慰謝料・賠償金 [公開日]2018年5月21日[更新日]2020年10月27日

交通事故の示談交渉の流れと示談が進まない場合の対処法

通事故の被害に遭ってしまった場合、加害者や加害者側の任意保険会社との間で「示談交渉」を行うことになります。

「加害者と示談交渉をする」と聞くと、「新たなトラブルに発展しないか」「示談金は十分な金額をもらえるのか」などと不安になる被害者の方も多いかと思います。

また、示談交渉において具体的に何をすれば良いのかわからないという方もいらっしゃるでしょう。

そこでこの記事では、交通事故に関する示談交渉の流れや、示談がうまく進まない場合の対処法などについて解説します。

1.示談とは?

示談とは、被害者と加害者の関係にある当事者同士の話し合いにより、加害者から被害者に対して一定の金銭を支払うことによって、その問題が解決したことを相互に合意することをいいます。

交通事故のケースでは、本来加害者は被害者に対して、不法行為に基づく損害賠償を行う義務を負います(民法709条)。

厳密な損害額については裁判の場で争わなければ明らかになりませんが、裁判は時間や労力が膨大にかかるため、被害者・加害者の双方にとって負担が重い手続きです。

そこで、不法行為に基づく損害賠償に代えて、「解決金」「示談金」などの名目で加害者から被害者に金銭を支払い、その後裁判などを起こさないことを合意して手打ちにするというのが「示談」の内容になります。

2.示談交渉はいつから始める?

交通事故の示談交渉は、「いつから始める」という決まりはありませんが、交通事故直後から始めてしまうのではなく、被害の全貌が明らかになった段階で開始するのが適切です。

「早く終わらせたい」と思い、焦って示談を成立させてしまうと、適切な示談金を受け取れない危険があります。

交通事故の示談交渉では、実際に被害者にどのような損害が発生したのかを踏まえて、示談金額をすり合わせていくことになります。

そのため、示談交渉を始める前に、被害者側で損害についての証拠を集めることが大切です。

具体的には、示談交渉を始める前に以下のことを行うべきでしょう。

(1) 交通事故直後からの証拠収集

交通事故の被害に遭ってしまった場合、現場の状況についての証拠を確保することが何よりも先決です。

そのためには、直ちに警察を呼んで人身事故として報告を行い、実況見分を行ってもらいましょう。

実況見分とは、交通事故現場の状況を警察が調査・記録化することをいい、作成された実況見分調書は、事故当時の状況を立証するための有力な証拠となります。

また、実況見分調書を補強・補足するために、事故状況に関する目撃者を確保しておくことができれば望ましいでしょう。

さらに、加害者とは今後損害補填に関する示談交渉を行うことになるため、加害者の身元・連絡先・任意保険会社を確認しておくことも大切です。

[参考記事]

交通事故の現場検証|すること・してはいけないこと・注意点は?

(2) 通院治療

交通事故への対応が済んだ後は、速やかに病院で医師の診察を受けましょう。

事故直後から医師の診察を受けておけば、事故当時の受傷状況を立証することが容易になります。

また、何度か定期的に通って検査を受けることで、隠れた傷害の見落としを防ぐこともできるでしょう。

通院治療の過程で発生した費用については、加害者側に対して損害として請求できますので、領収証を保存し、どのような費用がかかったのかを記録しておきましょう。

[参考記事]

交通事故のリハビリは毎日通院?|慰謝料と通院日数・頻度の関係

(3) 後遺障害等級の認定

通院治療を行ったとしても、交通事故で負った傷害が完治せず、一定の後遺症が残ってしまうケースがあります。

この場合、後遺症の程度に応じて等級が認定されると、その等級に基づいて、加害者側に慰謝料や逸失利益の賠償を請求できます。

後遺障害等級認定の申請は、医師により「症状固定」の診断が下された段階で行うことになります。

症状固定とは、「これ以上治療を継続しても、症状が改善しないと医学的に判断される状態」をいいます、症状固定の状態に至ってはじめて、後遺障害の内容が確定することになるのです。

後遺障害等級認定の申請を行う場合は、必要に応じて弁護士にサポートを受けると良いでしょう。

[参考記事]

