交通事故弁護士 [公開日]2018年4月13日[更新日]2018年9月10日

交通事故の原因・事故に遭いやすい場所とは?事故が繰り返される理由

交通事故の原因・事故に遭いやすい場所とは?事故が繰り返される理由

【この記事を読んでわかる事】

  • 交通事故が起きやすい場所と時間帯
  • 交通事故の原因、法令違反ワーストランキング
  • 交通事故を防ぐためにできること、気をつけるべきこと

交通事故は「夜間・見通しの悪い道路」で起こると思っていませんか?

実は、実際の統計を見てみると、昼間の事故が7割も占めており、市街地での事故が多いのです。

つまり、皆さんがいつも通っている道路にも危険が潜んでいる可能性が高いということです。

通勤や通学などで毎日車を利用される方、休日のレジャーで利用される方は特に注意が必要です。

今回は、交通事故に遭いやすい場所・条件・時間について解説いたします。

1.平成28年度の交通事故統計

まずは、実際の統計から交通事故多発地帯の状況を見ていきましょう。

皆さんも、どんな場所で注意が必要なのかを確認してみてください。

(1) 市街地の交差点での事故が最多

平成28年度の統計では、49万9201件の事故の76%は市街地で発生

では、どのような場所で事故が多発しているのでしょうか。

警察庁交通局では毎年、交通事故の発生状況に関する統計を発表しています。

この中では、交通事故全体の発生件数だけでなく、道路形状別の交通事故発生件数についても記録されています。

まず、平成28年度の統計によると、交通事故全体の発生件数は49万9201件となっており、死傷者数は62万2757人です。

死者数や負傷者数は毎年減少の一途をたどっていますが、近年は減少速度が下がってきています。

事故に対する啓蒙活動により、昔に比べると事故は大きく減っているものの、現在でも数多くの方が交通事故の被害者となっています。

次に、平成28年度の道路形状別の交通事故発生件数(地形別・道路形状別交通事故件数)を見てみると、全体の76%は高速道路上ではなく市街地であるとの報告です。

特に、市街地の交差点での発生件数は多く、21万9317件が報告されています。

非市街地では、5万3091件であることから、4倍もの開きがあることがわかります。

また、次に多いのは単路での交通事故です。全体での割合は40.8%、こちらも市街地での発生件数が多く14万9589件となっています。

全体では、20万3886件が報告されており、数多くの事故が発生していることがわかります。

このほかにも、踏切などで事故が発生していますが、市街地の交差点や単路での事故ほど多い件数ではありません。

このように、気をつけるべきは、市街地の交差点や単路です。

皆さんがいつも利用している道路に危険が潜んでいるということになります。

(2) 幹線道路では特に注意が必要

では、交差点や単路以外に注意すべき場所はあるのでしょうか。

道路には、住宅地付近にある生活道路のほかに、市街地へ繋がる幹線道路、高速道路があります。

実は、幹線道路では死者が発生する事故が多い傾向にあり、生活道路での死者数の約2倍とも言われています。

幹線道路自体は、全体の15%程度しか存在しませんが、この付近での事故は死傷者の発生につながりやすいということがわかっているのです。

では、なぜ幹線道路付近で死者件数が発生しやすいのでしょうか。

幹線道路付近は、生活道路よりもスピードを出すことが原因の1つと考えられます。

生活道路付近では速度制限が20kmというところも多いですが、幹線道路になると50kmや60kmという場所も少なくありません。生活道路から幹線道路に一歩出るときに交通事故が発生しやすくなっているのです。

また、交通量の多さも影響しています。交通量が多く、交通事故自体が発生しやすい状況が作られていることも要因と言えるでしょう。

もっとも、死傷事故全体で見てみると、幹線道路と生活道路の数に差はありません。

生活道路と幹線道路の事故発生件数は各50%程度となっており、それぞれ気をつけなければいけないということになります。

生活道路では、自動車以外にも気を配る必要があります。というのも、最近では自転車関連の事故が増加しており、死傷者も発生しているからです。

平成28年度では、90,836件もの事故が発生しており、生活道路での事故が多い傾向にあります。

このように、幹線道路では死者事故が多く、大きな事故が発生しやすい状況です。

他方生活道路では、自転車事故が急増しており、死者もでているため気をつけなければいけません。

(3) 市街地の信号機がない交差点に要注意

では、なぜ交差点で事故が発生しやすいのでしょうか。

交差点でもっとも事故が発生している道路は、実は信号機がありません。

市街地の交差点において、信号機のない場所では、平成28年度で9万1409件も事故が発生しています。

信号機のある市街地交差点では6万8188件であることから、信号機の有無で交差点の危険度が変わることがわかります。

交差点付近では、いつも気をつけるべきですが、信号機のない交差点では、特に安全確認をするようにしましょう。

また、交差点は、交通事故が起きやすい状況が揃っていることも原因となっています。

交差点は、運転者が確認すべき対象が多くあります。

具体的には、信号機、前方を走る車の右左折、対向車線からの右折車、並行走行する車の状況、後方車両、横断歩道を渡る人、右左折に関する標識などです。

つまり、確認すべきものが多すぎて、集中力が散漫になってしまう可能性が高いのです。見落としてしまうケースも非常に多く、これが事故を招きます。

交通事故は、運転している車側の注意も必要ですが、歩行者や自転車乗車中の方も注意が必要です。それぞれがルールやマナーを守ることにより、交通事故を防ぐことができます。

