慰謝料・賠償金

交通事故で請求できる慰謝料と賠償金は何が違うの?

交通事故で請求できる慰謝料と賠償金は何が違うの?

交通事故の当事者が損害賠償などの交渉を行う場では、賠償金とか慰謝料という言葉が使われますが、具体的にどう違うかご存知でしょうか。

事故の相手方に請求できる金銭であることは分かっていても、それぞれどのような補償なのかは分かりづらいものです。相手との交渉で不利益を被らないためにも、示談にまつわるお金について正しく理解しましょう。

今回は、賠償金と慰謝料との違いについて解説します。

1.慰謝料と賠償金の違いとは?

(1) 慰謝料は損害賠償金の一部

交通事故の加害者が被害者に対して事故の損害を金銭で補償するのが損害賠償金です。

損害とはもともと、交通事故に遭ってしまったときと遭わなかったときとを比較した際の財産的差異のことです。ですから、損害に対する賠償金は交通事故の金銭的補償のすべてを指します。

そして、慰謝料は損害賠償金のなかに含まれるものです。

(2) 賠償金は過失割合に基づいた金額になる

物損、人身いずれの事故であっても、加害者か被害者かを分けるのは、事故の原因責任を当事者で分担しあう過失割合によります。

過失割合は80:20などのように、どちらにどれだけの責任があるかを事故の証拠に基づいて決定するものです。

この過失割合に応じた損害を当事者同士で相殺し、責任の重い方が賠償金を支払うことになります。

AとBの過失割合が80:20であれば、過失相殺によってAの損害賠償責任は60%となり、AはBに対してすべての金銭補償の60%分を支払わなければならないということになります。

2.賠償金は財産的損害と精神的損害とに分けられる

賠償金は財産的損害と精神的損害とに分けられ、後者を総称して慰謝料と呼んでいます。

損害賠償金 財産的損害 積極損害 治療費用
付添看護費
入院雑費
交通費
通院のための宿泊費
将来の介護費用
家屋や自動車などの改造費
装具費
葬儀関係費
弁護士費用の一部
学生や児童の学費等
消極損害 休業損害
後遺傷害逸失利益
死亡逸失利益
精神的損害 慰謝料 入通院慰謝料(傷害慰謝料)
後遺障害慰謝料
死亡慰謝料

(1) 財産的損害は財産や利益の損失分のこと

財産的損害とは、交通事故の被害に遭って失った財産や利益に対しての損害です。

車の修理代やけがの治療費、仕事を休まざるを得なかった期間の給料など、被害者が実質的に被る金銭的損害です。

この財産的損害は、さらに積極損害と消極損害に分けられます。

(2) 積極的損害は実際にかかった費用

積極損害とは、事故が原因で実際に出損した費用のことです。

(3) 消極損害は将来的な損失のこと

一方の消極損害とは、交通事故が原因で減少した収入のことです。

3.慰謝料の内容

(1) 精神的損害を慰謝料という

損害賠償金のうちの精神的損害が慰謝料と呼ばれるものです。

慰謝料とは、被害者が受けた精神的苦痛に対し金銭で補償しようとするものです。被害者が請求することができる損害賠償金の一部ですが、すべての被害者が請求できるとは限りません。

不法行為(民法709条)としての交通事故において、名誉、身体、財産権、自由への侵害がある場合のみ慰謝料の請求が可能だと法律に定められています(民法711条)。

(2) 慰謝料は3種類ある

交通事故の慰謝料には、入通院慰謝料(傷害慰謝料)、後遺障害慰謝料死亡慰謝料があります。

事故後の被害者の精神面のどの部分を補償するのかで分かれています。

①入通院慰謝料(傷害慰謝料)

自賠責保険では、交通事故の人身損害において精神的慰謝料を支払うことが定められています。つまり、交通事故で負ったけがの治療のための入院や通院で苦痛を強いられたことに対し慰謝料を支払うということです。

これが入通院慰謝料(傷害慰謝料)です。

②後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、後遺障害を負って生きていくことに対する精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。けがの治療の甲斐なく後遺障害が残った場合に、症状固定し後遺障害認定の申請をします。

