慰謝料・賠償金 [公開日] [更新日]

むち打ち症で3ヶ月・6ヶ月通院した場合の通院慰謝料比較

むち打ち症で3ヶ月・6ヶ月

交通事故のむち打ち症で入院・通院をした場合、入通院慰謝料を受け取ることができます。

気になるのは、保険会社から提示される自分の慰謝料が納得できる金額なのか。

そこで、むち打ち症で3ヶ月と6ヶ月通院した場合の入通院慰謝料について徹底比較します。

1.むち打ち症の場合の通院慰謝料

入通院慰謝料とは、傷害を負ったことによる精神的苦痛に対する金銭的補償です。

したがって、交通事故の入通院慰謝料は、入通院の期間に応じて金額が増額されます。

症状が重篤なほど入通院期間が長く、ケガをしたことによる精神的苦痛も大きいと考えることが最も合理的だからです。

むち打ち症で3ヶ月・6ヶ月通院した場合の入通院慰謝の算定基準ごとの具体的金額は下表の通りです。

条件 3ヶ月通院 6ヶ月通院
自賠責保険基準 入院なし/週2回通院 21万円 42.84万円
任意保険基準 入院なし 37.8万円 64.3万円
弁護士基準 入院なし/他覚症状なし 53万円 89万円
入院なし/他覚症状あり 73万円 116万円

自賠責保険基準から一つずつ解説することにしましょう。

(1)自賠責保険基準での計算

自賠責保険基準では、通院期間もしくは通院日数に応じて入通院慰謝料が算出されます。

具体的には、下の2つの計算式で算出された金額のうちの「低い額」が自賠責保険からの支払い額となります。

・4,200円×通院期間(日)
・4,200円×実通院日数×2

通院期間が3ヶ月・6ヶ月の場合の自賠責基準による入通院慰謝料の算出例は下のグラフのとおりです。

【自賠責保険による支払い額の比較】

交通事故でむちうち。リハビリ通院期間が長いと増額可能?

このグラフをみてわかるように、通院期間が同じであっても、「実際の通院回数が少ないとき」には、入通院慰謝料は減額されてしまいます。

特に、むち打ち症の場合には、医師の治療は保存療法(経過観察)となることがほとんどなので、通院が疎かになってしまうことも少なくないようです。

後述するように必要な治療を受けずに通院回数が減ってしまうと、示談交渉では不利になる場合があるので注意が必要です。

(2)任意保険基準

各損保会社が独自に設けている基準で、会社によって細かい内容は異なりますが、提示される金額は大きく変わることはありません。

自賠責保険基準より多少は高く設定されていますが、次に解説する弁護士基準とは大きな差があります。

相手側が加入する任意保険会社から提示される慰謝料は、この基準で算出されています。

(3)弁護士基準での計算

裁判士基準は、弁護士の団体から複数の書籍が発表されていますが、東京地裁民事交通部の意見を反映させた通称「赤い本」(※)が最も実務に影響力を持っています。

赤い本の弁護士基準は、2016(平成28)年に改訂されました。ここでは、2018(平成30)年度最新版の赤い本に基づいて説明します。

弁護士基準で入通院慰謝を算定する場合も、原則的に入通院期間に比例して金額が増額されます。

むち打ち症で入通院慰謝を算定する場合は、以下の点に注意が必要です。

「むち打ち症」でもレントゲンなど他覚症状がある場合とない場合では用いる基準が異なる

他覚症状のあるむち打ち症
通院が長期にわたる場合は、症状、治療内容、通院頻度をふまえ実通院日数の3.5倍
程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることもある

他覚症状がないむち打ち症
通院が長期にわたる場合は、症状、治療内容、通院頻度をふまえ実通院日数の3倍
度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることもある

【参考】むち打ちの慰謝料はいくらもらえる?相場と治療期間の関係

弁護士基準によって慰謝料を算出する場合でも、通院期間が長いときには、慰謝料額が打ち止めとなる場合があるということです。

実通院日数の3.5倍(他覚症状のないむち打ち症の場合には3倍)を超える通院期間は認められないと相手方保険会社から主張される場合があり得るのです。

例えば、他覚症状のないむち打ち症で10ヶ月通院をし、実際の通院が月2回(計20回)だった場合は、20回  × 3倍 = 60日が計算上の通院期間となります。

同じ条件で、他覚症状のある場合は、20回 × 3.5倍 = 70日が計算上の通院期間となります。

この場合、他覚症状のない入通院慰謝料は36万円で、他覚症状のある入通院慰謝料は、90万円となります。

まとめると下表の通りとなります。

通院期間/通院回数 他覚症状 算定上の通院期間 入通院慰謝料
原則 通院期間10カ月 なし 10 ヶ月 113万円
あり 10 ヶ月 145万円
長期通院の例外規定適用 通院期間10ヶ月
通院回数:計20回
なし 20回×3 60日間 36万円
あり 20回×3.5 70日間 90万円

原則的には、10カ月間通院した場合、他覚症状がないときは、113万円、あるときは145万円の入通院慰謝料になります(表上2行)。

同じ10カ月間通院したとしても、症状、治療内容、通院頻度を踏まえて、実通院日数を基準に計算されてしまう場合は、これだけの差がついてしまいます。

しかし、これはあくまで例外規定です。もし、保険会社が3(3.5)倍基準を主張してきた場合は、原則をしっかりと主張しましょう。

(※)「民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準(財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編集発行)」

2.慰謝料算定上注意すべきこと

慰謝料算定で、「慰謝料が減額された」、「治療の早期打ち切りを通告された」といった被害者の話を耳にしたりしますが、なぜなのでしょうか?

保険会社は、被害者の通院状況・治療状況・症状の推移を定期的に確認します。できるだけ、早めに治療を終わらせて、自社の負担を減らしたいからです。

通院頻度が少ない場合は、慰謝料が減額されたり、治療費の早期打ち切りを通告されたりすることもあり得ます。

また、受けるべき治療を受けなかったために後遺障害が残った場合は、後遺障害慰謝料が減額されたり、後遺障害認定が受けられなかったりする可能性もあります。

適正で十分な補償を受けるためには、「必要な治療を医師が治療終了の判断をするまで適切な頻度で続ける」ことが重要だということです。

【参考】むち打ちで「治療打ち切り」を告げられた時の対処法

3.まとめ

入通院慰謝料は、実務上は入通院期間に応じて算出されることが一般的です。しかし、それは被害者の立証負担を軽減するためであって、慰謝料額を減額させるためではありません。

入通院慰謝料は、通院の手間暇への補償ではなく、普段の生活が不便になることなども含めた交通事故によってケガをしたことへのすべての精神的苦痛をカバーすべき性質のものです。

その意味では、「傷害慰謝料」という呼び方の方が、内容面では正しいといえます。

保険会社が実通院日数のみで入通院慰謝料の打ち切りを求めているときでも、それが本当に妥当で公平な慰謝料額であるかは、きちんと精査し、反論する必要があります。

ただ保険会社との交渉は、専門知識のない方には負担が大きすぎることが少なくありません。

ケガによる苦痛だけでなく、示談金を増額させるために示談交渉でさらに精神的な負担が増えることも少なくないでしょう。

弁護士にご依頼いただければ、被害者の方には、治療と普段の生活に専念していただき、嫌な思いをせずに示談交渉を進めることが可能となります。

泉総合事務所では、交通事故の相談は初回無料でお受けいただくことができます。保険会社から提示された慰謝料額が少なすぎると感じた際に限らず、交通事故被害で不安なこと、お困りのことが生じたときには、お気軽にお問い合わせください。

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