このように、市街地の中でも、信号機がない交差点がもっとも危険です。

信号機がある場合でも、見落としてしまう可能性を考慮して慎重に運転するようにしましょう。

2.交通事故における法令違反の事故原因

交通事故における法令違反の事故原因

これまで、事故が発生しやすい道路の状況をお伝えしました。では、どのような不注意が交通事故を引き起こしているのでしょうか。

次に、法令違反別の交通事故原因を見ていきましょう。

(1) 交通事故原因ワースト1位は漫然運転

警察庁交通局がまとめる交通事故統計には、法令違反別の統計もあります。平成28年度の統計をみてみると、もっとも多い法令違反がわかります。

以下が、交通事故で多い法令違反トップ10です。

第1位 漫然運転(安全運転義務違反)
第2位 脇見運転(安全運転義務違反)
第3位 運転操作不適(安全運転義務違反)
第4位 安全不確認(安全運転義務違反)
第5位 歩行者妨害(横断歩行者等妨害違反)
第6位 最高速度違反
第7位 通行区分違反
第8位 交差点安全通行義務違反
第9位 信号無視
第10位 優先通行妨害

安全配慮義務違反が多くを占めています。

スピード違反などのわかりやすい法令違反は意外にも第6位という結果であり、過激な運転をする人だけが事故を起こすわけではないことがわかります。

普段何気なく運転している際に、事故を起こしてしまう危険性が高いのです。

家を出た瞬間から、気を引き締めて運転するようにしましょう。

(2) 交通事故がもっとも発生しやすいのは日中の時間帯

交通事故の73%が昼間に発生!夜よりも日中の方が事故が発生しやすい!

皆さんは、交通事故が発生しやすい時間はいつだと思いますか?

夜間などを連想される方も多いと思います。しかし、実際の統計を見てみると昼間(日の出から日没まで)の時間帯に交通事故が多く発生しています。

平成28年度の交通事故発生状況(昼夜別の状況)では、交通事故の73%が昼間に起きています。数にすると、45万1207人の方が、昼間に交通事故に遭われています。

夜間の件数は、17万1550人であり、約68%が昼に起きていることがわかります。

次に、重大事故である死亡事故の発生数についても見てみましょう。

昼間の交通事故の死亡事故発生率は0.48%と成っているのに対し、夜間では1.29%に上昇しています。

これによると、昼間は事故の発生件数は多いものの、死亡事故の発生数はそれほど多くありません。

他方、夜間は件数が少ないのにもかかわらず死亡事故に至る確率が大きく上がるということです。

さらに、横断中死亡事故については、50%程度が交差点でおきており、30%程度が単路部で発生しています。

昼は、交差点で発生する確率が高く、夜間は単路での発生確率が上昇しています。

このように、イメージとは異なり夜よりも昼の方が事故発生の可能性が高いということがわかります。昼は、交差点、夜は単路での事故に特に注意するようにしましょう。

(3) 交通事故の年齢層。世代別事故発生状況

次に、年齢層別の交通事故発生状況を見ていきましょう。どの世代が交通事故を多く起こしているのでしょうか。

原付以上運転者における交通事故件数(免許保有者10万人当たり交通事故件数の推移)をみてみると、交通事故件数が一番多いのが16-19歳の未成年者です。数も多く、1,822.2件となっています。

この次に多いのが、20-24歳であり、1070.1件です。一番数値の低い55-59歳の472.3件と比べると、若年層に交通事故が多いということが明らかです。

では、なぜ若年層の事故が多いのでしょうか。

まず、1つの要因として考えられるのが、運転技術の習熟度の低さにあります。運転免許を取ってしばらくの間は、運転技術が未熟な状態です。運転技術が低いと、事故を起こす確率も高くなります。

また、若年層は無謀運転をしやすい傾向にあることも原因にあるでしょう。

年齢層別の法令違反を見てみると、20-24歳までの年齢層が10.7%となっており、法令違反の年齢層としては最多となります。

16-19歳までを合わせると14.3%となり、若年層で法令違反を行う確率が高くなることがわかります。

このように、24歳までの若い年齢層が多くの事故を起こしていることがわかります。

お子さんがいる方は、子どもが運転免許を取った時期が一番危険だということを覚えておいてください。そして、安全運転を家庭でも教えるようにしましょう。

3.交通事故を防ぐにはどうすればいい?

