過失割合 [公開日]2018年1月26日[更新日]2020年8月19日

自転車と車の事故の過失割合|自転車が悪いとどうなる?

自転車と自動車の接触事故でも、賠償額の算定において「過失割合」の問題が生じることがあります。

自転車と自動車の過失割合については、一般的に、「自転車は歩行者のように自動車より保護されているから、その過失割合は小さいもの」と考えられているかもしれませんが、実際はそれほど単純ではありません。

今回は、自転車と自動車の交通事故における過失割合について解説します。
果たして、自転車の方が、過失割合が多くなることはあるのでしょうか?

1.そもそも過失割合とは?

交通事故において、被害者にも過失がある場合、加害者の被害者に対する損害賠償の額を算定するにあたりその被害者の過失を考慮することができます(民法722条2項)。
これを過失相殺といいます。

過失相殺は、不法行為により被害者に生じた損害の公平な分担を図るための制度であり、その調整を行うために考慮する被害者に生じた損害に対する責任の割合のことを過失割合といいます。

たとえば、被害者に生じた損害が1000万円の場合には、被害者の過失割合10%ならば、加害者の賠償額は1000万円×10%=100万円の減額となります。

交通事故における過失割合というのは、最終的に、被害者が加害者に対して請求できる賠償金を大きく左右する重要な要素の1つなのです。

交通事故における過失相殺について|損害賠償に大きな影響

[参考記事]

交通事故における過失相殺について|損害賠償に大きな影響

自転車で事故に遭った場合、自転車は通常保険に入っていないため、被害者は直接加害者側の任意保険会社と交渉をすることになります。
この際、保険会社から不当に大きな過失割合を主張されてしまうことも多いようです。

納得ができない過失割合のまま示談に応じてしまえば、適切な賠償金を受け取ることができなくなりますから、このような場合は弁護士等の専門家に相談するようにしましょう。

[参考記事]

交通事故の過失割合|もめる・ごねる相手に納得いかない場合の対処法

2.自転車の過失割合について

次に、自転車の過失割合について解説します。

自転車の速度は、歩行者の速度と単車の速度の中間であるから、自転車の過失割合に関しては、「単車より有利に修正するものの歩行者と同程度に有利には修正しない」というのが基本的な考え方になります。

それを踏まえた上で、自転車の過失割合は以下のような要素によって増減される可能性があります。

(1) 速度超過による修正

先に説明した自転車の過失割合に関する基本的な考え方は、通常想定された自転車の速度を前提としています。

逆にいえば、自転車の速度が通常想定される速度(概ね時速15㎞程度)を大幅に超えている速度で自転車が走行していた事故の場合には、単車より自転車を有利に取り扱う必要性はありませんから、自転車の過失割合は単車と自動車の事故と同様の基準により判断されます。

(2) 右側通行による修正

自転車は、道路交通法(以下「道交法」)上、「軽車両」(道交法2条1項11号)、「車両」(同項8号)に該当します。

したがって、自転車は、他の車両同様、原則として、道路の左側部分を通行しなければならず(道交法17条4項)、特に車両通行帯の設けられていない道路では、道路の左側端に寄って通行しなければなりません(道交法18条1項本文)。

他方、実際の交通実態として、自転車が右側通行することは稀ではありません。
そこで、自転車の右側通行という違反のある場合でも、自動車側の右方から交差点に進入する場合には、進入してくる自転車を目で確認できる時間は長いことから特に過失割合は修正されませんが、自動車側から見て左方から自転車が右側通行の違反をして交差点に進入するような場合には、特に事故の回避を困難にさせるような態様での走行であるとして、自転車に5%程度不利な過失割合の修正を行うものとされています。

(3) 不注意の程度による修正

また、自転車に著しい不注意あるいは極めて著しい不注意のある場合、その不注意の程度に応じて、5%~15%程度、自転車に不利な過失割合の修正を行うものとされています。

ここでいう「自転車の著しい不注意」とは、たとえば、酒気帯び運転、スマートホンを見ながら等の脇見運転、2人乗り、無灯火、傘を差すなどしてされた片手運転などです。

また、「自転車の極めて著しい不注意」とは、たとえば、酒酔い運転、ブレーキを備えていない競技用自転車(いわゆる「ピスト」等)を公道において使用しているような場合です。

3.「自転車が悪い」とされるケースの具体例

では、交通事故において自転車が悪い(自転車の方が過失割合が高いとされる)ケースにはどのようなものがあるのでしょうか?

(1) 自転車の赤信号無視

最初の典型は、自転車の赤信号無視のケースです。

たとえば、自転車が赤信号を無視して交差点に進入し、青信号に従って交差点に進入してきた自動車にぶつかってきた場合の過失割合は「自転車80%:自動車20%」です。

これは、自転車が赤信号を無視して横断歩道を渡っていたケースでも同様で、この場合は「自転車75%:自動車25%」となります。

(2) 基本となる過失割合の修正の類型

基本となる過失割合自体は自転車の方が同じか、又は小さいものの、先の過失割合の修正すべき事情の存在により、結果として自転車の過失が自動車より大きくなる類型の事故があります。

たとえば、自転車が道路上においてUターンしようとした際に、同一車線あるいは対向車線を直進する自動車と衝突した場合(基本となる過失割合は自転車50%:自動車50%)で、Uターン禁止場所での事故であれば自転車に10%不利に修正されます。
あるいは、自転車に先に説明した程度の重い不注意のある場合には適宜不利に修正され、結果として、自動車より大きな過失割合となります。

この他にも、以下のような類型の事故がありますので参考にしてください。

  • 信号による交通整理のない交差点において、非優先道路を直進・右折する自転車と優先道路を直進・右折する自動車との衝突事故(いずれの場合でも自転車50%:自動車50%)
  • 信号による交通整理のない交差点において、一方通行違反の直進自転車とその左方・右方から直進してきた自動車との衝突事故(自転車50%:自動車50%)
  • 信号による交通整理のない交差点及び信号による交通整理のある交差点において双方青信号における右折自転車と直進自動車との衝突事故(いずれの場合でも自転車50%:自動車50%)など

4.自転車と車の事故についても弁護士へ相談を

上記の通り、自転車と自動車の交通事故については、必ず自動車に100%の過失割合が認められるものではなく、事故類型や具体的事情に応じて様々な過失割合のパターンがあります。

「自転車が信号無視して車に突っ込んできた」「自転車が死角から猛スピードで飛び出してきた」などの場合には、自転車の過失割合が高くなることも多いでしょう。

自転車と車の交通事故でお悩みの被害者の方は、一度弁護士に相談することにより、ご自身の事故のケースにおける適切な賠償金額を検討してもらうことをお勧めします。なお、当事務所においては、加害者の任意保険会社が対応していない場合には、お受けしておりません。

泉総合法律事務所は、様々なパターンの交通事故案件を解決してきた実績が豊富な弁護士事務所です。
自転車と自動車の事故についてもご相談をお受けしておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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