慰謝料・賠償金 [公開日]

休業補償はいつまでもらえるの?交通事故後に仕事ができず不安な方へ

休業補償はいつまでもらえるの?交通事故後に仕事ができず不安な方へ

【この記事を読んでわかる事】

  • 交通事故被害者になった際に受け取れる休業損害とは?
  • 休業損害を受け取るための条件はあるのか?
  • 休業損害はいつからいつまで貰えるのか?

交通事故被害に遭ってしまい、治療の日々。会社も休まなければならず、収入が絶たれてしまう…。

人身事故の被害者の方は、事故のけがによる直接的な損害だけでなく、収入のストップなど派生的な損害も被ることになります。

事故がなければ得られたであろう収入については、休業損害として保障してもらえます。しかし、その休業損害をいつまで支払ってもらえるんだろうと不安になる方もいるはずです。

そこで今回は、休業損害の概要、支払期間、その他に知っておくべきことを、解説いたします。

1.休業損害の基本。受給対象者、受給要件は?

まずは、休業損害の概要を知っていきましょう。

休業損害の基本、受給対象者、受給要件までご説明します。

(1) 休業損害とは

では、休業損害とはどのようなものなのでしょうか。

休業損害とは、事故で休業せざるをえなくなった分の収入保障のことを指します。

交通事故被害に遭うと、治療に専念しなければならず、この間入院や治療のため、働くことができません。そのため、この間の生活費を保障する制度が必要ということで、休業補償という概念が生まれました。

強制加入である自賠責保険はもちろん、任意保険に加入していればプラスの補償が得られます。具体的な金額としては、最低限1日5,700円がもらえます。

では、休業損害の「損害」とは法的にどのような損害として考えられているのでしょうか。

交通事故被害に遭った場合、被害者は加害者に対し不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条、710条)を行うことができます。この損害賠償請求の中身には、治療費、入院費、通院交通費などの入通院関連費用、車の修理代、精神的苦痛に対する慰謝料、逸失利益、休業損害などが含まれています。

これらの中身は、損害項目と呼ばれ、積極損害と消極損害にわけることができます。

積極損害とは、交通事故被害に遭ったことで直接的に損害が出たものを指します。入通院関連費用や車の修理代はこれにあたります。

他方、消極損害とは、交通事故がなければ得られたであろう利益のことです。こちらには、休業損害や、逸失利益が含まれます。

つまり、休業損害は、収入という点で財産的損害であり、交通事故がなければ得られたであろう利益という点では消極的損害にあたるということができます。

(2) 主婦や学生も休業損害の対象者

では、休業損害の対象者にはどのような人が含まれるのでしょうか。

①主婦のケース

休業損害の対象者は、「収入の減少」が想定できる人となります。

そうすると、サラリーマンや自営業者などはこれに含まれそうですが、主婦や学生は対象とならないとも考えられます。

しかし、自賠責保険の支払基準によると、「家事従事者については、休業による収入の減少があったものとみなす。 」(第2の2(1))と規定されています。

そのため、専業主婦については、休業損害が支払われます。家事労働については、金銭に換算できるとものとして最高裁でも認められているのです。

専業主婦の方は、「働いていないから」と休業損害を請求することを忘れてしまっている方がいらっしゃいますが、支払ってもらえるものですので、ここは覚えておきましょう。

②学生のケース

では、学生の場合はどうでしょうか。

学生の本業は、勉学です。そのため、「収入の減少」は観念できないとも考えられます。

しかし、高校生・大学生であればアルバイトなどをして生計を立てているケースもあります。親の家計を支えているという状況の場合、働けなくなってしまったら生活ができなくなってしまいます。

