断に納得がいかない方は、弁護士に相談することをおすすめします。

(2) 解決までにかかる時間

最後に、高速道路上の交通事故について解決までにかかる時間をご説明します。

まず、損害賠償額を判断するためには、交通事故におけるすべての損害を把握しなければいけません。

治療中はどのくらいの損害がこれからかかるのかわからないため、全損害額を把握できません。そのため、治療終了後まで損害賠償請求ができない状態となります。

損害賠償請求をするのは、治療終了後となるため、軽傷の方が事件解決までの道のりが早くなるということです。

一般道路上の交通事故の場合、ほとんどは軽傷事故です。ケガの程度が軽く完治まで時間を要さないため、事件解決までの期間も短くなっています。

具体的には、3ヶ月程度でほとんどの事件(8割程度)は解決します。もっとも、一般道路の事故でも、重傷事故であった場合などは、1年以上かかることもあります。

高速道路女交通事故は、重大事故が多くなってしまいます。交差点や信号がない分事故は少なくなりますが、高速度での走行のため大きな事故になりやすいのです。

大きな事故になるということは、ケガの程度も大きく、治療に時間がかかります。具体的には6ヶ月以上かかるケースが大半を占めることになります。

また、高速道路上での事故の場合、当事者が感情的になりやすく、過失割合に納得できないケースも増えます。過失割合で揉めると、解決までの時間は長くなってしまいます。

このように、高速道路上での交通事故の場合、一般道路での事故に比べると解決までにかかる時間は長くなりがちです。

早期解決を望む場合は、専門家である弁護士を間にたてることがおすすめです。プロが行う方が、交渉はスムーズに進みます。

5.過失割合に納得できない場合は、弁護士に相談を

高速道路上の交通事故は、被害が大きくなる傾向にあります。

過失割合についても、高速道路上での事故の方が、加害者の過失が大きく判断される事が多くなります。

もっとも、加害者側の任意保険会社もなんとかして負担を減らそうとするため、被害者が納得できない過失割合を提示することがあるのが実状です。

大きなケガとなってしまった場合、被害者は身体の負担から相手の要求に折れてしまうことがあります。

「早く事故の問題を終わらせたい」気持ちは当然ですが、簡単に相手の要求に折れてしまうと、後で後悔をすることになります。

過失割合に納得できない場合は、要求を飲む必要はありません。しっかりと交渉することが大切です。自分で対処できない場合は、弁護士におまかせください。

また、残念にも死亡事故となってしまった場合は、遺族が加害者に損害賠償を請求していくことになります。辛いお気持ちの中、任意保険会社の担当者を相手に交渉を行っていくのは大変なことです。

そんなときこそ、専門家である弁護士に任せてください。交通事故に関する処理を一からサポートいたします。過失割合に納得できない場合は、保険会社と交渉を行います。

泉総合法律事務所は、交通事故に関して経験・知識ともに豊富な弁護士が揃っています。交通事故に関する疑問・お悩みがある場合は、泉総合法律事務所までお気軽にご相談下さい。

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