では、交通事故をどのようにして防げばいいのでしょうか。

(1) 安全確認を徹底すれば事故は防げる

先に見てきた通り、多くの事故は安全配慮義務違反が原因で起こっています。

安全配慮義務違反のトップ3が、①漫然運転、②わき見運転、③運転操作不適です。

この義務違反がなぜ起きるのかをしっかり確認しておくだけでも事故を防ぐことにつながります。

以下で、どのような不注意なのかを確認してみましょう。

①漫然運転

まず、漫然運転とは、簡単に言うとぼーっとしながら運転をすることです。

考え事をしているときや、なんとなくぼーっとして運転をしているときに事故が起きると、漫然運転による安全配慮義務違反になります。

誰でも集中力をキープし続けることは難しいものです。しかし、運転中の「ぼーっと」は命取りになってしまうことを覚えておきましょう。

②わき見運転

次に、わき見運転です。こちらは、漫然と同じように感じますが少し違います。ふと、道路脇が気になり、よそ見している間に事故が起きたケースがこれにあたります。

つまり、他の何かに注意が引かれてしまったままの運転ということです。

これも運転中によくあることだと思います。ブレーキを踏んでいないときにわき見をしないように気をつけてください。

③運転操作不適

そして、運転操作不適です。これは、運転操作を間違ってしまうことによる事故ということです。

具体的には、①ブレーキの踏み遅れ、②ハンドル操作の誤り、③ブレーキとアクセルの踏み間違いなどがあります。

ブレーキとアクセルの踏み間違いについては、75歳以上の高齢ドライバーに多い傾向が報告されています。どの運転操作不適でも言えることですが、これらの原因はパニックにあります。

突然対向車が現れる、見通しの悪い道路、天候不良による視界不良などパニックが起きやすい状況で事故が起きやすくなっているのです。

いきなり現れる物に対しパニックを起こさないようにすることは難しいですが、「交差点内や見通しの悪い道路は減速する」といった基本的なことを守れば、事故は防げます。

これら以外にも、前方不注意では安全確認をしっかり行わない安全不確認などがありますが、どれも事故の起きやすい状況で気を配ることが、鍵となります。

事故の起きやすい場所では、しっかりと安全確認をすることで多くの事故が防げるということを理解しておいてください。

(2) 交通事故を防ぐために気をつけるべき3つのこと

  • 体調不良時・イライラ時は運転しない
  • 車間距離は大きめに
  • 1時間以上の運転は危険!休憩を挟むこと

最後に、交通事故を防ぐために気をつけるべきこと3つをご説明します。

①体調不良時・イライラ時は運転しない

前方不注意などの安全注意義務違反は、体調が良好なときでも起きます。ぼーっとしていたという「漫然運転」や他に気をとられる「わき見運転」も同様です。

体調が良くないときは、このような運転操作になりやすくなってしまいます。

通勤などで毎日運転している方は特に注意してください。体調不良時こそ電車での移動の方が安全です。

また、イライラしているときや精神が不安定なときは、漫然運転になりがちです。精神が安定しないときも、運転は控えるようにしましょう。

どうしても運転しなければいけない場合は、深呼吸をして気持ちを落ち着かせるなどの対策をとってみてください。

②車間距離は大きめに

運転操作不適は、パニック状態から引き起こされるものとお伝えしました。

パニック状態になっても、誤った操作をしないためには、時間的余裕が必要不可欠です。

車間距離を少し大きめにとっているだけでも、ブレーキを踏むまでに数秒の時間的余裕が生まれます。

普段から車間距離は大きめにとっておくようにしましょう。

③1時間以上の運転は休憩を挟むこと

人間は、ずっと1つのことに集中しているのが苦手です。

運転も1時間以上継続していると、注意力が散漫になってきて事故を起こしてしまう確率が上がります。

小まめな休憩を挟むことで、事故を未然に防ぐことができます。

運転していると、体は動かしていないため、疲労感を感じにくくなっていますが、実は体も頭も疲れています。

休憩を挟むことで回復することができ、安全運転が可能となることを覚えておいてください。

以上が、自動車の運転で気をつけるべき3つのことです。

これ以外にも、車線変更での譲り合い精神や、時間に余裕を持って行動することなども挙げられます。

ちょっとした気の配りで事故が防げるということを理解しておいてください。

4.交通事故が起きてしまったら、弁護士に相談を

交通事故の多くは、市街地の信号機のない交差点で発生しています。

また、夜間よりも日中に交通事故が発生しており、皆さんの生活時間帯が一番危険だということを覚えておいてください。

見てきた通り、多くの交通事故はちょっとした気の緩みから発生しています。安全配慮義務違反が一番多い違反であることから考えても、明らかでしょう。

通勤、通学、レジャーなど普段の運転から注意をしていくことで交通事故は防ぐことができます。皆さんも防げる事故を起こさないように心がけてみてください。

もっとも、どれだけ気をつけていたとしても、交通事故に巻き込まれてしまうことはあります。運転中だけでなく、歩行中や自転車乗車中にも危険は潜んでいるためです。

仮に巻き込まれてしまった場合には、加害者・保険会社としっかりと交渉していくことが大切です。

相手方に言われるがまま同意してしまうと損害賠償などで損をしてしまうことにもなりかねません。

万が一事故に巻き込まれてしまった場合には、解決実績が豊富な泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

損害賠償請求には時効もあります。交通事故トラブルは早期に解決しましょう。

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