そのため、長期的に継続してアルバイトをし、収入を得ていた場合には、例外的に休業損害の補償が受けられることになっています。

学生の方も、アルバイトをしている方は休業損害が保障されることを覚えておきましょう。

③無職のケース

さらに、無職の方でも、内定先が決まっていた場合など、収入が得られることが確定していた場合には、休業損害が保障される可能性があります。

この点は、一度専門家にご相談してみてください。

④不支給のケース

このように、意外にも休業補償の対象となる方は多いのですが、残念ながら休業補償を受けられない方もいらっしゃいます。

無職や、学生でも短期的にアルバイトをしていただけの方、年金受給者、生活保護受給者、不動産オーナーなどは収入源が観念できないとされています。

年金受給者や生活保護受給者は国から給付されるものですので収入とみなされません。

不動産オーナーの場合は、休んでいても家賃収入等があり、収入が減少しないと考えられているためです。

(3) 休業補償の受給要件

では、休業補償の受給要件はどのようになっているのでしょうか。

自賠責の支払規定をみてみると、「休業損害は、休業による収入の減少があった場合」に休業補償が得られることのみ規定されており、具体的にどのようなケースで受給が行われるのかについては定かではありません。

しかし、実際上は「必要性」と「相当性」が要件とされています。必要性とは、怪我が休業を必要とする程度の状態であること、相当性とは休業として相当な期間であるものであることを指します。

これらについては、治療状況や怪我の程度から医師の所見をもって判断していくことになります。

つまり、休業補償における必要性と相当性は、医師による判断が決め手となります。

病状や怪我の内容によっても、どの怪我の治療にどのくらいの期間が相当なのかは異なります。

したがって、実際の医師の診断を参考に休業補償が得られるのか、どのくらいの期間になるのかを明らかにしていくのが適切です。

このように、休業補償の受給要件は医師による診断が必要です。

主治医に休業が必要な治療か、治療期間はどのくらいになりそうかなどを尋ねてみましょう。

2.いつまで休業補償がもらえるのか

いつまで休業補償がもらえるのか

次に、休業補償がいつまでもらえるのかについて、ご説明します。

一般的な期間から、治療費打ち切りが開始される時期、打ち切りへの対処法までみていきましょう。

(1) 一般的な休業補償の期間

では、一般的にいつまで休業損害をもらうことができるのでしょうか。

休業損害は、先にお話した通り、必要性と相当性がある間は休業損害を請求できることになります。

そして、休業損害の期間については、一般的に怪我の状態や種類ごとに必要性・相当性の判断が変わってくるともいえるのです。

そのため、ここでは①傷害の程度、②怪我の種類別にわけて考えていきたいと思います。

①傷害の程度からみる休業損害の保障期間

まず、傷害で完治するケースです。事故の程度も軽く軽症であったことが考えられるでしょう。完治を前提に考えると、交通事故の日〜仕事に復帰するまでの期間の休業損害が保障されます。

次に、後遺障害が残ったケースです。この場合は、交通事故の受傷日〜症状固定までの日数の休業損害が支給されます。

最後に、死亡事故のケースです。この場合は、交通事故〜死亡までの期間までを休業損害として請求できます。

重症で運ばれ、しばらく闘病生活をした後に亡くなった場合が代表例です。

②怪我の種類別からみる休業損害の保障期間

怪我の種類ごとに、一般的な治療期間から休業損害の期間を考えることもできます。

まず、交通事故に多いむち打ち症です。むち打ち症については、一般的に3ヶ月〜6ヶ月程度が治療期間と考えられています。

状態にもよりますが、休業損害が得られる期間と考えることができます。

次に、骨折の怪我です。一般的には、事故から6ヶ月以上はかかります。手術を行う場合は、1年程度かかる場合もあり、骨の癒合時を症状固定として診断されること多いようです。

