人身事故 [公開日]2018年8月6日[更新日]2020年9月30日

交通事故の診断書とは|警察に出すべき?日数の意味・提出期限は?

交通事故による怪我の損害賠償を請求する際には、「診断書」がとても重要になります。

交通事故では、怪我の程度、治療の内容・日数などに応じて損害賠償額が異なるため、損害賠償額を公平に算出するために、怪我の程度・状態を客観的に記録した「診断書」がカギとなるのです。

今回は、交通事故の際に作成する診断書について知っておくべきことを解説するとともに、損害賠償請求と診断書との関係、作成してもらう上での注意点なども解説していきます。

1.診断書とは?

診断書とは、医師が作成する書類です。症状についての所見や診断内容、治療内容などを証明するための書類であり、診断書は法律上医師にしか作成できません

したがって、診断書を作成する場合、まずは医師(専門医)の診断(診察)を受ける必要があります。

(1) 診断書の記載内容

診断書には多くの種類があり、保険会社に提出する書式と警察に提出する書式とは異なります。

保険会社に提出する書式は、保険会社によって異なります。しかし、相手方の保険会社に治療費の支払いを任せている場合(詳しくは、後述しますが一括対応と呼ばれています)には、直接、保険会社用の診断書を目にすることはないでしょう。

一方で、警察に提出する診断書は、病院の書式をそのまま使用して次の記載がなされることが多く、ここに傷病者名、診断した医師の署名・押印や病院名が加わることになります。

  • 受傷の日付
  • 傷病名
  • 治療に要する日数
  • 作成日 など

(2) 診断書の「治療に要する日数」について

警察に提出する診断書には、「治療に要する日数」が記載されますが、頸椎捻挫や打撲の場合「治癒に要する日数」は、「全治2週間」以内の記載が多いようです。

この記載は、あくまで治癒や症状固定までに要するであろう治療の見込み日数です。

「全治〇〇日」の記載にかかわらず治療の継続は可能であり、実際に支払われる損害賠償額は、実際の治療期間や治療日数を基に算出されるので、症状が残っているのであれば、この診断書に記載された日以後も治療を継続すべきです。

(3) 診断書の追加提出・書き直し

しかし、警察に提出した診断書に、例えば「全治2週間」との記載があり、実際には治療にそれ以上の日数がかかってしまった場合には、診断書を再提出する必要はないのでしょうか?

警察に提出した診断書は、行政処分・刑事処分を目的として使用されるのであり、損害賠償の請求とは無関係なので診断書の追加提出は必要ありません。

では、警察用以外の診断書を含め、診断書を書き直してもらうことはできるのでしょうか?

明らかな誤記であれば、当然書き直してもらうことは可能です。修正などにも応じてもらえることが多いですが、その場合は、修正が必要な理由を明確に伝えましょう。

修正の必要があるか判断が難しい、なかなか修正に応じてもらえないといったケースでお悩みであれば、弁護士に一度相談してみてください。特に後遺障害診断書については、誤記や不足のままにしておくと後遺障害が認定されない可能性がありますので、入念にチェックしましょう。

(4) 診断書の料金相場

それでは、診断書はいつもらえて、作成してもらうのにいくらくらいの料金がかかるのでしょうか?

作成には概して2週間程度、診断書作成の料金は、警察用で2,000円程度、自賠責保険への請求用で4,500円程度、後遺障害診断書で5,000程度となります。

※2007 年 医療機関における文書料金実態調査

ただ、診断書に支払った金額については、後から文章料として請求することができものがあります。

2.診断書の提出先

交通事故では、複数の場面で診断書の提出が必要となることがあります。

(1) 診断書は警察へ提出

警察への事故の届け出に伴い診断書を提出すると、人身事故である旨を記載した交通事故証明書を発行してもらうことができます。
これは、相手方に怪我に対する損害賠償を請求する際の提出書類となります。

しかし、実際の交通事故処理の場面では、事故直後に目立った自覚症状がないことを理由に、その場は物損事故として処理してしまうことも少なくありません。

物損事故として届け出た後に人身事故として切り替えるためには、診断書が必要です。

診断書に提出期限はありませんが、事故日からできるだけ早い時期に提出する必要があります。
事故から日が経ってから人身事故への切り替えを申し出ても、警察に受理してもらえないことがあるからです。

