慰謝料・賠償金 [公開日][更新日]

家族が交通事故で死亡した場合の慰謝料・損害賠償請求

交通事故の死亡事故における慰謝料・損害賠償金額の相場と計算方法

家族を失うということは、理由にかかわらず、辛く悲しい出来事です。それが、交通事故で突然の別れとなるとなおさらでしょう。
(平成28年人口動態統計月報年計によると死亡原因のうち、交通事故死は0.4%となっています。)

交通事故でご家族が突然亡くなった場合、ご遺族の方は悲しむ間もなく葬式や相続、慰謝料請求など、様々な手続に対応しなければなりません。

損害賠償を受けても亡くなった家族が戻ってくるわけではありませんが、今後の生活のためにも、適正で十分な補償を確保することは非常に重要なことです。

今回は、死亡事故を受けた家族・親族が法的に何をするべきか、加害者にどのような請求ができるのか、そして弁護士に相談するメリットについて考えます。

1.交通事故の被害者遺族がまずすべきこと

(1) 保険会社への連絡

ご家族が交通事故に遭われた場合、ご遺族の方も事故現場にいたというような場合でないかぎり、通常は警察などからご家族が交通事故に遭われた旨の連絡があり、初めてその事実を知ることになるでしょう。

突然そのような連絡を受けたら、気が動転してしまい、何も手につかなくなってしまっても不思議ではありません。

まずは、気持ちを落ち着かせることが肝要です。そして、警察などで事実を確認し、交通事故でご家族が亡くなられたことが間違いないと判明したら、加入している自動車保険会社に連絡を入れ、事故の事実を伝えましょう。

(2) 葬儀の準備や各種手続

それが終わったら、病院で死亡診断書などを書いてもらい、葬儀の準備を進めることになります。

他にも、死亡届や住民票の抹消届などを役所に届け出たり、故人の遺言書があれば裁判所で検認の手続を行ったり、遺族年金を受給される場合はその手続をしたりと、ご遺族の方がやらなければならないことはたくさんありますので、四十九日の法要まではあっという間に過ぎてしまいます。

2.死亡事故における示談交渉

(1) 損害賠償請求は相続人が行う

通常、交通事故の損害賠償請求は、被害者本人が行います(被害者が弁護士に依頼した場合は、代理人の弁護士が行います)。ですが、被害者が死亡した場合は、被害者本人が損害賠償請求をすることはできません。

死亡事故の場合に損害賠償や慰謝料を請求することができるのは、「被害者の相続人」です。

相続人は、配偶者や子の有無によって違いが生じます。

配偶者がいる場合 配偶者+子
配偶者がいて子がいない場合 配偶者+被相続人(被害者)の親
配偶者のほかに、子も親もいない場合 配偶者+被相続人の兄弟姉妹
配偶者がいない場合
配偶者も子もいない場合
配偶者・子・親がいない場合 被相続人の兄弟姉妹

死亡事故の場合、損害として請求できる慰謝料としては、①死亡した被害者本人の慰謝料と、②遺族である被害者の近親者固有の慰謝料の2種類があり、①については相続人が相続をしたうえで請求していくことになります。

(2) 示談交渉開始のタイミング

加害者や加害者の加入する保険会社から示談の連絡があるのは、四十九日の法要を過ぎて以降のことが多いでしょう。

ただ、加害者や加害者の保険会社から示談の連絡があったからといって、そのタイミングで必ず示談の話を進めなければならないということはありません。気持ちの整理がついてから示談交渉を始めるということでも問題ないのです。

ただ、加害者への損害賠償請求権には消滅時効がありますので、長期間放置しないように気をつける必要があります。具体的には、交通事故の発生と加害者を知った時から3年を経過すると、損害賠償請求権が時効で消滅してしまいます。

ですから、少なくともそれまでには加害者と示談交渉を開始し、場合によっては訴訟を提起するなどして時効を中断する必要があると言えます。

交通事故における損害賠償請求権の時効とは?タイムリミットは3年?

[参考記事]

交通事故における損害賠償請求権の時効とは?タイムリミットは3年?

