交通事故弁護士 [公開日]

弁護士特約を使えないケース|保険会社に「使えない」と言われたら

「弁護士費用特約を使ってみた」といった事故被害者のブログなどにより、弁護士費用特約の認知度も上がってきているようです。
セゾン自動車火災保険の「おとなの自動車保険」では、64.5%の方が、弁護士費用特約に加入をしているとのことです(2019年3月末日時点)。

しかし、交通事故で、弁護士費用特約が使えないことがあります。また、保険会社によっては、弁護士費用特約をなかなか使わせてもらえないこともあるようです。

今回は、弁護士費用特約が使えないケースについて、解説します。

なお、弁護士費用特約の基本については、以下のコラムをご覧ください。

[参考記事]

弁護士費用特約とは?|誰が、いつ、どんなことを補償されるか

1.交通事故で弁護士費用特約が使えないケース

(1) 約款の定め

弁護士費用特約が付帯する自動車保険の約款を確認すると、弁護士費用を使えない該当項目として、主に、以下のものが挙げられています。

  • 契約者に故意・重過失など問題がある場合
  • 天変地異や戦争などによる損害
  • 父母・配偶者・子供に対する損害賠償の請求
  • 事業用車両を運転中の事故
  • 日常事故に対する損害 など
【事故後に弁護士費用特約に加入した場合】
事故当時に加入していなければ、弁護士費用特約を使うことができません。事故後に弁護士費用特約に加入した場合もこれに該当します。
「弁護士費用特約を使いたかったが、事故当時加入していなかった」ということがないように、ご自分の約款はしっかり確認しておくべきです。

(2) もらい事故にみる加害者・被害者の弁護士費用特約

では次に、もらい事故を例にとって、実際に、弁護士費用特約が使えるケース・使えないケースを考えてみます。

なぜ、もらい事故を事例として使うのでしょうか?
それは、過失割合が加害者と被害者で、議論の余地なく100:0になるからです。

例えば、交差点で信号待ちをしているところに、一方的に追突された場合に、被害者には過失はまったくありません。そうなると、次に説明するような状況が発生します。

もらい事故の加害者は弁護士費用特約を利用できない

もらい事故における加害者の過失責任は100%で、加害者側が損害賠償を請求できる余地はまったくありません。

したがって、加害者側には自らの損害賠償請求権を基に示談交渉をする余地はなく、弁護士費用特約を利用することもできません

一方で、被害者にも過失があれば、加害者であっても弁護士費用特約を使うことは可能です。この場合は加害者も被害者に対して、自らの損害賠償請求権を基に被害者と示談交渉をする余地があるからです。

※なお、当サイトは交通事故で被害にあった方の専用の窓口となっているため、加害者の方からご依頼やご相談はお受けしておりません。

もらい事故の被害者側は弁護士費用特約の利用が可能

対して、もらい事故では、被害者に過失がないので、損害賠償責任がありません。

被害者側の保険会社も加害者に対して賠償する必要がないため、保険会社は被害者に代わって示談代行ができません。このような場合に保険会社が被害者を代理して示談交渉をすると非弁行為となります(弁護士法72条)。

そんな時に使うことができるのが弁護士費用特約だというのが、保険会社の触れ込みです。

2.弁護士費用特約が使えないケースの具体例

(1) 契約者に故意・重過失など問題があるケース

被害者に過失があっても、弁護士費用特約は利用することができます。
しかし、問題は、過失の程度です。

もし、契約者に故意がある場合や重大な過失がある場合は、弁護士費用特約が使えません。
具体的に、自動車保険の約款を確かめてみましょう。

例えば、ソニー損保の「総合自動車保険 Type S」の約款に、弁護士費用特約が使えない場合として、「被保険者の故意または重大な過失によって生じた事故」という記述が、また、SBI損保の「個人総合自動車保険」の約款にも同様に、弁護士費用特約を使えない場合として「被保険者またはその法定代理人の故意または重大な過失によって生じた対象事故」という記述があります。

損保ジャパン日本興亜(※1)や三井住友海上(※2)の自動車保険などの約款にも同様の記載があります。
(※1) 一般自動車保険 SGP
(※2) 一般自動車総合保険

