過失割合 [公開日]2018年2月26日[更新日]2020年9月14日

非接触事故の過失割合と相手が立ち去った場合の対応

交通事故には、車同士が衝突する典型的な接触事故以外にも、接触が発生していないにもかかわらず発生してしまう非接触事故があります。

非接触事故のケースでは、実際の衝突がない分、法律上の因果関係や過失割合について、接触事故とは異なる注意点が存在します。

また、非接触事故では加害車両が無傷のケースも多いため、そのまま走り去ってしまって加害者不明となることもあり得ます。
このような場合、被害者はどのように対処すれば良いのでしょうか。

この記事では、非接触事故の被害者になってしまった場合の注意点などについて解説します。

1.非接触事故とは?

まずは、非接触事故とはどのような事故であるのかについて、具体例とともに解説します。

非接触事故とは、被害車両と加害車両の間で直接の接触がない交通事故をいいます。

直接の接触がない場合であっても、加害車両の運転ミスやあおり行為などの故意・過失によって、被害車両が事故に巻き込まれたという関係が認められることがあります。

この場合には、接触事故のケースと同様に、被害者は加害者に対して、不法行為に基づく損害賠償を請求することができます(民法709条、710条)。

非接触事故の具体例としては、以下のようなものが考えられます。

<非接触事故の具体例>
・赤信号で交差点に進入してきた車をよけた結果、バイクが横転
・対向車線からはみ出した車をよけた結果、ガードレールに衝突
・隣の車線から急に車線変更をしてきた車をよけるために急ブレーキを踏んだ結果、ガードレールに衝突

2.非接触事故における注意点|因果関係・過失割合

非接触事故は、接触事故の場合とは異なり、「ぶつかられた衝撃でケガをした(車が壊れた)」という分かりやすい関係が成り立ちません。

そのため、主に因果関係と過失割合の点で、接触事故よりも被害者側にとってのハードルが高くなる傾向にあります。

(1) 因果関係の立証難易度が高い

非接触事故の場合における因果関係の立証において特徴的な点として、「被害者が事故を回避することができたかどうか」が判断されるということが挙げられます。

たとえば前方を走る加害車両が急な車線変更をしてきたとしても、車間距離が十分に保たれていたケースであれば、被害者は急ブレーキを踏む必要はなく、事故を回避できた可能性が高いでしょう。

それにもかかわらず、被害者が不要な急ブレーキを踏んで事故に遭った場合には、加害者の行為と交通事故の結果の間の因果関係が否定される可能性があります。

加害者の行為と交通事故との間の因果関係については、被害者側に立証責任があります。

非接触事故のケースでは、接触事故の場合よりもいっそう、事故の状況を詳細かつ具体的に証拠によって立証する必要がある点で、被害者にとってハードルが高いといえるでしょう。

(2) 接触事故よりも被害者側の過失割合が高くなることが多い

加害者の行為と交通事故との間の因果関係が否定されなかったとしても、接触事故の場合と比べて、「事故を避けられたかもしれない」という点についての被害者側の過失が多めに考慮される可能性があります。

たとえば、通常の接触事故であれば加害者8割、被害者2割の過失割合が認定されるところ、非接触事故では7割対3割や6割対4割と、被害者側に不利な過失割合が認定されるケースも多いところです。

被害者としては、交通事故について自らに過失はなかったと反論していくことになりますが、接触事故のケースと比べると、そのハードルは高いと言わざるを得ません。

3.非接触事故の直後に被害者が取るべき対応

非接触事故に遭ってしまった場合、加害者側(加害者・任意保険会社)に対して正当に損害賠償や保険金を請求するためには、事故直後の被害者の行動がかなり重要になります。

以下では、非接触事故のケースにおいて、被害者が事故直後に取るべき対応・行動について解説します。

(1) 警察を呼んで事故状況を詳しく説明する

先述の通り、非接触事故のケースでは因果関係や過失割合についての立証のハードルが高いため、事故現場に残されているあらゆる痕跡を利用して、立証に役立てる必要があります。

そのため、事故直後にはすぐに警察を呼んで現場検証をしてもらうことが重要です。

その際、事故の状況を詳しく説明して、できる限り詳細な現場検証をしてもらい、少しでも被害者に有利な現場証拠が多く獲得できるようにしましょう。

[参考記事]