3.被害者家族が請求できるもの

交通事故が起きてご家族が巻き込まれてしまい、不幸にして命が助からなかった場合、ご遺族の方は深い悲しみに暮れられると思います。

心の傷は癒えませんが、せめて金銭的賠償をしっかりと受け取るために、以下で損害賠償請求や補償対象についてご説明します

(1) 請求できる損害賠償の項目

交通事故の被害に遭ったときには、積極損害・消極損害・慰謝料を請求することができます。それぞれを簡単に説明すれば、次の通りです。

  • 積極損害:交通事故によって負担が生じた損害(治療費、入院費、葬儀代など)
  • 消極損害:交通事故によって将来得ることができなくなった利益(逸失利益)
  • 慰謝料:交通事故によって被った精神的苦痛に対する賠償

積極損害

死亡までに治療・入院などが生じた際には、その分の損害を請求することが可能です。

また、葬儀関係費用には、通夜、告別式、四十九日までの法要、そして埋葬までに要した費用などを含みます。

民事訴訟では、原則として、葬儀関係費用として150万円を損害額として認める扱いになっています(東京地裁の場合)。
この150万円には、葬儀のために支払った費用、火葬費、お布施、戒名、読経料、仏具購入費、墓碑建立費、初七日や四十九日といった法要での読経料などが含まれます。

遺体運搬料、遺体処置費などは、上記とは別に認められることがあります。

葬儀関係費用の支出が150万円以上になった場合には、その必要性(地域の慣習や、亡くなった人の職業上立派な葬儀を挙げる必要があったなど)を主張立証する必要があります。葬儀会社からもらった領収書などは保管しておきましょう。

【香典を受け取ったら?】
葬儀の際に、出席者から香典を受け取ったとしても、その金額が損害賠償額から差し引かれることはありません。
また、香典返しをしても、これを損害として加害者に請求することはできません。 

消極損害(死亡による逸失利益)

死亡による逸失利益とは、生存していれば得られたであろう収入や利益のことです。

死亡による逸失利益は、下記の計算式によって算出します。

基礎収入×(100-生活費控除率)×(就労可能期間に応じた)ライプニッツ係数

死亡による逸失利益はかなりの高額となるケースも少なくないため、遺族としては、今後の生活のためにもしっかり対応し、適正な補償を受ける必要があります。

[参考記事]

後遺障害・死亡事故で請求できる逸失利益の具体例と計算方法を解説

死亡慰謝料

被害者の死亡慰謝料の相場(裁判基準)は、次のようになっています。

一家の支柱だった人の死亡 2,800万円
母親、一家の支柱の配偶者の死亡 2,500万円
その他の人(子供や独身者など)の死亡 2,000万円~2,500万円

高齢者は1,800万円〜2,400万円、子供は1,800万円〜2,600万円程度が相場です。
なお、被害者本人の慰謝料とは別に、近親者の固有の慰謝料が認められる場合もありますが、上記裁判基準の死亡慰謝料額はあらかじめ近親者固有の慰謝料も折り込まれた金額となっています。

ちなみに、上の表の金額はおおまかな基準ですから、具体的な事情によって増減があります。

たとえば、加害者が無免許だったり、飲酒運転だったりというような悪質な事情があれば慰謝料増額の理由になりますし、相続人が被害者と長年疎遠だったというような場合には慰謝料減額の理由になります。

(2) 損害賠償額の相場

死亡による逸失利益

上の項目について実際に請求できる金額には、相場があります。交通事故の損害賠償額を算定するときには、実務上、次の3つの算出基準があります。

  • 自賠責基準
  • 任意保険基準
  • 裁判基準(弁護士基準)

弁護士が介入しない示談交渉で保険会社から提示される損害賠償は、通常、自賠責基準もしくは任意保険基準に基づいて算出されたものです。

最も高額となる算定基準は裁判基準ですので、保険会社から提示されたままの賠償金額では、十分な補償を得られないケースも少なくありません。

死亡事故の場合の損害賠償額をそれぞれの算出基準ごとに比較すると、次の表のようにまとめることができます。ただし、任意保険基準については,各保険会社で異なりますので、あくまで目安とお考え下さい。

損害賠償の内容 自賠責基準 任意保険基準 裁判基準
積極損害 120万円が上限 実費額 実費額
葬儀代 60~100万円 150万円
本人の死亡慰謝料 一家の支柱 350万円(一律) 1700万円 2,800万円程度
母親・配偶者 1400万円 2,500万円程度
その他 1250~1450万円 2,000万円から2,500万円程度
遺族の死亡慰謝料 近親者・遺族| 550~750万円(請求権者の人数による) 本人の死亡慰謝料に含まれる
被扶養者 1人につき+200万円

