慰謝料・賠償金 [公開日]2020年6月1日[更新日]2021年12月13日

通院期間・実通院日数が少ない交通事故の慰謝料(15日~2ヶ月)

交通事故被害に遭うと、治療費や慰謝料などを加害者に請求することができます。

治療費は原則として実費で請求が可能ですが、慰謝料(精神的損害)の金額は通院期間、実通院日数等に左右されます。
そう聞くと、「通院期間や実通院日数が少ない場合は慰謝料が少なくなってしまうのでは?」と不安を感じる方も多いでしょう。

今回は、通院日数が少ない場合の慰謝料(交通事故の入通院慰謝料の計算方法、慰謝料額の相場、慰謝料を増額する方法)について解説いたします。

1.交通事故の入通院慰謝料

まずは、交通事故の入通院慰謝料の基本的な計算方法を見ていきましょう。

(1) 入通院慰謝料の3つの計算方法

交通事故被害で怪我を負うと、治療が必要になります。

治療には経済的負担がかかるだけでなく、交通事故前のように仕事や家事ができなくなるなどの精神的な負担も抱えることになるでしょう。

交通事故で怪我を負い、治療しなければいけなくなった精神的苦痛に対しては、治療費とは別に入通院慰謝料という形で賠償請求をすることになります。

被害者としてはこの入通院慰謝料をどのように計算するのか、気になることと思います。

実際には、計算方法は3つ存在します。
それぞれの計算方法において慰謝料額は大きく異なってくるため、どの計算方式を用いて計算するのかが被害者にとって重要となります。

1つ目が、自賠責保険の基準です。自賠責保険は強制加入の保険ですので、被害者が受け取れる最低限の補償を行います。

次に、任意保険会社の基準です。各任意保険会社が独自に制定した基準であり、公開されていません。
もっとも、3つの基準額の中では真ん中に位置する額になるといわれています。

最後に、弁護士基準です。実際の裁判でも利用されている基準のため、裁判基準とも呼ばれています。
赤い本と呼ばれる、交通事故の判例をまとめた本に掲載されています。

[参考記事]

「赤い本」入通院慰謝料計算【2020年版】

この基準で計算すると、一番高い金額が計算できますが、原則として請求するには弁護士への依頼が必要です。

 

このように、交通事故の慰謝料計算方法には3つの基準があるということを最初に理解しておきましょう。

交通事故の慰謝料は、弁護士基準の計算で大きく増額!

[参考記事]

交通事故の慰謝料は、弁護士基準の計算で大きく増額!

(2) 自賠責基準と弁護士基準の計算方法

ここでは、3つの基準のうち、公開されている自賠責基準と弁護士基準の計算方法についてご説明いたします。

自賠責基準

まず自賠責基準の場合、入通院慰謝料は1日4,300円(※2020年4月より前の事故の場合は4,200円)と決まっています。

計算方式としては、以下を採用しています。

4,300円×(【実通院日数×2】と【入院期間】のどちらか少ない方)

つまり「入院期間」と「実際に通院した日数の二倍」のどちらか少ない方に4,300円とかけると、入通院慰謝料が計算できます。

弁護士基準

弁護士基準の場合は、以下の表を用いて計算します。

実通院日数ではなく、主に通院と入院の期間から慰謝料額を割り出しますが、月10日程度の頻度で通っている必要があります(今回は、通院期間にのみ焦点を当てています)。

重症の場合の入通院慰謝料
通院日数 重症の場合の入通院慰謝料 むち打ち・軽症の場合
15日 140,000 95,000
1ヶ月 280,000 190,000
2ヶ月 520,000 360,000
3ヶ月 730,000 530,000

実際には、これよりも長い通院・入院期間の表がありますが、今回は通院期間が少ないケースを想定しているため、3ヶ月分のみ表示しています。

これよりも長期に渡る期間の慰謝料については、以下のコラムをご覧ください。

[参考記事]

交通事故通院6ヶ月以上の慰謝料|7ヶ月・8ヶ月・9ヶ月の事例

2.通院日数が少ない場合の慰謝料相場

では、実際に実通院日数別に慰謝料額を計算してみましょう。重症である骨折と軽症である打撲の場合とを、自賠責基準・弁護士基準で比較していきます。

※以下、自賠責基準の計算は一週間に3日通院した場合(入院なし)を想定しています。

【15日間の通院の場合】
打撲(軽症)のケース
自賠責基準 60,200円(4300円×(7日×2))
弁護士基準 95,000円

骨折(中程度〜重症)のケース
自賠責基準 60,200円(4300円×(7日×2))
弁護士基準 140,000円

 