事故から数日経ってむち打ち症の自覚症状が現れたようなときには、速やかに医師の診察を受け、診断書を作成してもらいましょう。

[参考記事]

物損事故から人身事故への切り替え注意点!手続方法・期限など

(2) 「一括対応」であれば相手方の保険会社に診断書の提出は必要ない

人身事故の損害賠償は、限度額まで自賠責保険から支払いが行われ、自賠責保険の限度額を超える部分は、任意保険から支払われることになります。

したがって、形式的には、2つの保険会社に損害賠償を請求する必要があり、診断書もそれだけ必要となるはずです。

しかし、実際に、2つの保険会社にそれぞれ損害賠償の支払いを求めることは、被害者にとって煩雑です。そこで、保険金の支払い請求の手続きを相手方の任意保険会社に一括して任せるのが一般的です(これを「一括対応」といいます)。

一括対応では、相手方の任意保険会社から送付される「同意書」に必要事項を記入・押印して返送すれば、医療機関からの診断書の受け渡しを含め「同意書」記入の手続き以外は相手方の保険会社が治療費や保険金の支払いまで一括して行います。

対して、自賠責保険に直接保険金の支払いを請求する被害者請求の場合には、被害者自らが、自賠責保険に診断書を提出しなければなりません。

(3) 被害者加入の保険会社に補償を請求する際は提出の必要あり

また、被害者自身が加入している傷害保険に保険金を請求する場合にも、保険会社に診断書を提出する必要があります。

(4) 仕事を休む会社には診断書を提出

交通事故による怪我の治療のために仕事を休む場合には、勤務先にも診断書を提出する必要があります。

3.診断書の作成依頼をする際の注意点

(1) 提出目的に応じて作成してもらう

診断書は「ただ医師に作成してもらえば良い」というものではありません。
提出する目的に応じて、適切な内容が記載された診断書を作成してもらうことが何よりも大切です。

たとえば、仕事を休むために勤務先に診断書を提出する場合には、「治療のために仕事を休む必要がある」ことを、医学的理由を含めて記載してもらう必要があります。
また、通院にタクシーを利用する場合や、個室の病室に入院する場合にも、それぞれ「その必要がある」ことを診断書に記載してもらわなければなりません。

必要がないときには、通院の交通費は公共交通機関の運賃がベースになり、入院のベッド代は大部屋が基本となってしまいます。

(2) 医師に症状をしっかりと説明する

医師は、あくまでも医療の専門家であって、損害賠償制度の専門家ではありません。
実際、医師が損害賠償請求用の診断書の作成に不慣れであることは珍しいことではないのです。

医師に診断書の作成を依頼するときには、提出する理由を医師に説明し、自分の症状を正確に説明した上で、適正な損害賠償を受けられるよう記載してもらうことが大切です。

4.加害者から「診断書の取り下げ」を求められたら

加害者から「警察に診断書を出さないでほしい」、「警察に提出した診断書を取り下げてほしい」といったお願いをされることがあります。

もちろん、診断書を警察に提出しないことはできます。いったん提出した診断書を取り下げることも、被害者の怪我がとても軽微で、捜査開始前といった一定の条件の下では可能です。

しかし、警察に診断書を提出しないということは、事故を物損事故扱いとすることになるため、加害者保険会社が一括対応をしてくれると明言していない限り、治療費を自己負担しなければならなくなったり、賠償額が変わることもあり得ます。

一番の問題は、万一裁判になった場合には、過失割合の争点に関して、事故の状況を証明してくれる実況見分調書といった資料も作成されないことになります。

もし、診断書を出す・出さないで加害者ともめているなら、一度、弁護士に相談してみてください。

5.まとめ

交通事故の損害賠償請求において、診断書はとても大切であることがお分かりいただけたかと思います。診断書の記載内容によって、受け取れる損害賠償の金額が大きく変わることもあります。

交通事故に精通した弁護士であれば、被害者の方が通院中の段階から関与することで、適切な損害賠償額を確保することができる可能性があります。

交通事故被害や診断書の作成でお困りの方は、泉総合法律事務所にご相談ください。交通事故に特化した弁護士が、解決まできめ細やかにサポートさせていただきます。

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