慰謝料・賠償金 [公開日]2020年11月4日

交通事故の代車について|期間や費用の相場は?

交通事故に遭って車が使えなくなった場合、加害者または加害者側の任意保険会社に対して代車使用料を請求できることがあります。

ただし、補償の対象となる代車使用料には、車種・期間・過失割合などによる制約が存在します。

不相当に高額な代車を長期間借りてしまい、費用の大部分が補償されないという事態が生じないように、請求できる代車使用料の範囲についてのポイントを理解しておきましょう。

この記事では、交通事故時に加害者側に対して請求できる代車使用料について詳しく解説します。

1.加害者には代車使用料を賠償する義務がある

交通事故により、被害者が車を使えなくなる損害を被った場合、加害者は「代車使用料」という形で、その損害を賠償する義務を負います。

(1) 不法行為に基づく損害賠償責任

交通事故の加害者は、被害者に対して「不法行為に基づく損害賠償責任」を負います(民法709条)。

不法行為とは、故意または過失により、他人に対して違法に損害を与える行為をいい、加害者は被害者に生じた損害を賠償しなければなりません。

交通事故による損害の典型例としては、ケガの治療費・休業損害・慰謝料などや、車の修理代などが思い浮かぶでしょう。

これらとともに、車が使えなくなったことにより余分にかかった代車のレンタル費用についても、交通事故により被害者に生じた損害といえます。

したがって、代車使用料についても、加害者の被害者に対する賠償義務の範囲に含まれるのです。

(2) 人身事故・物損事故を問わず請求可能

被害者は代車使用料を、人身事故・物損事故のいずれの場合でも、加害者に対して請求できます。

代車使用料相当額の損害が被害者に生じることは、人身事故・物損事故のいずれの場合にも同様にあり得るためです。

(3) 請求先は任意保険会社または加害者本人

代車使用料は、本来であれば加害者本人が被害者に対して賠償する義務を負います。

ただし、加害者が自賠責保険とは別に任意の自動車保険に加入している場合には、通常、交通事故の被害に関する賠償は、保険会社から支払われる保険金によって行われます。

そのため、加害者が任意保険加入済みの場合、被害者は任意保険会社に対して、代車使用料を請求することになります。

これに対して、加害者が任意保険未加入の場合、被害者は加害者本人に対して代車使用料を請求することが必要です。

なお、自賠責保険は人身に対する損害のみを補償の対象としているため、代車使用料は保険金支払いの範囲に含まれません。

2.代車使用料の補償を受けられるケース

加害者が被害者に対して代車使用料相当額の賠償をしなければならないのは、不法行為を根拠とします。

不法行為に基づく損害賠償が認められるためには、不法行為と損害の間に相当因果関係が存在することが必要です。

したがって、代車使用料の賠償についても、不法行為と相当因果関係があると認められる範囲に限られます。

具体的には、以下のポイントが相当因果関係の存否を判断するにあたって考慮されます。

(1) 代車を使用する必要性がある

まずは、そもそも「交通事故で車が壊れたことにより、代車を借りなければならなくなった」と本当にいえるかどうかがポイントになります。

たとえば通勤・業務・日常の買い物・通院などで、車を使用する具体的な必要性がある場合には、代車を使用する必要性が認められやすいでしょう。

これに対して、公共交通機関を利用すれば利便性を損なうことなく移動できるという場合や、そもそも車に乗る頻度が少ないという場合には、代車を使用する必要性が認められにくくなります

中には、単に趣味で車に毎日乗っているという方もいらっしゃるかもしれません。
その場合、代車を使用する必要性という観点からは、少なくとも代車使用料全額を損害として請求することは困難と考えられます。

(2) 破損した車と同等以下のグレードの車種である

交通事故により車が使えなくなったことに関する損害は、あくまでも「もともと乗っていた車のグレードと同等の車に乗れなくなった」という限度を超えることはありません。

したがって、代車使用料の補償範囲も、交通事故により破損した車と同等以下のグレードの車種を借りた場合の費用相当額が上限となります。

たとえば極端な例ですが、交通事故で国産軽自動車が使えなくなった被害者が、代車として高級外車をレンタルしたとします。

この場合、高級外車のレンタル費用全額を補償してもらえるわけではなく、あくまでも国産軽自動車のレンタル費用相当額が補償してもらえるに過ぎません。

(3) 必要な期間分の使用料に限られる

「代車を使用する必要性」という観点からは、補償対象となる代車使用料は、被害者が代車を使用する必要性が存在する期間分に限られます。

具体的には、全損で買い替えが必要な場合には「買い替えに要する期間」、修理をして元の車を使い続ける場合には「修理期間」が補償対象期間となります。

なお、見積もりや交渉にかかる期間についても、上記の補償対象期間に含まれる場合があります。
そのため、買い替えや修理に関するやり取りの記録をしっかり残しておくことが大切です。