交通事故の現場検証で気をつけるべきことと知っておくべきこと

(2) 事故の目撃者を探す

非接触事故では、現場の状況だけでは因果関係や過失割合を立証するのに不十分なことも多いため、目撃者の存在も重要になります。

目撃者が、交通事故について専ら加害者側に過失があるということを具体的に証言してくれるのであれば、被害者側にとって有利な解決ができる可能性が高くなるでしょう。

(3) 加害車両のナンバープレートを最低限確認する

加害者側に対して損害賠償や保険金を請求するには、大前提として加害者が誰であるかを把握しておかなければなりません。

しかし、非接触事故のケースでは加害車両が無傷なことも多く、そのまま走り去ってしまってしまうこともしばしばあります。
その場合でも、最低限加害車両のナンバープレートを確認しておきましょう。

加害車両のナンバーが判明していれば、後から調査をすれば、加害車両の所有者が判明しますので、加害者の特定に繋がります。

交通事故の混乱の中で瞬時にナンバーを把握することは非常に困難ですが、携帯電話のカメラなどを起動して撮影する方法なども有効です。

なお、車に普段からドライブレコーダーを設置しておけば、非接触事故などが発生した場合に、加害者の特定に繋がる映像が撮影できる可能性が高くなります。

もしもの場合に備えて、ドライブレコーダーの設置も検討してみましょう。

[参考記事]

ドライブレコーダーの証拠能力。交通事故でどれほどの効果があるか

4.加害者がわからない場合の対処法

加害車両があっという間に走り去ってしまったり、混乱のあまりナンバープレートを確認することに思い至らなかったりして、非接触事故の現場で加害者に関する情報が何ら得られないということも考えられます。

このような場合には、被害者はどのように対処したら良いのでしょうか。

(1) 警察に被害届を提出する

非接触事故のケースで加害者が誰だかわからない場合、まずは警察に被害届を提出しましょう。

警察に被害届を提出すれば、事故現場の周りにある防犯カメラ映像などを調査し、加害車両の特定をしてくれることがあります。

特に、最近の防犯カメラの映像技術と解析技術はかなり高いレベルに達しているため、少しでも加害車両が防犯カメラに映っていれば、加害車両の特定に繋がる可能性があるでしょう。

(2) 被害者自身が加入している保険から保険金を受け取る

どうしても加害者を特定することができない場合には、被害者自身が加入している保険に対して保険金を請求することが考えられます。

交通事故で怪我をしてしまったり、車が壊れてしまったりした場合に、保険金の支払い対象となる保険に加入していないかをよく確認しましょう。

典型的な例としては、任意で加入する自動車保険の「人身傷害保険」が挙げられます。

人身傷害保険のみを利用する場合には、保険の等級に影響せず、翌年の保険料が上がることもないのが通常です。

保険が適用できるかどうかの詳細については、ご自身が加入している保険の保険会社にご確認ください。

(3) 政府保障事業からの補償を受ける

加害者が不明であり、かつ自分が加入している保険などからの補償も受けられないという場合には、最後の手段として「政府保障事業」から補償を受ける方法が考えられます。

政府保障事業とは、交通事故のケースにおいて加害者が不明であったり、無保険車であったりするなど、被害者が自賠責保険からの救済を受けられない場合に、加害者に代わって被害者の損害を補填する事業をいいます。

政府保障事業から受けられる補償には、自賠責保険の限度額が適用されます。
そのため、被害者が被った損害全額が補填されるとは限りません。

しかし、他に救済を受けられる方法が何もない場合には、最低限政府保障事業を利用できるということを知っておいて損はないでしょう。

5.非接触事故の被害者になった場合は弁護士に相談を

非接触事故は、接触事故の場合と比べて、因果関係や過失割合の立証するためのハードルが高いのが特徴です。

そのため、加害者側に対して損害賠償や保険金を請求する際には、接触事故の場合以上に丁寧な立証活動を行うことが求められます。

被害者の方だけでは十分な準備をすることは難しいため、加害者が判明している非接触事故に遭ってしまった場合には、弁護士に相談することをおすすめいたします。

当事務所の弁護士は、非接触事故に関する損害賠償請求や保険金請求も多数取り扱っています。
具体的な事故の状況に合わせて、利用可能な証拠を丁寧に収集したうえで、依頼者にとって最善の解決が得られるように尽力いたします。

非接触事故による被害でお悩みの方は、ぜひ泉総合法律事務所までご相談ください。

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