同じように、以下の場合も契約者に重大な問題があると考えられるため、弁護士費用特約は使えません。

  • 無免許運転
  • 酒酔い運転
  • 薬物使用で正常な運転ができない状態
  • 加入者の逃走行為、自殺行為、犯罪行為
  • 加入者が高圧ガスや火薬類など危険物を乗せていた場合
  • 箱乗り状態などといった極めて異常かつ危険な方法で自動車に搭乗中の場合

(2) 天変地異や戦争などによる損害

台風や洪水、高潮といった天変地異、外国の武力行使や暴動といったものによる損害についても弁護士費用特約は使えません。

この項目については、どの保険会社の約款もほぼ同じ記載です。

(3) 損害賠償の請求相手が契約者、両親、配偶者、子となる場合

もともと弁護士費用特約は、契約者やその親族を守ることを趣旨としています。
したがって、損害賠償の請求相手が、父母や配偶者、契約者の子供となる場合は、使うことができません。すなわち父母や配偶者、契約者の子供が加害者となる場合です。

ソニー損保や損保ジャパン日本興亜の約款には、「当会社は、次のいずれかに該当する者が賠償義務者である場合は、保険金を支払いません。」とした項目の中に、「被保険者の父母、配偶者または子」という記載があります。

(4) 事業用車両を運転中の事故

保険会社によっては、事業用車両の運転中の事故について、弁護士費用特約が使えません。

事業用車両の事故については、事業用車両の自動車保険や労災保険で補償されるべきという考え方からです。

(5) 日常の事故

歩行中に自転車とぶつかり怪我をしたといった、日常の事故についても弁護士費用特約の対象外としている自動車保険があります。
セゾン自動車火災保険の「おとなの自動車保険」などは、日常生活に関わる事故は、弁護士特約の対象外となっています。

ソニー損保や、東京海上日動などには、自動車事故のみをカバーする設定と日常生活の事故についてもカバーする設定とがあります。

3.保険会社に弁護士費用特約を使えないと言われた場合

弁護士費用特約を使用する際には、事前に保険会社の同意が必要になります。

しかし、契約者が事前に保険会社に連絡すると、「弁護士が介入しても事態は変わらない」、「何を相談するのか分からなければ使えない」と、弁護士費用特約を使わないよう誘導するケースがあるようです。

そこで、最後に、保険会社に弁護士費用特約の使用を渋られるケースとその対策についてまとめておきましょう。

(1) 被害が小さな物損交通事故

被害が少ない物損事故では、弁護士費用特約の使用を認めない保険会社があります。被害者が弁護士事務所に相談に行ったところ、被害者の契約する保険会社が物損事故には弁護士費用を支払わないということで、弁護士費用特約を使った依頼を断られたケースもあるようです。

物損事故では、被害額と比べて弁護士費用が嵩むため、こういったケースが発生します。

しかし、こういった場合こそ弁護士費用特約を使い、弁護士費用を気にせず被害をカバーすべきです。

こうした少額の損害賠償請求に備えて、タイムチャージ制の費用体系を持っている弁護士事務所もありますが、これを認めていない保険会社もあります。ご自分の約款を確認してみてください。

(2) お互いの主張に争いのない交通事故

保険会社の主張としては、「争いがなければ、弁護士が交渉する必要がない」ということのようです。

しかし、示談の成立前に、賠償額が適切なのか弁護士に相談すると、過失割合の見直しがなされ賠償額が増額することは、十分あり得ます。争いがないわけではないのです。

「弁護士費用特約を使う必要がない」という保険会社の主張に、すぐさま同意する必要はありません

(3) 保険会社に拒絶された場合の対処法

もし、保険会社に弁護士費用特約を使用しないように誘導されたら、是非弁護士にご相談ください。

契約者は、特約分の保険料を納めています。約款で規定されている特約については、利用する権利があるのです。

4.まとめ

弁護士費用特約を使えるかどうかは、保険の約款を確認すればわかります。
もし、使えるかどうか迷ったり、保険会社にやんわりと拒絶されたりしたら、弁護士にご相談ください。

泉総合法律事務所では、弁護士費用特約を使って解決できた交通事故の事例が数多くあります。

初回相談料は無料ですので、迷うことはありません。交通事故に経験と実績が豊富な弁護士が、あなたのお悩みを解決するためにお待ちしています。

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