【代車はレンタカーでも可】
代車は、数日・数週間などの単位で継続的にレンタルして自分が借りている駐車場などに停めておくことが一般的ですが、必要な時だけ1日単位・時間単位でレンタカーを借りることも可能です。
レンタカー使用料についても、代車使用料として保証の対象になりますが、その場合も必要性・車種・期間の観点から、交通事故と相当因果関係のある損害と評価できるかどうかが判断されます。

3.被害者に過失割合がある場合の処理

交通事故には、どちらかに100%責任があるというケースばかりではなく、お互いに一定の過失が認められるという場合もあります。

たとえば優先道路を直進する車(優先車)と、優先道路でない道路を直進する車(劣後車)が信号機のない交差点で衝突したケースでは、一般的に優先車1割、劣後車9割の過失が認められます。

劣後車にはメインの過失が認められるのは当然ですが、その一方で優先車にも一定の注意義務違反が認められるためです。

このように、被害者に過失割合があるケースでは、代車使用料の賠償はどのように行われるのでしょうか。

不法行為に基づく損害賠償には、「過失相殺」という考え方があります(民法722条2項)。

過失相殺とは、交通事故の両当事者の過失割合に応じて損害を分担しようという考え方で、代車使用料の賠償にも過失相殺の考え方が適用されます。

たとえば、被害者2割、加害者8割の過失があるケースで、被害者に代車使用料相当額30万円の損害が認められるとします。

この場合、過失割合が8割の加害者は、被害者に生じた30万円の損害のうち、8割に相当する24万円の賠償義務のみを負うことになります。

交通事故における過失相殺について|損害賠償に大きな影響

[参考記事]

交通事故における過失相殺について|損害賠償に大きな影響

しかし、加害者側の任意保険会社は、被害者に過失があるケースでは代車使用料を保険金として一切支払わないと主張する場合もあるようです。

しかし、被害者に一定の過失がある場合であっても、法的には過失相殺の考え方に従って、全体損害の一部ではあるものの、加害者から賠償を受けることができます。
したがって、代車使用料を一切支払わないとする任意保険会社の主張には、法的な根拠はありません。

そのため、仮に加害者側の任意保険会社から代車使用料の支払いを拒否されたとしても、その言い分を鵜呑みにすることなく、法的な観点からきちんと反論することが大切です。

4.代車使用料の費用相場

代車使用料については、代車を提供するレンタル業者が独自に費用を決定しているため、決まった相場はありません。

通常の国産車であれば、1日あたり5,000円〜10,000円程度が多いようですが、車種によっても異なります。

なお、レンタカーを1日単位や時間単位で借りるよりも、一定期間まとめて代車を借りてしまった方が、トータルでのコストは割安になる傾向にあります。

ただし、まとまった期間代車を借りる必要があるかどうかは、車を使用する頻度などとの兼ね合いで判断する必要があるでしょう。

【代車のガソリン代は補償の対象外】
代車使用料として補償の対象となるのは、あくまでも車自体のレンタル費用のみであり、ガソリン代は補償の対象になりません
車を使用する必要性がある人にとっては、交通事故のある・なしにかかわらず、いずれにしてもガソリン代は出費することになったと考えられます。したがって、ガソリン代は交通事故により新たに発生した出費ではないため、交通事故との間に相当因果関係が認められる損害とはいえないのです。

5.まとめ

代車使用料の損害賠償については、不法行為に関する法律上の要件を満たす場合に認められます。

車の修理期間が長期に及ぶ場合などは、代車使用料の金額も高額に及ぶことがありますので、加害者側に対して、法律に基づいた適切な請求を行いましょう。

交通事故の被害に遭った場合、代車使用料以外にもさまざまな損害項目が問題になります。
特に人身事故のケースでは、任意保険会社から支払われる保険金額が高額になるケースもあります。

被害者が正当な補償を受けるためには、交通事故の状況や受けた損害の内容を丁寧に立証することが大切です。

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