慰謝料・賠償金

家族が交通事故で死亡したらどうなる?被害者遺族がするべきこと

家族が交通事故で死亡したらどうなる?被害者遺族がするべきこと

【この記事を読んでわかる事】

  • 交通事故で家族が亡くなると、葬儀の手配や各種届出、相続手続などの他、相手方の保険会社との交渉も必要
  • 弁護士に依頼すると、交渉の一切を弁護士に任せることができる
  • 加害者に請求可能な損害賠償請求は大きく三種類あり、弁護士に依頼することで増額が見込める

家族を失うということは、理由にかかわらず、辛く悲しい出来事です。それが、交通事故で突然の別れとなるとなおさらでしょう。

ですが、ご家族が亡くなった場合、ご遺族の方は、悲しむ間もなく葬式や相続など様々な手続に対応しなければなりません。

そんな場合に家族が法的に何をするべきか、加害者にどのような請求ができるのか、弁護士に相談するべきかについて考えます。

1.遺族がまずすべきこと

(1) 保険会社への連絡

ご家族が交通事故に遭われた場合、ご遺族の方も事故現場にいたというような場合でないかぎり、通常は警察などからご家族が交通事故に遭われた旨の連絡があり、初めてその事実を知ることになるでしょう。

突然そのような連絡を受けたら、気が動転してしまい、何も手につかなくなってしまっても不思議ではありません。

まずは、気持ちを落ち着かせることが肝要です。そして、警察などで事実を確認し、交通事故でご家族が亡くなられたことが間違いないと判明したら、加入している自動車保険会社に連絡を入れ、事故の事実を伝えましょう。

(2) 葬儀の準備や各種手続

それが終わったら、病院で死亡診断書などを書いてもらい、葬儀の準備を進めることになります。

他にも、死亡届や住民票の抹消届などを役所に届け出たり、故人の遺言書があれば裁判所で検認の手続を行ったり、遺族年金を受給される場合はその手続をしたりと、ご遺族の方がやらなければならないことはたくさんありますので、四十九日の法要まではあっという間に過ぎてしまいます。

2.示談交渉

(1) 損害賠償請求をするのは誰?

通常、交通事故の損害賠償請求は、被害者本人が行います(被害者が弁護士に依頼した場合は、代理人の弁護士が行います。)。ですが、被害者が死亡した場合は、被害者本人が損害賠償請求をすることはできません。

そこで、被害者の相続人がこれを行うことになります。

なお、死亡事故の場合、損害として請求できる慰謝料としては、①死亡した被害者本人の慰謝料と、②遺族である被害者の近親者固有の慰謝料の2種類があり、①については相続人が相続をしたうえで請求していくことになります。

(2) 示談交渉開始のタイミング

加害者や加害者の加入する保険会社から示談の連絡があるのは、四十九日の法要を過ぎて以降のことが多いでしょう。

ただ、加害者や加害者の保険会社から示談の連絡があったからといって、そのタイミングで必ず示談の話を進めなければならないということはありません。

示談のことなどまだ考えられないというお気持ちの場合もあるでしょうし、加害者と話もしたくないという場合もあると思われます。

そのような場合には、お気持ちの整理がついてから示談交渉を始めるということでも問題ありません。

(3) 時効に注意

示談交渉は、いずれはしなければなりませんが、加害者の都合に合わせる必要はありませんから、特に急ぐ必要はありません。

ただ、加害者への損害賠償請求権には消滅時効がありますので、長期間放置しないように気をつける必要があります。

具体的には、交通事故の発生と加害者を知った時から3年を経過すると、損害賠償請求権が時効で消滅してしまいます。

ですから、少なくともそれまでには加害者と示談交渉を開始し、場合によっては訴訟を提起するなどして時効を中断する必要があると言えます。

【参考】交通事故における損害賠償請求権の時効とは?タイムリミットは3年?

3.被害者家族が請求できるもの

(1) 交通事故の加害者の責任

交通事故の加害者は、刑事上の責任・民事上の責任・行政上の責任の3つの責任を負います。

①刑事上の責任

交通事故によって被害者が死亡した場合、加害者は、過失運転致死罪もしくは、危険運転致死罪に問われます。

被害者の遺族は、加害者に対する処罰感情を警察や検察に述べて供述調書にしてもらったり、裁判所での意見陳述を行ったりすることができます。

【参考】裁判の証拠にもなる!交通事故の供述調書・実況見分書とは?

