むち打ち [公開日]2018年8月29日[更新日]2021年7月13日

むち打ち症で3ヶ月・6ヶ月通院した場合の通院慰謝料比較

むち打ち症で3ヶ月・6ヶ月

交通事故によるむち打ち症で入院・通院をした場合、「入通院慰謝料」を受け取ることができます。

しかし、治療が終わり、実際に相手方の任意保険会社から提示される自分の入通院慰謝料が納得できる金額かというと、そうでないケースが散見されます。

交通事故のむち打ちによる慰謝料は、一体どのくらいもらえるものなのでしょうか?示談金の相場や計算方法はあるのでしょうか?

ここでは、むち打ちで3ヶ月通院・6ヶ月(半年)通院した場合の入通院慰謝料について比較します。

1.むち打ちの入通院慰謝料の基本

入通院慰謝料とは、傷害を負ったことによる精神的苦痛に対する金銭的補償です(「示談金」の中に慰謝料が含まれる形になります)。

交通事故の入通院慰謝料は、通常、入通院の期間に応じて金額が増額されます。
症状が重篤なほど入通院期間が長く、怪我をしたことによる精神的苦痛も大きいと考えることが最も合理的だからです。

(1) 入通院慰謝料算定の基準

慰謝料は、先述の通り「精神的苦痛」に対する金銭的補償なので、言葉からするとこれといった相場を定めることが難しそうです。

しかし、交通事故に関しては、日々の発生件数が多いため迅速な処理が必要なのと、ある程度の平等性を確保する必要もあるため、客観的である入通院の期間に応じて基準が作られており、それに基づいて計算されます。慰謝料の計算には以下の3つの基準が定められています。

  • 自賠責基準
    自賠責保険から支払われる必要最低限の補償です。
  • 任意保険会社基準
    各任意保険会社が独自に設けている基準で、会社によって細かい内容は異なりますが、その金額は大きく変わりません。自賠責保険基準より多少は高く設定されていますが、弁護士基準とは大きな差があります。
  • 弁護士基準(裁判基準)
    裁判になった際に適用される基準です。任意保険会社との示談交渉の際には、弁護士に依頼することでこの基準を用いることができ、上の2つの基準よりも遥かに高額です。
交通事故の慰謝料は、弁護士基準の計算で大きく増額!

[参考記事]

交通事故の慰謝料は、弁護士基準の計算で大きく増額!

(2) 正確な慰謝料算定のために(症状固定まで通院)

「慰謝料が減額された」、「治療の早期打ち切りを通告された」といった被害者の話を、知恵袋などインターネット上の書き込みで見ることがあるかもしれません。これは何故なのでしょうか。

保険会社は、被害者の通院状況・治療状況・症状の推移を定期的に確認します。これは、先ほど入通院の期間に応じて慰謝料が決まるとありましたが、できるだけ早めに治療を終わらせてもらうことにより、治療費・慰謝料等を少なく算定し、自社の負担を減らしたいからです。

さらに、通院頻度・期間が少ない場合は、「さほど重症ではない」として、慰謝料が伸び悩むこともあり得ます。

適正で十分な補償を受けるためには、「必要な治療を医師が治療終了の判断をするまで適切な頻度で続ける」ことが重要だということです。

これ以上治療しても症状が回復しないとされる「症状固定」と医師が判断するまでは、保険会社に言われたからといってすぐに通院を止めないでください。必ず、医師に相談してからにしましょう。

交通事故でむち打ち!保険会社に「症状固定」と言われた場合の対処法

[参考記事]

交通事故で症状固定と言われたら|デメリットと症状固定後の通院

2.むち打ちの入通院慰謝料(3ヶ月・6ヶ月通院)

むち打ちで3ヶ月・6ヶ月(半年)通院した場合の入通院慰謝の算定基準ごとの具体的金額は、下表の通りです。

【入院なし/月10日通院を条件としたむち打ちの入通院慰謝料】
他覚所見の有無 3ヶ月通院 6ヶ月通院
自賠責保険基準 25万円 50万円
弁護士基準 他覚所見なし 約53万円 約89万円
他覚所見あり 約73万円 約116万円

(1) 自賠責保険基準での計算

自賠責保険基準では、通院期間もしくは通院日数に応じて入通院慰謝料が算出されます。

具体的には、下の2つの計算式で算出された金額のうちの「低い額」が、自賠責保険からの支払い額となります。

  • 4,300円×通院期間(日)
  • 4,300円×実通院日数×2

入院なし・月10通院で3ヶ月(90日間)通院した(実際に治療を行なった日数は30日間の)場合は、「4300円×30日×2 = 25万8000円」となります。

(2) 弁護士基準での計算

裁判士基準は、弁護士の団体から複数の書籍が発表されていますが、東京地裁民事交通部の意見を反映させた通称「赤い本」(※)が最も実務に影響力を持っています。

弁護士基準で入通院慰謝料を算定する場合も、原則的に入通院期間に比例して金額が増額されます。なお、月10日程度通院した場合となります。

赤本別表Ⅰ

なお、同じむち打ちでも、レントゲン・MRIなどの他覚所見がある場合とない場合では用いる基準が異なるので注意が必要です。

「赤い本」別表Ⅱ

表を元に計算すると、以下の通りになります(再掲)。

入院なし/月10日通院 他覚所見の有無 3ヶ月通院 6ヶ月通院
弁護士基準 他覚所見なし 約53万円 約89万円
他覚所見あり 約73万円 約116万円

[参考記事]

むち打ちの慰謝料|計算表で金額相場が一目で分かる!

※「民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準(財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編集発行)」なお、赤い本の弁護士基準は、2016(平成28)年に改訂されました。ここでは、2018(平成30)年度最新版の赤い本に基づいて説明しています。

なお、主婦や学生、無職などでも、慰謝料の計算方法は同じです。
ただ、上記のような方々は、休業損害(怪我により収入が減ってしまった際の減額分の損害)に特に気をつけなければなりません。

詳しくは以下のコラムをご覧ください。

[参考記事]

交通事故の休業損害の計算方法|主婦と会社員に違いはあるか

3.むち打ちの慰謝料・示談金でお悩みの方は弁護士へ

入通院慰謝料は、実務上は入通院期間に応じて算出されることが一般的です。

保険会社が症状固定前の治療費の打ち切りを求めているときや、入通院慰謝料を低く見積もって提示してきたときには、示談金を増額させるために、きちんと精査し、反論する必要があります。

ただ、保険会社との交渉は、専門知識のない方には負担が大きいでしょう。
怪我による苦痛だけでなく、示談交渉でさらに精神的な負担が増えることも少なくありません。

そんな時は、弁護士にご依頼いただければ、被害者の方には治療と普段の生活に専念していただくことができます。

また、交通事故の実務を踏まえない主張を繰り返していると、加害者側の顧問弁護士が加害者代理人として出てくることになり、より迅速・適正な解決が難しくなってしまいます。ご依頼いただくことで、そのような事態になる可能性が減るでしょう。

泉総合事務所では、交通事故の相談は初回無料(1時間)でお受けいただくことができます。
保険会社から提示された慰謝料額が少なすぎると感じた時に限らず、交通事故被害で不安なこと、お困りのことが生じたときには、お気軽にお問い合わせください。

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