過失割合 [公開日] [更新日]

自転車事故の「弱者救済の論理」とは?自転車と自動車の過失割合

自転車事故の「弱者救済の論理」とは?自転車と自動車の過失割合

双方車同士の事故はもちろん、最近は自転車が絡んだ事故も増えています。

特に自転車対自動車の事故の場合、自動車の過失割合が当事者の予想以上に大きくなる傾向があります。

そのため、「過失割合に納得がいかない」と思う人は結構多いのではないでしょうか。

今回は

  • 自転車対自動車の事故の場合、なぜ自動車の過失割合が大きくなるのか
  • 具体的な過失割合の例

などについて解説します。

1.自転車の過失割合が軽減される理由

自転車対自動車の事故が起きると、多くの場合自転車の過失割合は小さく、自動車の過失割合が大きくなる傾向があります。

自動車側からすると理不尽では?と思ってしまうような割合になることもあり、なかなか解決に結びつかないケースもあります。それはなぜなのでしょうか。

そもそも自転車は

  • 子どもや高齢者も運転する
  • 免許制ではない
  • 保険に入っていない人がまだ多い
  • 自動車のように車体で保護されておらず、事故で受けるダメージが大きい

などの理由から、「立場が弱い」とされています。

そこに「弱者は救済されるべきである」という弱者救済の考え方(弱者救済の論理)が適用されるため、自転車の過失割合は小さく、自動車の過失割合は大きくなる傾向があるのです。

2.自転車対自動車の具体的な過失割合

(1) 過失割合とは

過失割合とは、事故の当事者のうち、「どちらにどれくらい責任があるか」を示す割合です。

たとえば

  • 損害額が100万円
  • 自分:相手の過失割合が30:70

という事故があった場合、相手に支払ってもらえるのは100万円の70%=70万円となります。

(2) 自転車対自動車の過失割合

自動車同士の事故はもちろん、自転車対自動車の場合も、過去の裁判例などを参考にした「過失割合」の基準があります。

事故の詳細な状況を聞いた保険会社が算定・提示することがほとんどです。

①信号機のある交差点での事故

双方の信号が何色だったかによって過失割合が決められます。

直進車同士の事故を例に挙げると、

  • 自転車青、自動車赤 → 0:100
  • 自転車赤、自動車青 → 80:20
  • 自転車黄、自動車赤 → 10:90
  • 自転車赤、自動車黄 → 60:40
  • どちらも赤 → 30:70

自動車が信号無視をした場合の過失割合は0:100である一方、自転車が信号無視をした場合の過失割合は80:20。

自動車よりも自転車が保護されていることがよくわかります。

②信号機のない交差点での事故

信号機のない交差点での事故の場合、道路幅やどのような事故かによって細かく基準が設定されています。

たとえば道路幅が双方同じ&直進者同士の事故の場合、自転車:自動車の過失割合は基本的に20:80。こちらでも自転車が保護されています。

③その他自転車関係の事故

  • 自転車の巻き込み事故(自動車が左折する際、左方にいた自転車と接触する事故) → 10:90
  • 渋滞中の事故(渋滞時は車の隙間を自転車がすり抜けたりすることが多く事故につながる) → 10:90
  • ドア解放時の事故(解放された自動車のドアに自転車がぶつかる事故) → 0:100

自転車特有の事故でも、基本的に自転車の過失割合は小さく設定されています。

3.自転車の過失割合の修正

2で示した過失割合はあくまでも基準であり、事故の状況によって自転車の過失割合が小さくなったり大きくなったりする様々な要素があります。

(1) 自転車の過失割合が小さくなる場合

  • 自転車の運転者が子どもや高齢者の場合 → -5%
  • 自転車横断帯や横断歩道を走行中の事故 → -5~10%
  • 自動車の著しい過失 → -5~20%
  • 自動車の重過失 → -10~30%

(2) 自転車の過失割合が大きくなる場合

一方、下記のような状況の場合は自転車の過失割合が大きくなることがあります。

  • 夜間の事故 → +5%
  • 自転車が右側通行していた場合 → +5%
  • 自転車の著しい過失 → +5%
  • 自転車の重過失 → +10%

※自転車の過失の例:ふらふら運転、片手運転、飲酒運転、灯火義務違反 など

4.まとめ

自転車と自動車の事故は、「弱者救済」の考え方から、自転車側の過失割合が小さくなり、自動車側の過失割合が大きくなることがほとんどです。また、双方の信号の色やそれぞれの車のスピード、指示器の使用の有無などで過失割合に様々な修正が入ります。

かなり無茶な運転をしていた自転車を避けきれず接触事故を起こしてしまっても、自動車の過失割合の方が大きく納得がいかない…という状況がそもそも多いうえ、過失割合の修正まで入ってくると「友人が自転車と事故を起こした時はこんな過失割合ではなかった」というような不満が出ることもあります。

このように、自転車が絡んだ交通事故は過失割合において「双方が納得のいく解決」とはなりにくいのです。

今回解説した自転車対自動車だけでなく、最近では自転車×歩行者の事故も増えてきています。

スマートフォンを見ながら自転車を運転していて歩行者にぶつかり、高額の賠償命令が出た例もあります。

自転車は保険の加入が義務付けられていませんが、これを機に一度保険を見直してみてもいいかもしれません。

また、自動車の運転者はもちろん、自転車を主に使っている人も、もう一度基本的な交通ルールを確認しておいたほうがいいでしょう。

もし、交通事故でお悩みの方、不安がある方は、自転車事故に留まらず、お早めに泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

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