怪我から症状固定時までが休業損害の保障期間となります。

最後に、高次脳機能傷害です。大きな事故で、脳に損傷が出てしまった場合は、事故から1年半〜2年程度で症状固定とされることが多いようです。

この期間が休業損害の保障期間と考えられます。

以上が、一般的な休業損害の期間となります。

これらは、あくまで一般的なものですので、個別の怪我の状態等によって大きく異なります。あくまで目安程度に考えましょう。

(2) 基本的に、症状固定後に休業損害は支給されない

では、症状固定とはどのような状態を指すのでしょうか。

症状固定とは、治療してもこれ以上は良くならない状態のことを指します。いったん治療を終了して、リハビリなどで改善していきましょうという段階です。

医師の判断によって症状固定と診断された場合には、後遺傷害認定等級認定を受けることになります。

そして、この時点で休業損害も打ち切られてしまいます。

症状固定後に示談交渉が長期化すると、休業損害がもらえないため、生活が苦しくなってしまうケースも見受けられます。

では、症状固定後、休業損害は一切支給されないのでしょうか。

症状固定後は、一切の保障がなくなってしまうわけではありません。後遺障害等級認定が行われると、逸失利益の損害賠償請求が認められます。

逸失利益とは、交通事故がなければ得られたであろう利益のことを指し、後遺傷害の場合は、後遺傷害がなければ得られたであろう収入を指します。

つまり、後遺傷害の影響でこれまで通りの働き方ができなくなった場合、不便を感じるようになった場合に対する保障です。

ちなみに、死亡事故で、即死であった場合は、休業損害ではなく、逸失利益が請求できます。

このように、症状固定後は、休業損害と性質がかわり、逸失利益として損害賠償を受けることができます。

逸失利益については「後遺障害・死亡事故で請求できる逸失利益の具体例と計算方法を解説」をご覧ください。

(3) 保険会社から打ち切りを打診される時期

では、保険会社から打ち切りを打診されることはあるのでしょうか。

実は、保険会社から治療期間がある一定程度たつと打ち切りの打診をされることがあります。軽症の場合だと、3ヶ月くらいを目安に打診が行われるといわれています。

被害者の立場から考えると、まだ痛みや症状が残っているのに「打ち切りなんてひどすぎる」と考える方も多いでしょう。

納得できないというお気持ちもわかります。しかし、休業損害は強制的に保険会社の判断で打ち切られてしまうこともあるのです。

保険会社による判断で、「必要性・相当性」ともにないと判断した場合には、医師に医療照会をした上で、打ち切りが実行されます。そのため、休んでいる期間はずっともらえると考えるのは適切ではありません。

打ち切りが行われるケースでは、必ず主治医に対し医療照会が行われます。

医療照会とは、保険会社が行う被害者の休業に必要な期間に関する質問のことです。この医療照会に対し、医師が「休業しなくても大丈夫です」との回答が行われると、休業損害の打ち切りが決定します。

