過失割合

自転車と自動車の事故の過失割合。自転車特有の修正要素とは?

自転車と自動車の事故の過失割合。自転車特有の修正要素とは?

自転車と自動車の交通事故でも、賠償額の算定において、他の事故と同様に過失割合の問題が生じることがあります。

自転車と自動車の過失割合については、一般的に、自転車は歩行者のように自動車より保護されているから、その過失割合は小さいものと考えられているかもしれませんが、実際は、それほど単純ではありません。

そこで、今回は、自転車と自動車の交通事故における過失割合について解説します。これを読めば、自転車での事故を軽く見てはいけないことが分かると思います。

1.そもそも過失割合とは?

(1) 過失相殺の意味

交通事故において、被害者に過失のある場合、加害者の被害者に対する損害賠償の額を算定するにあたり、その被害者の過失を考慮することができ(民法722条2項)、これを過失相殺といいます。

(2) 過失相殺における過失割合

この過失相殺は、不法行為により被害者に生じた損害の公平な分担を図るための制度であり、その調整を行うために考慮する被害者に生じた損害に対する責任の割合のことを過失割合といいます。

(3) 過失割合は賠償額に大きく影響することがある

このように過失割合は、加害者の賠償責任に影響を及ぼすものであり、この影響は、損害額の大きい場合には顕著となります。

たとえば、被害者に生じた損害の額は1000万円だとした場合には、被害者の過失割合10%でも、加害者の賠償額は1000万円×10%=100万円の減額となります。

したがって、交通事故における過失割合というのは、最終的に、被害者が加害者に対して請求できる賠償金を大きく左右する重要な要素の1つなのです。

(4) 過失相殺率

ちなみに、過失割合に似た言葉として、過失相殺率という言葉を聞いたことがあるかもしれません。

細かい部分での違いはありますが、今回の解説では、両者は同じ意味の言葉として過失割合に統一して説明します。

2.自転車の過失割合について

(1) 基本的な考え方

自転車の速度は、歩行者の速度と単車の速度の中間であるから、自転車の過失割合に関しては、単車より有利に修正するものの歩行者と同程度に有利には修正しない。これが、基本的な考え方になります。

(2) 自転車特有の過失割合の修正要素

①速度超過による修正

先に説明した自転車の過失割合に関する基本的な考え方は、通常想定された自転車の速度を前提としています。

逆にいえば、自転車の速度が通常想定される速度、これは概ね時速15㎞程度とされていますが、これを大幅に超えている速度で自転車が走行していた事故の場合には、単車より自転車を有利に取り扱う必要性はありませんから、自転車の過失割合は単車と自動車の事故と同様の基準により判断されます。

②右側通行による修正

自転車は、道路交通法(以下「道交法」といいます。)上、「軽車両」(道交法2条1項11号)、「車両」(同項8号)に該当します。

したがって、自転車は、他の車両同様、原則として、道路の左側部分を通行しなければならず(道交法17条4項)、特に車両通行帯の設けられていない道路では、道路の左側端に寄って通行しなければなりません(道交法18条1項本文)。

他方、実際の交通実態として、自転車が左側通行に違反して右側通行することは稀ではありません。

そこで、自転車の右側通行という違反のある場合でも、自動車側の右方から交差点に進入する場合には、進入してくる自転車を目で確認できる時間は長いことから特に過失割合は修正されませんが、自動車側から見て左方から自転車が右側通行の違反をして交差点に進入するような場合には、特に事故の回避を困難にさせるような態様での走行であるとして、自転車に5%程度不利な過失割合の修正を行うものとされています。

③不注意の程度による修正

また、自転車に著しい不注意、あるいは、極めて著しい不注意のある場合、その不注意の程度に応じて、5%~15%程度、自転車に不利な過失割合の修正を行うものとされています。