②民事上の責任

加害者は、民事上では、損害賠償を支払う責任を負います。

③行政上の責任

点数により、免許の取消や停止になります。

(2) 民事事件で請求できるもの

民事事件において、損害賠償として請求できる項目は、大きく分けて、葬儀関係費用、死亡による逸失利益、死亡慰謝料の3つになります(以下で詳しく説明します)。

加害者に対する損害賠償請求権は、死亡の直前に被害者が取得し、被害者の死亡により、相続人が法定相続分に応じて相続するということになります。

4.葬儀関係費用

葬儀関係費用には、通夜、告別式、四十九日までの法要、そして埋葬までに要した費用などを含みます。

民事訴訟では、原則として、葬儀関係費用として150万円を損害額として認める扱いになっています。

150万円よりも実際の支出が少なった場合には、実際の支出額が損害額となりますが、定額として150万円までは、領収書の提出がなくても損害額を認定する扱いになっている裁判所もあります。

なぜなら、葬儀やこれに関する費用として150万円程度支出することは、普通のことだからです。

この150万円には、葬儀のために支払った費用、火葬費、お布施、戒名、読経料、仏具購入費、墓碑建立費、初七日や四十九日といった法要での読経料などが含まれます。

遺体運搬料、遺体処置費などは、上記とは別に認められることがあります。

葬儀関係費用の支出が150万円以上になった場合には、その必要性(地域の慣習や、亡くなった人の職業上立派な葬儀を挙げる必要があったなど)を主張立証する必要があります。

・香典を受け取ったら?

葬儀の際に、出席者から香典を受け取ったとしても、その金額が損害賠償額から差し引かれることはありません。

また、香典返しをしても、これを損害として加害者に請求することはできません。

5.死亡による逸失利益

死亡による逸失利益

死亡による逸失利益とは、生存していれば得られたであろう収入や利益のことです。

死亡による逸失利益は、下記の計算式によって算出します。

基礎収入×(100-生活費控除率)×(就労可能期間に応じた)ライプニッツ係数

(1) 基礎収入

原則として、前年の収入が基準になります。

会社員は前年の年収額、自営業者は確定申告の金額です。
会社役員の役員報酬は、労務提供の対価の部分のみで、利益配当の部分は含みません。

なお、若年者(20代くらいまで)は、平均賃金よりも収入が少ないこともありますが、生きていれば昇給し、学歴計・全年齢平均賃金程度の収入を得る可能性が高かったと言えるような場合には、実収入額ではなく、賃金センサスの学歴計・全年齢平均賃金を基礎収入として逸失利益を計算することもあります。

家事従事者(主婦)は、賃金センサスの女性の学歴計・全年齢平均賃金が基礎収入となります。
兼業主婦の場合は、収入額と賃金センサス(女性の学歴計・全年齢平均賃金)を比べて高い方が基礎収入となります。

無職の人は、個別具体的な事情によりますが、今後働いて収入を得たであろう見込みが高ければ、その人の年齢や失業の事情、前職の収入などを参考に基礎収入が決められる場合があります。

就職前の人(子供)は、賃金センサスの学齢計・全年齢平均賃金を基礎収入としますが、大学進学の可能性が高かった場合には、大学卒・全年齢平均賃金が基礎収入となります。
年少女子については、男女を合わせた全労働者の学歴計・全年齢平均賃金を基礎収入とします。

・賃金センサスとは

厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」のことです。平均賃金を調べるのに利用します。

死亡の場合の逸失利益の算定には、死亡時の年度の統計を使用することになっています。

(2) 生活費控除率

被害者が、生存していれば、働いて収入を得られたと思われますが、生きていればその中から、生活費として一定割合は消費します。

そこで、基礎収入から生活費として一定割合を控除します。

生活費控除率は、次のようになっています。

一家の支柱および女性 30~40%
年少女子 40~45%
その他 50%

(3) 就労可能期間

就労可能期間は、被害者が生きていれば働くことができた期間です。

就労可能期間の始期は、すでに働いていた人は、死亡のときからです。

未就労者の場合は、原則として18歳ですが、すでに大学生や大学院生、専門学校生だった場合には、その卒業予定時からとなります。

そして、就労可能期間の終期は、67歳です。

ただし、年長者は、死亡から67歳までの期間と平均余命の2分の1の期間のいずれか長い方が就労可能期間となります。

(4) ライプニッツ係数

生存していたら得ることができた収入というのは、その人が、これから将来にわたって、働いて受け取り、また働いて受け取るというふうに何年間にもわたって段階的に得る予定だったのものです。

しかし、これを損害賠償として受け取るときは、一括前倒しで、払ってもらいます。

現在は低金利の時代ですが、仮に預貯金の金利が5%だった場合、今年受け取った500万円は、来年には525万円になります。再来年には、551万2500円になります。これは金利の複利の力によるものです。

交通事故がなければ、来年働くことによって、ようやく500万円得ることができるのに、損害賠償として今年前倒しでもらったら、来年には525万円になっているわけですから、これは不合理なことであり調整が必要です。

