慰謝料・賠償金 [公開日]

第三者行為による傷病届とは?-加害者から治療費を受け取れない場合

第三者行為による傷病届とは?-加害者から治療費を受け取れない場合

【この記事を読んでわかる事】

  • 交通事故加害者が被害者の治療費を支払えない場合の救済策「第三者行為による傷病届」とは?
  • そもそも「第三者行為」とは何なのか?
  • 「第三者行為による傷病届」の届け出に必要なものと注意点

交通事故に遭ったとき、被害者の治療に必要な医療費は加害者(もしくは加害者が加入している保険会社)が負担するというのが基本です。

しかし、何らかの事情で加害者側がその治療費を支払えないこともあります。

その場合、被害者が加入している健康保険組合等に「第三者行為による傷病届」を提出することによって、被害者の健康保険を使って治療を受けることが可能です。

この記事では、「第三者行為」とは何か、健康保険を使って治療を受ける際に必要な書類および手続などについて解説します。

1.「第三者行為」とは?

被害者が加入している健康保険を使って交通事故の怪我の治療をするためには、健康保険組合等に「第三者行為による傷病届」等の書類を提出する必要があります。

(1) そもそも「第三者」とは?

「第三者」という言葉自体は耳にしたことのある方も多いでしょう。

法律的には「特定の案件・関係について、当事者ではないその他の関係者」のことを指します。

「第三者」は、「当事者ではない関係者」という固有の意味を持っています。そのため、当事者が増えたとしても、「当事者ではない関係者」はすべて「第三者」と呼称します。

(2) 保険関係の「当事者」および「第三者」

今回の「第三者行為による傷病届」は健康保険組合等に提出する書類です。

つまり、この件についての「当事者」と「第三者」について考えるべきは「健康保険加入についての当事者かどうか」であり、「交通事故の当事者かどうか」とは別の話です。その点は混同しやすいので気をつけましょう。

  • 健康保険において事業主や保険者(健保組合等)、被保険者や被扶養者は「当事者」
  • その健康保険に関係のない人は「第三者」

となります。

健康保険に関係のない「第三者」によって健康を害された場合、「『第三者行為』により怪我をした(病気になった)」と言うのです。

なお、この「当事者」などについては、「交通事故の当事者」と混同しやすいので、気をつけましょう。

(3) 「第三者行為」の例

では、「第三者行為」とはどんな行為を指すのでしょうか。

端的に言うと「他人が原因で怪我をさせられたり、病気になったりした」とき、「第三者行為によって怪我をした(病気になった)」と表現します。

具体的に言うと

  • 自動車同士の事故で怪我をしたとき(事故の相手が「第三者」)
  • きちんと留められているはずの看板が落ちてきたなど、設備の欠陥が原因で怪我をしたとき(設備の管理者が「第三者」)
  • 他人のペットに噛みつかれて怪我をしたとき(ペットの飼い主が「第三者」)
  • 不当な暴力や傷害行為を受けて怪我をしたとき(加害者が「第三者」)
  • 飲食店で提供された食品を原因とする食中毒に罹ったとき(飲食店の管理者が「第三者」)

などです。

2.「第三者行為による傷病届」

交通事故による怪我で治療を受ける際、基本的には加害者が治療費を負担します。

しかし、事情があって加害者が医療費の負担をできないような場合、被害者が加入している健康保険組合(国保の場合は市役所等)に「第三者行為による傷病届」を提出する必要があります。

これによって、健康保険組合は一旦被害者の医療費を負担し、その後加害者側に医療費を請求できるようになります。

なお、通勤中や業務中の怪我の場合は健康保険ではなく労災保険を利用することになりますから、この届け出は不要です。

(1) 「第三者行為による傷病届」の届け出に必要なもの

「第三者行為による傷病届」の提出方法ですが、実は届出にはこれ以外の様々な添付書類が必要です。

  • 第三者行為による傷病届
  • 負傷原因報告書
  • 事故発生状況報告書
  • 同意書(念書)
  • 誓約書(確約書・念書)
  • 交通事故証明書(もしくは人身事故証明書入手不能理由書)
  • 健康保険証
  • 印鑑

などです。

必要な書類やその名称は保険組合等によって異なる場合がありますが、ウェブサイトなどでひな形を入手できるところも増えてきています。

①第三者行為による傷病届

自分や加害者の情報、保険加入の有無などについて詳細を記載する書類です。

②負傷原因報告書

負傷の原因について詳細を記載する書類です。日時や場所、何をしているときに負傷したかなどを細かく記入します。

③事故発生状況報告書

交通事故の場合、どのような状況で事故が起こったのかを図などで説明する書類です。

④同意書(念書)

負傷者(保険加入者)が署名する書類です。

「自分が事故の相手方に有している損害賠償請求権を、保険者が保険給付の限度において取得することに同意する」という内容のものです。

⑤誓約書(確約書・念書)

加害者側が署名する書類です。「今後保険者から請求されたら過失割合の範囲において納付します」という内容のもので、相手方の任意保険会社が書いてくれることもあります。

相手によっては署名をしてくれない場合もありますが、その場合は「連絡がつきにくく署名がもらえなかった」などの理由を負傷者側で書くことになります。

⑥交通事故証明書

交通事故証明書は、事故後に警察に届け出をしていれば、各都道府県の交通安全運転センターで発行してもらえます。

ゆうちょ銀行やwebサイトでも手続き可能です。詳しくは「交通事故証明書が全ての出発点!物損事故と人身事故の損害賠償請求」で解説しています。

⑦人身事故証明書入手不能理由書

  • 警察に事故の届け出をしていない
  • 「物損事故扱い」で届け出をした

などという場合に記入します。

詳しくは「身事故証明書入手不能理由書とは?人身事故への切り替えは早急に!」をご覧ください。

⑧その他

多くの書類に捺印する必要がありますし、健康保険の記号番号等も記入することが多くあります。そのため印鑑と健康保険証は必須です。

(2) 「第三者行為による傷病届」の提出時期

事故の後、できるだけ速やかに提出しましょう。

(3) 「第三者行為による傷病届」についての注意事項

①示談前に金額等を健康保険組合等に必ず連絡すること

交通事故後、相手方と過失割合や金額などについて交渉することになります。

示談を目指して交渉を行うわけですが、正式に示談をする前に「この金額で示談予定」という旨を健康保険組合等に事前に伝えましょう。

示談金額によっては健康保険組合等が医療機関に支払った費用を加害者に請求できなくなる場合があるため、健康保険組合等で金額の確認をする必要があるのです。

②通勤中・業務中の事故の場合は対象外(労災保険が優先)

通勤中・業務中の怪我や病気は労災保険が優先して適用されます。

通勤中や業務中の怪我や病気について健康保険を使用して治療を受けると、返還請求される場合があります。注意しましょう。

3.まとめ

このように、健康保険を使用して交通事故の怪我の治療を行う場合、「第三者行為による傷病届」の提出は必須です。

わからないことがあったらできるだけ早く健康保険組合等に相談しましょう。

交通事故に遭ってしまうと、身体は当然のことながら、精神的にもいろいろと消耗してしまいます。

そんな中で相手と示談交渉をしなくてはならないとなると、被害者の方の負担は非常に大きくなってしまいます。

交通事故のあとにまず大切なのは、怪我の治療です。ご自身は怪我の回復に務めつつ、交通事故の示談交渉は専門家である弁護士へお任せいただく、というのがベストな選択です。

交通事故の被害で困ったことがあれば、いつでも泉総合法律事務所ご連絡ください。交通事故の解決実績豊富な弁護士がお待ちしております。

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