慰謝料・賠償金 [公開日]2018年5月31日[更新日]2021年5月14日

交通事故の休業損害の計算方法|主婦と会社員に違いはあるか

休業損害とは、例えば、サラリーマンが交通事故に遭ったために仕事ができず、その分給料が減ってしまった場合に、本来もらえるべき給料の減額分の損害です。相手方(東京海上日動・損保ジャパンなどの任意保険会社)に補償してもらえます。

休業損害はサラリーマンなどの給与所得者しか受け取れないと思われがちですが、自営業者やパート、アルバイトの方でも受け取ることができます。

また、主婦は家事をすることで収入を得ているわけではありませんが、主婦の方が交通事故に遭った場合、家事ができなくなったことで休業損害を受け取ることもできます。

以下では、休業損害の計算方法や、主婦の休業損害について説明していきます。

1.休業損害を請求できる人

休業損害は、交通事故の被害に遭ったことで「収入が減った」人であれば、誰でも請求することができます。
いわゆるサラリーマンなどの会社員公務員に限らず、パート&アルバイトでも請求できます。

なお、専業主婦(家事従事者)であっても、交通事故によって家事できなくなり他の家族の負担が増えたり、家政婦を雇う必要が生じたりすることから、休業損害を請求することが認められます。

主婦の方は、誰かからお給料をもらっているわけではありませんが、主婦が行っている家事も他の人に頼めば当然お金がかかるものですので、家事にも相応の対価が発生するものです。
これは、男性が家事に従事される「主夫」の方も同様です。ただし、現状では女性よりも詳細な立証が必要になります。

一方で、無職の場合には、原則として休業損害は認められません。
しかし、次のような場合には、休業損害が認められる可能性もあります。

  • 仕事をする意欲があった(実際に仕事を探していた)
  • 給料を得られる可能性があった(既に就職先が決まっていた場合など)
  • 仕事をする能力があった(技術や資格があり交通事故がなければ収入が得られた場合)

特に、就職活動中で、交通事故に遭わなければ就職できていた可能性が高いときには、休業損害が認められる可能性は高いといえます。

【休業損害と慰謝料の違い】
休業損害も慰謝料も、交通事故被害者の方が受け取れる「損害賠償金」の一つです。
その違いは、休業損害が先述の通り「交通事故の怪我により仕事等を休んだ結果発生した損害」なのに対し、慰謝料は「交通事故に遭ったことによる精神的な損害」という点です。これらは全く別のものですので、当然ながら別々に受け取ることができます。→交通事故の慰謝料相場計算機

2.休業損害の計算方法

(1) 給与所得者の場合

交通事故の損害賠償金額の計算には、3つの基準があります。自賠責基準、任意保険基準、裁判基準(弁護士基準)です。

交通事故の慰謝料は、弁護士基準の計算で大きく増額!

[参考記事]

交通事故の慰謝料は、弁護士基準の計算で大きく増額!

休業損害の計算も、上記の3つの基準ごとに計算が変わります。

  • 自賠責基準
    原則1日6,100円×休業日数(ただし、休業損害の額を客観的に証明できるときには、最大で19,000円まで請求することが可能)
  • 任意保険基準
    保険会社ごとに異なる(ほとんどの場合、自賠責基準より僅かに高額)
  • 弁護士基準
    1日当たりの基礎収入(交通事故前3か月間の給料÷90日)×休業日数

自賠責保険では、1日当たり6,100円(※なお、2020年3月31日以前の事故は日額5,700円となります)と決まっています。
しかし、相手方の保険会社との交渉や訴訟を通して、別の基準が採用され、これを超える金額が認められることもあります。

なお、弁護士基準は、弁護士に相手方保険会社との示談交渉を依頼した時にのみ採用され得る基準です。

1日当たりの基礎収入は、手取り金額ではなく、総支給額で計算します。

休業日数は、実際に仕事を休んだ日のうちから、事故や怪我の状況、治療経過、仕事の内容に応じて、交通事故との因果関係が認められる程度で決められます。
必ずしも休業した全ての日が補償の対象となるわけではないことに注意が必要です。

(2) 自営業者の場合

自営業者の休業損害は、原則として、1日当たりの基礎収入を算出する際に、交通事故の前年の確定申告書を基準とします。

詳しい計算方法は、以下のコラムで解説しています。

営業者が交通事故に遭った場合の休業損害の計算方法は?