ここでいう、自転車の著しい不注意とは、たとえば、酒気帯び運転、スマートホンを見ながら等の脇見運転、2人乗り、無灯火、傘を差すなどしてされた片手運転などです。

また、自転車の極めて著しい不注意とは、たとえば、酒酔い運転、ブレーキを備えていない競技用自転車(いわゆる「ピスト」等)を公道において使用しているような場合です。

3.自転車の過失が大きい場合の具体例

(1) 歩行者の場合でも過失の大きい類型の事故

まず、歩行者と自動車の事故でも、歩行者の過失割合の大きいとされるような事故であれば、当然、自転車でも過失割合は大きくなります。その典型は、赤信号無視のケースです。

たとえば、自転車が赤信号を無視して交差点に進入し、青信号に従って交差点に進入してきた自動車と衝突した場合の過失割合は自転車80%:自動車20%です。

ちなみに、同様のケースにおける歩行者と自動車の事故における過失割合は歩行者70%:自動車30%ですから、それと比較して、自転車の場合には、10%不利に修正されています。他方、これが自動車であれば信号無視の自動車の過失割合は基本的に100%です。

(2) 基本となる過失割合の修正の類型

次に、基本となる過失割合自体は、自転車の方が小さいものの先の過失割合の修正すべき事情の存在により、結果として、自転車の過失が自動車より大きくなる類型の事故があります。

たとえば、自転車が道路上においてUターンしようとした際に同一車線あるいは対向車線を直進する自動車と衝突した場合の基本となる過失割合は自転車50%:自動車50%であるところ、Uターン禁止場所での事故であれば自転車に10%不利に修正され、あるいは、自転車に先に説明した程度の重い不注意のある場合には適宜不利に修正され、結果として、自動車より大きな過失割合となります。

こうした類型の事故は、歩行者にはない、車両である自転車特有の事故であるといえます。

もっとも、このように自転車に不利な過失割合の修正を行うことにより、自動車より自転車の過失割合の大きくなるケースは、それほど多くはありません。先に挙げたUターン事故の他には、以下のような類型の事故がありますので、参考にしてください。

  1. 信号による交通整理のない交差点において、非優先道路を直進・右折する自転車と優先道路を直進・右折する自動車との衝突事故(いずれの場合でも自転車50%:自動車50%)
  2. 信号による交通整理のない交差点において、一方通行違反の直進自転車とその左方・右方から直進してきた自動車との衝突事故(自転車50%:自動車50%)
  3. 信号による交通整理のない交差点及び信号による交通整理のある交差点において双方青信号における右折自転車と直進自動車との衝突事故(いずれの場合でも自転車50%:自動車50%)などです。

4.自転車で事故に遭った場合

自転車で事故に遭った場合、自転車は、通常、保険に入っていませんから、自動車側の保険会社から不当に大きな過失割合を主張されてしまい、これに応じてしまえば、適切な賠償金を受け取ることができなくなり、場合によっては、不当に賠償金を支払うことになってしまいますから、弁護士等の専門家に相談するようにしましょう。

5.自動車で事故に遭った場合

自動車で自転車相手に事故を起こした場合、必ず自動車に全ての責任があるとは限りません。自転車側に過失はなかったのかどうか適宜弁護士等に相談して慎重に検討しましょう。

6.まとめ

自転車と自動車の交通事故については、必ず自動車に100%の過失割合が認められるものではなく、事故類型や具体的事情に応じて、様々な過失割合のパターンがあります。

一度弁護士等に相談することにより、適切な賠償金の受け取れるようにしましょう。

泉総合法律事務所は、様々なパターンの交通事故案件を解決してきた実績が豊富な弁護士事務所です。自転車と自動車の事故についてもご相談をお受けしておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

ご依頼をお悩みの方も、一度ご相談ください。
初回のご相談は無料です。
まずはお気軽にお問い合わせください。
0120-260-105
【通話無料】電話でのご相談はこちら
平日 9:00〜22:00 / 土日祝 9:00〜19:00
お問い合わせは全国から受け付けております。