もっとも、打ち切りを通告されて何もできないわけではありません。

基本的には、医師の判断は医師の見解と患者である被害者の意見で決めていくものです。そのため、医師に対しまだ休業の必要性があることを説明することも大切です。

このように、治療から一定期間たつと保険会社から打ち切りを打診されることがあります。

この場合でも、本当に症状固定が今必要なのかをご自身で見極めていくようにしましょう。

(4) 打ち切りへの対抗策

では、休業損害の打ち切りの打診に対し、被害者ができることはあるのでしょうか。

休業損害の打ち切りが打診された場合は、保険会社と交渉し、治療継続が必要であること、休業補償が必要であることを説明していかなければいけません。

しかし、打ち切りが検討されている場合は、被害者が保険会社の担当者と交渉しても、応じてくれないケースもあります。

そのため、できるだけ早く専門家である弁護士に相談すべきです。

弁護士が介入した場合は、弁護士から主治医に診断書の作成を依頼し、休業期間の延長を含めた交渉をします。

医師の判断があれば、保険会社の打ち切りもできなくなります。

医療照会が行われる場合には、被害者に不利な質問が記述されている場合もあります。

そのため、弁護士が医療照会の質問項目をチェックし、打ち切りへの誘導があれば、不適切な質問とすることもできます。

また、症状固定に関する医師の判断が確定的で、保険会社も譲らない場合には、医療費の一部内払で対応することもできます。

医療費の一部内払とは、現時点で確定している入通院費用を先に請求することです。

これに応じない場合でも、仮払い仮処分の法的措置をとり、賠償金の一部内払を請求することが可能です。

打ち切り後の休業損害については、治療終了後の示談交渉や裁判で請求していくことが考えられます。

このように、打ち切りが検討されている場合には、早めに弁護士に相談することが大切です。

交渉や法的措置については専門的知識が必要であり、ご自身で行うことは難しいため、弁護士に相談することをおすすめします。

3.その他、休業損害について知っておくべきこと

最後に、休業損害について知っておくべきことをご説明します。

具体的には、有給消化での休業損害、慰謝料と休業損害の関係、休業補償と休業損害の違いについて見ていきましょう。

(1) 有給消化でも休業損害をもらうことはできる

では、有給を消化している場合でも休業損害を補償してもらえるのでしょうか?

よくある質問として、「有給で給料は入っているけど、休業損害ももらえるの?」というものがあります。

この点は、安心してください。有給を消化中で、給料が入ってきている場合でも休業損害は受け取れます。なぜなら、有給には財産的価値があるからです。

有給は労働者に与えられた正当な権利であり、これを事故の怪我による治療で消化せざるとえなくなったことは損害といえます。

実際に自賠責の支払規定でも、「休業による収入の減少があった場合又は有給休暇を使用した場合に」との規定があるため、安心して休業損害を請求することができます。

ちなみに、休業損害をもらうための休業損害証明書には、欠勤と有給休暇を別々に記載しなければいけません。間違えて「欠勤」と記すと支給されなくなってしまうので注意しましょう。

このように、有給で給料が出ている場合でも休業損害は補償されます。安心して請求しましょう。

(2) 休業補償と慰謝料は、別々に請求可能

では、慰謝料は休業損害とは別に請求できるのでしょうか。

交通事故被害では、交通事故により入通院をしなければいけなくなったことに対する慰謝料を請求することができます。

これは、あくまで精神的苦痛に対する慰謝料であり、財産的損害に関するものではありません。そのため、実際に収入が得られなくなったことに対する保障である休業損害とは別物です。

この点を一緒に考えてしまい、休業補償をもらうと慰謝料を請求できなくなってしまうのでは?と考えてしまう人がいますが、これは間違いです。

このように、休業損害と慰謝料はそれぞれ請求することができます。損害の内容も異なりますので、この点をおさえておきましょう。

(2) 休業損害と休業補償は異なるもの

では、休業損害と休業補償という言葉があります。これは同じものなのでしょうか?

休業損害と休業補償を同じものと考えている方も多くいらっしゃいます。しかし、この2つは内容が異なり、全く違うものです。

休業損害とはこれまでお話しした通りの内容です。

他方、休業補償とは、業務災害によるけが、病気の治療のために働くことができなかった日に対し、平均賃金の6割を保障する制度です。

休業損害と似ているように思いますが、休業損害は自賠責法で定められた制度であり、休業補償は、労働基準法で定められた制度であるという違いがあります。

この2つの制度は国が定めた法律によって、支給されることになっていますが、原則として二重に支給されないようになっています。この点を理解しておきましょう。

このように、休業損害と休業補償は全く別物です。混同しないようにしましょう。

4.治療費・休業損害打ち切りを打診されたら弁護士に相談を

休業損害は、治療で休んでいる間の生活補償になるもなるため、被害者にとっては大変重要な保障の1つです。休業損害や治療費の支給があるからこそ、なんとか生活を続けていけているという方も多いはずです。

そのため、打ち切りが打診されてしまった場合には、「どうしよう…」と不安になってしまうこともあると思います。

しかし、打ち切りが打診されても、諦めないでください。弁護士に依頼し、交渉を頼めば方法はいくつかあります。

打ち切られてしまった場合でも、法的措置をとってできる限り治療と生活を続けていけるような対策をとりましょう。

休業損害の打ち切りは、保険会社の判断で終わってしまいます。できるだけ早く、泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

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