症状固定とは、治療を続けてももうそれ以上の回復の兆しが見込めなくなった段階のことです。症状固定で治療期間は終了し、症状固定までを障害部分と呼び、それ以降は後遺障害部分として補償の対象となります。

後遺障害等級に認定されると、等級に応じて設定された基準額の慰謝料が支払われます。

障害の重さで1~14級まで区分されていますが、当然、重度になればなるほど慰謝料の基準額も高額になります。

③死亡慰謝料

交通事故の被害者が亡くなってしまった場合には、被害者の相続人が示談交渉を行い、被害者が受け取るはずの損害賠償金を請求することになります。

被害者の死亡慰謝料については、一定の近親者に請求権があります。

後述する自賠責保険の支払い基準によると、被害者本人の慰謝料として350万円が支払われます。

ほか、遺族の慰謝料として、遺族慰謝料請求権者が1名の場合は550万円、2名の場合は650万円、3名以上の場合は750万円が支払われます。

さらに、被害者に被扶養者がいるときは200万円が加算されます。

(3) 慰謝料額を決める基準がある

精神的苦痛への補償である慰謝料は、どのくらいの金額が補償されるのかがイメージしづらいものですが、交通事故の慰謝料を算出するうえでの基準があります。

同じ事故で負傷した場合であっても適用される基準によって金額が異なります。

①自賠責基準

交通事故により負傷した被害者に対して、法令で決められた最低限の補償を担保するための基準です。

自賠責保険による入通院慰謝料の計算式は、1日4,200円×治療日数となりますが、上限が120万円と定められています。

治療日数は治療期間と実通院日数を比較し少ない方を使います。

強制加入保険による最低限度の補償であり、けがの態様に関係なく計算式の基準金額は一律です。

②任意保険基準

各損害保険会社が独自に設けている基準です。入院期間と通院期間に応じた慰謝料を各自が取りまとめていますが、自賠責基準よりも多少多い程度の補償額です。

相手方が加入する任意保険会社から提示される慰謝料は、すべてこの基準で計算されています。

③弁護士(裁判)基準

弁護士会が公表している基準で裁判所の判例などを参考にしています。自賠責基準や任意保険基準に比べると最も高額な慰謝料を請求することができます。

原則1日当たりの基礎収入に日数や期間を乗じたものですが、それ以外にも多様な視点から補償されるべき観点を見つけ出して慰謝料に換算します。

通常は自賠責基準か任意保険基準で計算された慰謝料で示談されます。弁護士に交渉を依頼することで弁護士(裁判)基準による慰謝料を受け取ることができます。

4.示談金と賠償金の関係

(1) 示談金は賠償金の同意部分

多くの交通事故の補償交渉は示談で解決されていますが、示談は、事故当事者双方が示談の内容に合意した時点で成立となります。

このとき合意された示談金は当事者が取り決めた金額ですから、必ずしも常に損害賠償金のすべてとは限りません。どの損失についてどのくらいの金額を賠償するかは当事者同士が合意に至ればよいのです。

つまり、示談金とは示談交渉の結果同意された損害賠償金のことで、請求可能な賠償金の全額、または一部分が示談金として加害者から被害者に支払われることになります。

(2) 示談書の条項は賠償金に影響を及ぼす

当事者の合意で示談は成立しますが、どのような取り決め方をするかについても任意で決められます。

例えば、示談書等を作成する際に「権利放棄条項」や「清算条項」といって、示談書に書かれている権利や義務以外には金銭的要求をしないなどの合意を記載することがあります。

その結果、示談が成立してしまうと、示談金や損害賠償金の追加請求をすることはできなくなってしまいます。

後遺障害を発症する可能性を否定できない場合などは、後遺障害が発生した際に損害賠償金を支払う義務を負うといった条項を記載することを考えたほうがよいでしょう。

5.まとめ

これまで見てきたように、交通事故の損害賠償として請求できるものは多種多様に存在します。ですから、自分が何を請求できるのかを知ることが、適正な損害賠償請求をするうえでの基本です。

わからないことがあれば、弁護士に相談してみてください。泉総合法律事務所であれば、初回無料でご相談いただけます。

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