死亡事故では、損害賠償額の合計が1億円を超えるケースも珍しくありません。

4.死亡事故では過失割合が争点となりやすい

交通事故の多くは、当事者の双方に何かしらの過失があることが少なくありません。

被害者側にも一定の過失があるときには、損害賠償額の全額を加害者に負担させることは公平とは言えません。
そのため、当事者の過失の割合に応じて、損害賠償額を調整する必要があります。これを「過失相殺」と言います。

死亡事故において過失割合が争点となりやすい理由としては、次のような要因が考えられます。

  • 死亡事故の損害賠償は高額になること
  • 死亡事故では被害者が死亡していること
  • 遺族の処罰感情

被害者がすでにこの世にいない死亡事故では、事故の状況を把握するための証拠を確保することが難しいです。

証拠の確保は事故から時間が経過するほど困難になることが一般的ですので、死亡事故に巻き込まれてしまったときには、できるだけ早い段階で弁護士に相談されることをおすすめします。

5.死亡事故の示談交渉を弁護士に任せるメリット

上述のように、遺族が請求できる慰謝料の権利や金額は複雑であり、また請求にあたっては弁護士(裁判)基準がもっとも遺族に有利であることを考えると、慰謝料請求の手続きを交通事故案件に強い弁護士に委任することは、合理的な選択肢といえます。

最後に、弁護士に依頼するか迷われている方のために、メリットとデメリットをご説明します。

(1)弁護士に依頼するメリット

①精神的に楽になる

家族が亡くなると、悲しみの中、葬儀などの手配や各種届出、相続手続などを行わなければなりません。
これに加えて、加害者や加害者側の刑事弁護人、加害者の加入する保険会社との間でいろいろな交渉をするのは、精神的にかなりの負担になるでしょう。

また、刑事弁護人や保険会社の言うことが正しいのか、交渉の余地があるのか、過失割合は正しいのかを一般の人が判断することは難しいと思います。

このような場合に、弁護士に交渉の一切を任せられることは大きな助けになります。

相続人や固有の慰謝料請求権者を確定させるための戸籍謄本の取り付けなど手間のかかる手続も、弁護士に依頼をすれば、弁護士の職権で戸籍の取得ができますので、戸籍集めの煩わしさなどから解放されます。

②慰謝料への弁護士基準適用

上述のように、慰謝料の算定基準には、3種類あるうち弁護士(裁判)基準を使用してもらうことが、ご遺族にとってベストです。

弁護士基準については、その名のとおり弁護士が熟知しているので、妥当な金額を知りそれを相手方と交渉してもらえるというメリットがあります。

③加害者の刑事事件裁判への被害者参加に対する委任

交通事故の加害者が悪質であった場合、被害者遺族に対する損害賠償といった民事上の責任のほか、刑事罰が課されることがあります。

飲酒運転や居眠り運転など、道路交通法に明らかに違反していたり、ひき逃げだったりした場合などが考えられます。

刑事手続きでは、被害者参加といって一定の手続きに遺族が参加できる制度があります。どうしても加害者が許せず、参加したいと思う場合には、訴訟手続きとなりますので弁護士に依頼する必要があるでしょう。

(2) デメリット

①弁護士費用がかかる

弁護士に委任すると、着手金や成功報酬といった弁護士費用が発生します。

ただし、被害者がご自身の任意自動車保険で「弁護士費用特約」に加入されていた場合、この弁護士報酬も保険の対象として補填されます。
自分自身や家族が弁護士費用特約に加入していることを知らなかった場合も多いようですので、付保内容を一度チェックされてみてください。

6.死亡事故のご相談も泉総合法律事務所へ

死亡事故では、損害賠償額が高額となるケースが少なくありません。それだけに、加害者側の保険会社との交渉は慎重に行うべきと言えるでしょう。

示談交渉のプロである保険会社との示談交渉では、遺族にとって十分とは言えない補償額を提示されることもあります。また、大切な家族を失った悲しみと、葬儀などを執り行いながら示談交渉を行うことの精神的負担も計り知れません。

死亡事故のケースでは、1日も早く静かな生活を取り戻し、適正な補償を確保するためにも、できるだけ早い時期に交通事故に詳しい泉総合法律事務所の弁護士にご相談・ご依頼ください。

当事務所では、交通事故被害者の方の救済に力を入れております。また、交通事故トラブルの知識や経験が豊富な弁護士も数多く在籍しておりますので、安心してお任せいただけたらと思います。

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