過失割合 [公開日] [更新日]

自転車に著しい過失や重過失がある場合、過失割合で気をつけるべき事

自転車に著しい過失や重過失がある場合、過失割合で気をつけるべき事

通常、自動車と自転車の交通事故ですと、自転車の過失割合が自動車の過失割合より多くなることは決してない、と考える方が多いかもしれません。

しかし、事故態様によっては自転車の過失割合の方が大きくなるケースもあります。

ここでは、自動車を運転している際に自転車と事故にあってしまった場合の対応や過失割合についてご説明していきたいと思います。

1.自転車の特殊性

(1) 自転車の利用者数は非常に多い

「自転車」というと、俗に「ママチャリ」と呼ばれるシティサイクルをイメージされる方が多いかと思われますが、最近では、スポーツタイプの自転車が流行っており、街中でもよく見かけます。

また、健康のために、自転車で通勤や移動をされる方も増えていると聞きます。

自転車に乗る機会が増えれば、自転車で交通事故にあう可能性も高くなりますし、自分が自動車を運転している際に自転車と事故にあってしまう可能性も高まります。

自転車は非常に身近な乗り物です。自動車や原動機付自転車のように免許も要りませんし、ガソリンも不要ですから、子どもから高齢者まで、誰でも乗ることができます。

(2) 自転車は「車両」である

普段あまり意識されない方も多いのですが、実は自転車は、道路交通法上、「軽車両」として「車両」にあたり(道路交通法2条8号・11号)、原則として、自動車や原動機付自転車と同様の交通規制を受けます。

たとえば、自転車は、歩道又は路側帯と車道の区別のある道路においては、原則として車道を通行しなければなりません(道路交通法17条1項)。

他方で、自転車は、自動車や原動機付自転車に比べてスピードが出ない、走行時や停止時に不安定になりやすい、自動車を運転できない人も運転できるといった特殊性があります。

そのため、自動車や原動機付自転車と違った交通規制を受ける場合もあります。

上記のように、原則として車道を通行しなければならないとされているものの、道路標識などで歩道における自転車の通行を可能としていたり、自転車運転者が幼児・児童などの場合や交通状況によっては、自転車は歩道を通行することができるとされているのもその一つです。

また、歩行者よりもスピードが速い、歩道から車道に急に飛び出してきたり、逆に車道から歩道に急に進路変更したりといったように動きが複雑という点も、自転車ならではな特殊性と言えるでしょう。

2.自動車運転中に自転車と事故になったら

自動車に乗っていて自転車との交通事故にあってしまったら、まずは警察に連絡をする必要があります。これは、事故の相手が自動車、原動機付自転車、歩行者の場合と変わりません。

自動車と自転車の事故の場合、自転車の運転手がケガを負うことは少なくありませんが、自動車の運転手がケガをするケースもあります。

たとえば、自転車と衝突しそうになって急ブレーキをかけたために頸椎を捻挫してしまう(いわゆるむち打ち)場合などです。

むち打ちの場合は、事故現場で痛みがなくても後になって症状が出ることもありますから、自動車の運転手も、相手が自転車で自分にはケガはないと思っても、病院で診てもらうようにしましょう。

【参考】むち打ちの慰謝料に相場はあるのか?慰謝料算出の基準とは

3.自動車と自転車の事故における過失割合

基本過失割合は、自転車:自動車で20:80

上でご説明したように、自転車には、自動車・原動機付自転車とも、歩行者とも違う特殊性があります。

そのため、自動車と自転車の事故における過失割合についても、自転車の特殊性を加味して基準が検討されています。

ざっくり言いますと、自転車の方が自動車よりも弱い立場にありますから、同じ事故態様でも、自動車同士の事故の場合に比べ、自転車の過失割合が小さく設定されています。

たとえば、「信号機により交通整理の行われていない同幅員の交差点における直進自動車同士の出合い頭の事故(両車が同程度の速度)」の場合、基本過失割合は、左方車:右方車で40:60とされていますが、自転車と自動車で同様の事故態様の場合は、自転車は通常自動車よりも速度が遅いことから、速度差があることを前提として、基本過失割合は、自転車:自動車で20:80とされています。

なお、原動機付自転車を含む単車(バイク)と自動車の事故の場合も、自動車同士の事故より単車の過失割合が小さく修正されていますが、自転車の場合は、単車よりもさらに過失割合が小さく修正されています。

4.過失割合の修正要素

自動車と自転車の事故における過失割合の基本的な考え方については、上でご説明したとおりですが、個々の事案で以下のような事情がある場合には、基本過失割合が修正されます(以下に挙げたものがすべてではありません。)。

【参考】自転車と自動車の事故の過失割合。自転車特有の修正要素とは?

①自転車の過失割合を基本過失割合よりも小さく修正する事情

  • 自転車運転者が、児童など(おおむね13歳未満の者)・高齢者(おおむね65歳以上の者)の場合
  • 自転車が自転車横断帯や横断歩道を通行していた場合
  • 自動車に著しい過失や重過失がある場合

②自転車の過失割合を基本過失割合よりも大きく修正する事情

  • 事故が夜間に起きた場合(事故態様により、修正する場合としない場合があります。)
  • 自転車に著しい過失や重過失がある場合

5.危険運転の自転車と事故に遭ったら

自動車と自転車の事故の場合、自転車の方が自動車よりも弱い立場にあることから、自転車の過失割合の方が小さくなるケースが多いと言えます。

ですが、上でご説明したように、自転車に著しい過失や重過失がある場合には、基本過失割合が修正されます。

自転車の著しい過失とは、たとえば、酒気帯び運転、2人乗り、無灯火、並進、傘をさすなどしてされた片手運転、携帯電話などで通話しながら・画像を注視しながらの運転などが、これにあたります。

自転車の重過失とは、著しい過失よりもさらに重い、故意に比肩するような重大な過失で、たとえば、酒酔い運転や、ブレーキの付いていない「ピスト」などの制動装置不良の場合などが、これにあたります。

このように、自転車が悪質な危険運転をしていた場合には、基本過失割合が修正され、自転車の過失割合が5~10程度大きくなることがあります。

また、事故態様によっては、自転車の過失割合が自動車よりも大きくなるケースもあります(信号機により交通整理の行われている交差点で、直進自動車が青信号、直進自転車が赤信号で交差点に進入した出合い頭の事故の場合など)。

6.まとめ

本コラムでは、自動車と自転車の事故が起きてしまった場合の対応や過失割合の考え方についてご説明させていただきました。

自動車と自転車ですと、自転車の方が、車体が小さく、安定性もありませんから、自動車に比べ弱い立場といえ、過失割合を決めるにあたっても、その点が考慮されます。

そのため、自動車より自転車の過失割合が大きくなるというケースはそれほど多くないでしょう。

しかし、自転車が(悪質な)危険運転をしていたような場合には、事故態様によっては自転車の過失割合の方が大きくなるケースもあります。

自動車と自転車の事故では、常に自動車の過失割合が大きくなるわけではないということをご理解いただければと思います。

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