この複利で増えていく分を「中間利息」と言います。そして、この中間利息をあらかじめ控除して計算するために用いられる係数を「ライプニッツ係数」と言います。

現在の実務では、「5%のライプニッツ係数」が使われています。なぜなら、現在の民法の法定利率が5%だからです。

改正民法が施行されたあとに起こった交通事故については、当面3%となり、その後、3年ごとに見直しになる予定です。

ライプニッツ係数は、独力で計算することはかなり困難ですので、インターネットサイトなどを参考にしてください。

(5) 計算例

一家の支柱である年収500万円の50歳男性が死亡した場合
500万円×(100%-30%)×11.274=3945万9000円

一家の支柱ですので、生活費控除率を30%としています。この人は、50歳から67歳まであと17年働けました。17年間に相当する5%のライプニッツ係数は「11.274」です。

8歳少女が死亡した場合
490万円×(100%-45%)×11.154=3006万0030円

平成28年の男女合わせた学歴計・全年齢平均賃金は約490万円でした。

8歳の少女は、18歳から67歳まで49年働くことができたと考えられますので、就労可能期間は49年です。

この場合は、8歳から67歳までの59年間のライプニッツ係数から8歳から18歳までの10年間のライプニッツ係数をひきます。

59年に相当するライプニッツ係数は、「18.876」です。ここから、10年分のライプニッツ係数「7.722」を差し引き、「11.154」が、この場合のライプニッツ係数になります。

【参考】後遺障害・死亡事故で請求できる逸失利益の具体例と計算方法を解説

6.死亡慰謝料

死亡慰謝料の相場は次のようになっています。

一家の支柱だった人の死亡 2800万円
母親、一家の支柱の配偶者の死亡 2500万円
その他の人(子供や独身者など)の死亡 2000万円~2500万円

この金額はおおまかな基準ですから、具体的な事情によって増減があります。

たとえば、加害者が無免許だったり、飲酒運転だったりというような悪質な事情があれば慰謝料増額の理由になりますし、相続人が被害者と長年疎遠だったというような場合には慰謝料減額の理由になります。

(1) 刑事事件での示談金

死亡事故では、刑事事件と民事事件が並行して進みます。

刑事事件の記録(実況見分調書や供述調書、判決書など)を民事事件でも利用できた方がよいので、民事の話し合いを刑事裁判の確定後に行うこともあります(この場合には、民事の時効には注意する必要があります。)。

刑事事件では、被疑者は少しでも自分の量刑を軽くするために、示談交渉を望みます。

交通事故では、保険会社が損害賠償の支払いをするので、損害金全額を支払うことはありませんが、いくらかの金額を見舞金というような名目で提示して受け取ってもらうこともあります。

この刑事裁判の段階で受け取った見舞金は、民事事件になったときに、損害賠償の一部を先に受け取ったものとして扱われるのでしょうか?

これについては、確定的な判断はありませんが、数十万円程度であれば、加害者の保険会社が支払う損害賠償金から差し引かれないこともあります。

差し引くかどうかは、具体的な事情や金額により、民事事件の裁判所が判断しますので、一概には言えませんが、受けとった金額が高額になってくると差し引かれる可能性も高くなります。

あらかじめ、保険会社も含めて、保険会社が支払う損害賠償の枠外であると取り決めておけば、民事事件で差し引くかどうかについて争いになることがありません。

7.弁護士に任せるメリット

家族が亡くなると、悲しみの中、葬儀などの手配や各種届出、相続手続などやることがいろいろとあります。

これに加えて、加害者や加害者の刑事弁護人、加害者の加入する保険会社との間で、いろいろな交渉をするのは、精神的にかなりの負担になるでしょう。

また、刑事弁護人や保険会社の言うことが正しいのか、交渉の余地があるのかを一般の人が判断することは難しいと思います。

このような場合に、弁護士に交渉の一切を任せられることは大きな助けになります。

また、弁護士と交渉するときには、保険会社も自社の基準ではなく、裁判になった場合の基準で交渉に応じますので、遺族が交渉するよりも、慰謝料の増額が見込まれます。

相続人や固有の慰謝料請求権者を確定させるための戸籍謄本の取り付けなど手間のかかる手続も、弁護士に依頼をすれば、弁護士の職権で戸籍の取得ができますので、戸籍集めの煩わしさなどから解放されます。

弁護士費用は、弁護士費用特約があれば、弁護士報酬と費用を合わせて300万円までカバーしてもらえます。

弁護士費用特約がなくても、保険会社から受け取る損害賠償額の中から支払うことができます。

【参考】慰謝料が2倍、3倍、1000万円差!?弁護士基準と任意保険基準は大違い

8.まとめ

このように、弁護士に依頼すると、遺族は煩わしい交渉から解放され、慰謝料なども増額される可能性があります。

被害者が加入していた自動車保険に弁護士費用特約がついていたら、遺族は弁護士費用を払わなくても弁護士に示談交渉を依頼することが可能です。泉総合法律事務所へお早めにご相談ください。

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