後遺障害等級とは?認定機関による認定方法とその流れ

3.交通事故の示談交渉の流れ

上記の事前準備が終了したら、いよいよ加害者側との示談交渉に臨みます。

加害者は任意保険に加入しているケースが多いため、交渉相手は任意保険会社となるのが通常です。

任意保険会社は交通事故に関するプロフェッショナルですので、被害者側も相応の準備を整えて示談交渉に臨む必要があります。

(1) 弁護士に依頼した上で示談交渉を開始

任意保険会社との示談交渉に臨む際には、弁護士に依頼することをおすすめいたします。

弁護士がいない場合、任意保険会社側は、本来被害者が受け取るべき示談金額よりもかなり低い金額を提示してくる可能性があります。

特に後遺障害が発生しているケースではその傾向が顕著で、後遺障害慰謝料の金額に2倍から3倍程度の差が出ることも珍しくありません。

弁護士が相手ならば、任意保険会社の側も、当初から対等な交渉相手とみなして示談交渉に臨んでくるでしょう。

そのため、被害者に有利な条件を引き出せる可能性が高くなるうえ、示談交渉をスムーズに進められるというメリットがあります。

(2) 双方から示談金額を提案する

示談交渉の場では、まずどちらかから示談金額が提示されます。

提示を受けた側は、その金額での示談に応じるかどうかを検討したうえで返答を行います。

示談に応じられないと判断した場合は、希望する示談金額の再提示を行い、相手に持ち帰って検討してもらうことになります。

これを繰り返して、示談金額について双方の同意が得られた場合は、示談成立です。

被害者としては、任意保険会社側が提示してくる示談金額が、法律や裁判例などに照らして妥当かどうかを、弁護士に相談しながら慎重にチェックする必要があるでしょう。

(3) 示談の合意書を締結する

双方が示談金額に同意したら、示談の合意書を締結します。

合意書を締結すると、そこに書かれている内容で示談が確定します。
そのため、合意内容が過不足なく記載されているかをよく確認しましょう。

(4) 示談金が支払われる

示談の合意書が締結されたら、合意書に記載されている履行期限までに、加害者側から被害者に対して示談金が支払われます。

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4.示談交渉には期限がある?消滅時効について

交通事故の被害者は、加害者に対して不法行為に基づく損害賠償請求権を有します。

不法行為に基づく損害賠償請求権には、民法上の消滅時効が定められているので、示談交渉を行う際には消滅時効が完成しないように注意しなければなりません。

交通事故の加害者が判明しているケースでは、物損事故の場合は3年、人身事故の場合は5年で消滅時効が完成します(民法724条1号、724条の2)。

時効期間の起算点は、「損害および加害者を知った時」です。
このうち「損害を知った時」とは、損害の規模が確定した時を意味すると解されており、具体的には以下の表に記載した時点を意味しています。

物損事故の場合 事故発生の翌日
人身事故で後遺障害がない場合 事故発生の翌日
人身事故で後遺障害が残った場合 後遺障害部分:遅くとも症状固定の翌日
それ以外:事故発生の翌日
人身事故で被害者が死亡した場合 死亡日の翌日

なお、加害者不明の交通事故の場合、不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効は、事故発生の翌日から20年が経過した時点で時効消滅します(民法724条2号)。

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5.示談交渉でもめる・進まない場合の対処法

加害者側が強硬な姿勢を示し、示談交渉がなかなかまとまらない場合には、被害者側としても何らかの対応を取る必要があります。

最後に、示談交渉がまとまらない場合に被害者側が取り得る対処法について解説します。

(1) 法的手続きへの移行を示唆する

加害者側も、調停訴訟などの法的手続きに移行してしまうと手間がかかるので、できるだけ話し合いで示談をまとめたいと考えているものです。

そこで、示談交渉がまとまらない場合には法的手続きへの移行を検討する旨を伝えることによって、加害者側の譲歩を引き出せる可能性があります。

(2) 民事調停を申し立てる

当事者同士の話し合いだけでは示談がまとまらない場合は、民事調停を申し立てる手段もあります。

民事調停では、調停委員が被害者・加害者の間に入り、当事者の意見を調整しながら妥協点を探ります。

第三者の視点が入ることで、より冷静な話し合いができるため、示談がまとまりやすいというメリットがあります。

(3) 実際に訴訟を提起して裁判上の和解を目指す

被害者側に有利な証拠が揃っているにもかかわらず、加害者側が示談に応じない場合には、訴訟を提起することも検討しなければなりません。

訴訟の中で、加害者側に自らの不利を悟らせることができれば、被害者に有利な条件での裁判上の和解が成立する可能性も高くなるでしょう。

6.交通事故の示談交渉は弁護士に依頼!

交通事故の示談交渉は、弁護士に依頼することをおすすめいたします。

示談交渉を弁護士に依頼すると、被害者には以下のようなメリットが期待できます。

(1) 示談金の増額が期待できる

被害者に弁護士が付いていないケースでは、加害者側の任意保険会社が、裁判例に照らした妥当な金額よりもかなり低い示談金額を提示してくることがあります。

これに対して、弁護士に依頼した場合には、当初から裁判例を基準とした適正な示談金額をベースに示談交渉を進められるため、示談金の増額が期待できるでしょう。

(2) 示談交渉に臨む精神的負担が軽減される

示談交渉の相手となる任意保険会社は、交通事故処理を日頃から専門に取り扱っており、知識や経験も豊富です。

このような相手に、被害者がご自身だけで立ち向かうのは非常に大変でしょう。

弁護士に依頼をすれば、示談交渉をすべて任せることができるので、被害者の精神的な負担が大きく軽減されます。

(3) 法的手続きへとスムーズに移行できる

示談交渉がなかなかまとまらない・長引く場合には、必要に応じて調停や訴訟などの法的手続きへと移行する必要があります。

弁護士は、これらの法的手続きを日常的に業務として取り扱っていますので、実際に法的手続きを取る必要が生じた際にも、スムーズな対応が可能です。

交通事故の示談交渉を弁護士に依頼する最良のタイミングは?

[参考記事]

交通事故弁護士に相談・依頼するタイミング

7.まとめ

交通事故の示談交渉は、事故直後からいきなり行うのではなく、通院治療や後遺障害等級認定などの事前準備を経た後、弁護士のアドバイスを受けながら十分な準備をして臨むことをおすすめいたします。

弁護士に依頼をすることで、示談金の増額や被害者の負担軽減にも繋がりますので、交通事故の被害でお悩みの方は、ぜひ泉総合法律事務所の弁護士までご相談ください。

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