過失割合

センターラインオーバー事故の過失割合について〜判例と過失相殺〜

センターラインオーバー事故の過失割合について〜判例と過失相殺〜

【この記事を読んでわかる事】

  • センターラインオーバーの事故では原則被害者の過失はゼロ
  • 事例によっては被害者の過失が20%前後認められることもある
  • センターラインオーバーの自動車事故の過失割合は弁護士に相談すべき

正面から走ってきた車がセンターラインオーバーだったために正面衝突してしまった場合、センターラインオーバーしていなかった車の運転手にも過失が認められ、過失相殺されることがあります。

それはどのような場合なのでしょうか。

今回は、センターラインオーバーにおける過失割合について、弁護士が詳しく解説します。

1.センターラインオーバーの事例

(1) 原則被害者に過失はない

相手がセンターラインオーバーしたことによって正面衝突してしまった自動車事故の場合には、過失割合は原則として、加害者100:被害者0になります。

なぜなら、自動車は、道路交通法第17条4項によって、道路の左側部分を通行しなければいけないことになっていますし、さらに同法第18条1項によって、道路の左側に寄って通行しなければならないことになっているからです。

たとえば、岡山地方裁判所平成23年9月12日判決は、センターラインオーバーした自動車が、対向車線上のA自動車、B自動車に順次衝突したという事案において、B自動車の運転者がセンターラインオーバーした自動車の運転手の相続人に損害賠償請求したというケースで

「一般に自車線内を走行する車両運転手には、対向車のセンターラインオーバーを予期すべき注意義務は要求されないから、具体的危険を認識するに至るまでに若干の時間的余裕を許容する必要があるし、また左側への避譲については後続車および自車の安全に対する配慮の余裕をも許容する必要があることを考慮すると、被害者が加害車両とA自動車との衝突直後に衝突回避措置を講じなかったとしても、被害者に過失相殺において斟酌するべき過失があったということはできない」

と判断して、被害者の過失は0としています。

(2) 被害者に過失が認められた事例

一方、例外的に被害者に過失が認められたのは、下記のような事例です。

・名古屋高等裁判所平成26年11月28日判決

普通乗用自動車を運転する加害者が、渋滞している自動車を避けて、前方の右折直進レーンに入るために、センターラインオーバーで進行していたところ、被害者(バイク)に正面衝突したという事案です。

この事案では、被害者の方に、制限速度40㎞の道路を約時速50㎞で走行していたという速度制限違反と前方不注視があったと認定されました。

前方不注視の過失があったと認定されたのは、衝突の2秒前になってやっと、センターラインオーバーしている対向車線の車の存在に気付いたためです。

そのため、被害者が、制限速度を守り、前方をきちんと見ていれば、センターラインオーバーの車がいたとしても、衝突を避けることができたと判断されて、過失割合は、加害者80:被害者20と認定されました。

・東京地方裁判所平成24年5月25日判決

被害者(普通乗用自動車)が、夜間に見通しのよい交差点に進行したところ、加害者(バイク)が、何らかの事情によって、センターラインを超えて進行してきたために、衝突した事案です。

この事案では、被害者は、見通しがよい道路を走行していたのに、加害者のバイクとの衝突直前まで、加害者のバイクの存在に気付かなかったのは、前方不注視の過失があったからであると認定されました。

そのため、被害者が、もっと早くに加害者のバイクに気付くことが可能であり、加害者のバイクに早めに気付いていれば、衝突を避けることができたと認定され、加害者85:被害者15の過失割合と認定されています。

・京都地方裁判所平成24年9月5日判決

見通しの悪いカーブでの衝突において、加害者は、わき見運転とセンターラインオーバーの過失、被害者は減速不十分で道路中央部付近を走行した過失がそれぞれあると認定されて、加害者80:被害者20の過失割合であると認定されました。

2.被害者にも過失が認められる理由

(1) 被害者の義務違反

判例から明らかなように、通常は、対向車線を走行してくる車両が、センターラインオーバーをするかもしれないと予期し、これに備えなければいけないというような義務はありません。

加害者がセンターラインオーバーをしたために起こった交通事故で、被害者にも過失が認められるのは、被害者自身にもなんらかの義務違反がある場合です。

被害者が仮にその義務をきちんと守っていたならば、衝突を回避することが可能だったと認定されれば、被害者にも過失が認められます。

被害者の義務違反として多いのは、被害者の車が左寄り通行義務を果たしていなかった場合や、被害者の車にスピード違反があった場合などです。

また、被害者が、衝突直前まで加害者に気付かなかった場合は、前方不注視の過失があったと判断される可能性があります。

(2) 被害者に著しい過失や重過失がある場合

交通事故の実務では、東京地方裁判所の民事交通訴訟研究会が発行している「別冊判例タイムズ38号」という本が、過失割合を決めるための参考として利用されています。

この本には、交通事故の類型ごとに、加害者と被害者の基本の過失割合が掲載され、さらに、事案ごとの事情に応じた修正要素も掲載されています。

別冊判例タイムズ38号においても、センターラインオーバーでの衝突は、【150】により、基本は「被害者0:加害者100」となっています。

そして、被害者側に過失が認められる修正要素として、被害者に著しい過失や重過失がある場合と加害者が、他の車両を追い越すためにセンターラインオーバーしていた場合に被害者に速度オーバーがある場合が挙げられています。

被害者の「著しい過失」とは、前方不注視の場合や、センターラインオーバー車を発見したときに遅滞なく対処すれば、容易に衝突を避けられたと認められるような場合などが当てはまります。この場合には、被害者に10%の過失が認められます。

被害者の「重過失」とは、前方不注視の時間が長い場合などです。この場合は、被害者の過失は20%となります。

加害者が他の車両を追い越すためにセンターラインオーバー中の場合に、被害者が15㎞以上の速度違反があれば10%、30㎞以上の速度違反があれば20%の過失となります。

もっとも、加害者に速度違反やその他に過失があった場合には、加害者の過失割合が増える結果、被害者の過失割合が減るということもあります。

結局は、個別具体的な事情によって、過失割合が決められるということです。

3.被害者になってしまったら?

センターラインオーバーによる交通事故の被害者になってしまった場合、自分は一方的な被害者だと思っていても、相手から過失相殺を主張されることもあります。

また、損害賠償(慰謝料)額について争いになる場合もあるでしょう。

相手の保険会社から提示された過失割合や損害賠償金額に納得いかない場合は、自己判断せずに、弁護士に相談した方がよいでしょう。

原則として100:0とはいえ、事故の態様によって過失割合は変わりますから、正当な賠償金額を受け取れるように弁護士に事案に応じた主張で、保険会社と交渉してもらうべきです。

弁護士費用が高いという思い込みで、弁護士に相談もせずに保険会社の言いなりで示談すると、弁護士費用を払うよりももっと多額の損をすることがあります。

4.交通事故の相談は泉総合法律事務所へ

こちらはセンターラインを守っていたのに!と思うのはもっともですが、判例では被害者側にも過失が認められていることもあるのが現実です。

交通事故の被害者になってしまったら、お早めに泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

交通事故の解決実績が豊富な弁護士が、適切な損害賠償金額の獲得のために被害者の方を全力でサポートいたします。

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