[参考記事]

自営業者が交通事故に遭った場合の休業損害の計算方法は?

(3) 専業主婦(家事従事者)の場合

専業主婦の場合、賃金センサス(厚生労働省調査)の女性の平均賃金をもとに算出した金額を基準として請求することが考えられます。

ただし、常に1日当たりの金額の満額の支払いを受けられるわけではありません。

たとえば、追突事故で頚椎捻挫(むち打ち)などになってしまい、事故当初は症状の程度もひどく、家事が全くできない状態であったものの、治療するにつれて少しずつ症状が軽快し、家事が一部できるようになってきた場合です。

この場合、当初は満額が認められるものの、途中からは50%の金額、その後さらに症状が軽快して20%の金額というように、割合を減額(逓減)しながら賠償が認められることになります。

また、高齢者の方は、交通事故によって全く家事ができない症状になっても、100%の金額ではなく、70、80%の金額に減額すると相手方に主張されることもあります。

通院した日数しか支払われないの?

主婦の休業日数の決め方については、個別の事案によって以下2つのいずれかの方法をとるのが一般的です。

  • 入院・通院日数を基礎とする方法
    1日当たりの金額×実際に入院・通院した日数を請求する方法です。むちうちなどリハビリが頻繁にあるケースではこちらを使うことが多いでしょう。
  • 段階的に休業の割合を減少させる方法
    先述の通り、1日当たりの休業損害の金額を減額しながら認定する考え方です。

主婦の場合、休業日数を証明することが難しいので、医師の診断書や通院していたことを証明できる書類は取っておくようにしましょう。

(4) パート&アルバイト主婦の場合

パートやアルバイトで働きながら、家事をしている主婦の方もいらっしゃるでしょう。
その方が事故にあったら休業損害はどのように計算すればいいのでしょうか。

パートの月収を日割り計算すると、賃金センサスの平均賃金より少なくなってしまい、専業主婦より賠償額が少なくなってしまうという矛盾が生じる場合もあります。

そこで、パート主婦の休業損害は、基本的には賃金センサスを基礎収入とし、それを超える収入がある場合は、その実収入を基準に計算することになっています(同時請求はできません)。

なお、「人手不足で仕事は休んでいないけれども、症状が辛く家事に支障が生じていた」という場合、相手方保険会社は休業損害を否定してくるケースも多いですが、実際のところ、家事労働に支障が生じていたのならば、休業損害を受け取れる可能性は高いでしょう。

3.休業損害の請求方法

休業損害は、治療終了後か症状固定後に、「休業損害証明書」を相手方保険会社に提出することで請求できます(なお、自営業者や主婦の場合、休業損害証明書は不要です)。

休業損害証明書は相手方保険会社から受け取り、勤務先の担当者に記入してもらった上で、再度保険会社に提出します。

休業損害は示談金と共に振り込まれるため、振り込まれるまでは示談成立から数日かかるでしょう。

なお、休業損害は、相手方の保険会社から内払い(先払い)をしてもらうことができます。
「治療が終わるまで収入が減って生活が辛い」という場合には、内払いについて任意保険会社にお問い合わせください。

[参考記事]

休業損害証明書の書き方と嘘を書いてはいけない理由

4.休業損害のご相談は泉総合法律事務所へ

泉総合法律事務所では、これまでに多くの案件において休業損害が認められるよう、相手方保険会社と交渉を重ねてきました。

その中で得られた解決実績や交渉テクニックを駆使して、交通事故被害者の方に裁量の結果が得られるよう全力でサポートしてまいります。

また、保険会社からの提案では、主婦の休業損害について言及されていないこともあります。
症状や治療内容、家事への影響などの事情を踏まえ、適正に請求をすれば、少なくない金額の休業損害が認められることもあります。当事務所の経験では、会社員の方よりも主婦の方のほうが休業損害の金額が高くなることのほうが多いといえるでしょう。

交通事故被害でお困りの際は、是非とも当事務所の弁護士にご相談いただけたらと思います。

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