【1ヶ月の通院の場合】
打撲(軽症)のケース
自賠責基準 103,200円(4300円×(12日×2))
弁護士基準 190,000円

骨折(中程度〜重症)のケース
自賠責基準 103,200円(4300円×(12日×2))
弁護士基準 280,000円

 

【2ヶ月の通院の場合】
打撲(軽症)のケース
自賠責基準 206,400円(4300円×(24日×2))
弁護士基準 360,000円

骨折(中程度〜重症)のケース
自賠責基準 206,400円(4300円×(24日×2))
弁護士基準 520,000円

 

【3ヶ月の通院の場合】
打撲(軽症)のケース
自賠責基準 309,600円(4300円×(36日×2))
弁護士基準 530,000円

骨折(中程度〜重症)のケース
自賠責基準 309,600円(4300円×(36日×2))
弁護士基準 730,000円

3.入通院慰謝料を増額させる方法

先程、入通院慰謝料は通院・入院期間や実通院日数を元に算定されるとお伝えしました。
よって、実通院日数を増やせば慰謝料も増えるのでは?と考える方もいらっしゃるでしょう。

しかし、実際には通院日数を増やしさえすれば慰謝料が上がるというわけではありません。

特に自賠責基準で計算した場合、確かに日数ごとに慰謝料額は増えていくため、慰謝料額も上がるといえそうです。

しかし、通院日数を稼ごうとすると、「慰謝料のために、治療の必要がないのに無理して病院に通っている」と疑われてしまうため、計算をする際に実際の通院日数から除外される日数が出てくる可能性があります。
医師の指示に応じて、必要な範囲で通院すべきといえるでしょう。

最後に、「必要な範囲での通院」を前提にした上で、入通院慰謝料が少ないケースで慰謝料を増額する方法をお伝えします。

(1) 任意保険会社に任せきりにしない

最近では、任意保険会社が行う一括対応によって、交通事故後の処理を全て相手方の加入する任意保険会社に任せてしまう方も少なくありません。

相手方の任意保険会社に任せることで、治療費を直接病院に支払ってもらえるなど、被害者にとっては良い点も多くあるのですが、入通院慰謝料に関していうと、任意保険会社の場合は先述の任意保険会社独自の基準で算定します。

これは自賠責基準と弁護士基準の間に位置するものですが、自賠責より少し高い程度の金額しか算出できないことがほとんどです。

任意保険会社も営利企業ですので、「被害者にも過失がある」「通院日数の水増しが疑われる」など理由とつけて、慰謝料の金額を抑えようとするケースもあります。
特に、通院日数があっても通院頻度が少ないケースでは、通院日数が削られてしまうということはあり得ます。

そのため、任意保険会社任せにして、こんなものなのかと納得してしまう前に、被害者ご自身が本当に適正金額なのかを確かめる必要があるのです。

(2) 弁護士に依頼する

上記のようなデメリットを解消するためには、弁護士に依頼するのが一番良い方法といえます。

弁護士であれば、弁護士基準で慰謝料を算定できるため、1日あたりで受け取れる金額も最高水準となります。
通院期間が短い場合(3ヶ月程度まで)でも、弁護士基準を適用すれば最大で42万円程度もの増額が可能となるのです。

もちろん、実通院日数が少なすぎる場合は別ですが、上の例のように週3日程度通っている場合にはその程度増額できる可能性があります。前述のとおり、月10日程度通っていれば、慰謝料計算上問題はないでしょう。

任意保険会社の担当者は交渉のプロですが、弁護士も同様です。
必要があって適正に通院しているのにもかかわらず通院日数の水増しが疑われた場合にも、医学上の根拠があるなどの場合には、断固として反論していくことができます。

4.入通院慰謝料に不満がある場合は弁護士に相談を

相手方の任意保険会社が提示された金額がどうも少ないと感じる場合は、一度弁護士基準で計算してみてください。これにより受け取るべき適正な慰謝料額が判断できます。

そして、任意保険会社から提示された慰謝料額が少ない・増額したいとお考えの方は、弁護士にご相談ください。

弁護士が交渉にあたれば、弁護士基準で請求可能になるだけでなく、交渉でも有利に立つことができます。
また、被害者の方は、治療やリハビリに専念できるため、不要な精神的負担を背負わずに済みます。

交通事故慰謝料に不満がある場合は、是非、泉総合法律事務所の弁護士を頼ってください。初回相談は無料となっておりますので、お気軽にご相談いただければと思います。

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