慰謝料・賠償金 [公開日]2020年2月14日

交通事故の治療費支払いは被害者の立て替えなのか?

交通事故で怪我を負った場合、病院に行って治療を受けなくてはなりません。

病院で治療を受けると治療費(医療費)が必要になりますが、交通事故で怪我をした場合、治療費だけでなく、入院費・入院雑費などの病院代諸費用は加害者側が負担することになっています。
しかし、加害者がその度に病院へ行き、支払うことは不可能でしょう。

この場合、被害者が治療費を一旦でも負担(立て替え)するべきなのでしょうか?

交通事故の治療費は高額になることもあるので、できれば最初から加害者(加害者側の保険会社)に支払ってもらいたいところです。

この記事では、交通事故で病院へ行った場合の被害者の治療費支払いについて解説します。

1.交通事故の治療費負担

交通事故の治療費は、ざっくりとわけて「保険会社が支払う」「被害者が立て替える」「加害者本人が払う」の3つのうち、いずれかの方法をとることになります。

(1) 保険会社が病院に直接払う

加害者が任意保険会社に事故の連絡を行うと、保険会社が病院へ連絡を入れてくれることがあります。

その場合、任意保険会社が直接病院へ支払うことになり、その場で被害者が治療費を負担することはなく、またそれ以降の治療費の負担も不要となります。

ただし、これには「加害者が適切に任意保険会社と連絡を取っていること」が必要で、実際はなかなか上手くいかないこともあります。

なお、交通事故の対応に慣れている病院であれば、「交通事故で怪我をした、あとから保険会社から連絡が来ると思う」「交通事故の被害者なので、加害者の保険会社に請求して欲しい」などと伝えるだけで対応してくれるところもあるようです。

【交通事故で怪我をしたときの一般的な流れ】
交通事故が発生したら、まず加害者に、加害者自身が加入している任意保険会社へ連絡してもらいましょう。
そしてその事故で受傷したのであれば、治療のために病院へ行かなくてはなりません。その際、「交通事故で怪我をした」と病院に伝えることが必要です。

なお、保険会社が治療費を直接病院に支払ってくれるこのような対応を「一括対応」と言います。

治療費の打ち切りを打診されたら

一括対応で治療を続けていた場合、一定期間が経過すると、保険会社から「そろそろ治療費の支払いを打ち切ります」などという連絡が来ることがあります。

これは、保険会社が自社の負担を減らしたかったり、出来るだけ早く事故処理を進めたかったりすることが理由です。

しかし、ここで保険会社の言いなりになって治療を止めてしまうと、適切な金額の治療費(示談金)を受け取れなくなるだけでなく、自身の怪我の治癒にも悪影響を与えてしまうでしょう。

保険会社に治療費打ち切りをされたからと言って、そこで通院を止める必要はありません。後で請求すれば、打ち切り後の治療費を受け取ることができる場合もありますので、医師の判断を仰いだ上で通院を続けましょう

[参考記事]

むち打ちで「治療打ち切り」を告げられた時の対処法

(2) 被害者が立て替える

前述のとおり、保険会社と病院が早めに連携すると、被害者が窓口で治療費を負担する必要はなくなります。

しかし、連携が上手くいかなかったり、過失割合などの関係で支払金額に争いがあったりした場合、保険会社から病院への直接支払は難しくなります。

その場合は、治療終了まで被害者がその都度立て替えて支払を行い、最終的な合計金額が確定した時点で清算することになります。

治療費を立て替えて支払った場合、領収証はもちろん、一緒に発行される「診療報酬明細書」も必ず保管しておきましょう。
各種手続に必要な診断書代も加害者負担になりますから、その領収証も忘れてはいけません。

【交通事故の怪我で健康保険は使えない?】
「交通事故の治療の場合、健康保険は利用できない」という話を聞いたことがある方も多いかもしれません。しかし、それは誤りで、交通事故で受傷した場合でも健康保険は利用できます。
ただ、健康保険を利用して交通事故による怪我の治療を受ける場合、加入している保険組合に「第三者行為による傷害の届出」を行う必要があります。
治療費全額を立て替えするとなると負担は難しいかもしれませんが、健康保険を利用すると、被害者は自己負担分を立て替えるだけでよくなります。
参考:交通事故でも健康保険は利用できる!利用のメリット・デメリット

なお、仕事中や通勤中に交通事故で受傷してしまった場合、労災保険を利用することも出来ます。
状況によっては加害者の任意保険よりも労災保険を利用することで、メリットが大きくなる場合もあります。どのような場合に労災保険のメリットがあるかは、ケースバイケースなので弁護士に相談してみると良いでしょう。

交通事故における労災保険の使い方〜損をしないために

[参考記事]

交通事故における労災保険の使い方〜損をしないために

(3) 加害者本人が払う

日本での任意保険の加入率は約88%(2017年)です。単純に計算すると、10台のうち1台は自動車保険に加入していないという計算になります。

運悪く加害者が任意保険に加入しておらず、自賠責保険だけではカバーしきれないほどの治療費が必要な場合は、加害者本人へ請求するほかありません。

任意保険未加入事故の被害者に…。損害賠償は受けられるか?

[参考記事]

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2.立て替えの負担を軽減する方法

交通事故においては、治療費はもちろん、慰謝料などをまとめて請求することになります。
いずれも金額が確定してから請求→支払という流れになるため、立て替えた治療費が戻ってくるのは、事故後しばらく経ってからになります。

すぐに支払を受けることはできないため、立て替えの負担が被害者に重くのしかかってくることになるでしょう。

この場合は、先述の通り、上手く健康保険を利用しつつ立て替えを続けましょう。

[参考記事]

交通事故で「健康保険が使えない」は嘘!|ただしデメリットに注意

もしくは、相手方の保険会社に、一括対応をしてほしい旨を伝えてみると良いでしょう。

【「過失割合」に注意】
いざ治療費を支払ってもらう時に、「治療費を払ってください」「あなたにも過失があるから、全額こちらが負担するのはフェアではない」というような議論になってしまうことも往々にしてあります。
怪我人が発生した事故の場合、警察が事故の状況を詳細に記録した「実況見分調書」を作成します。その調書や、関係者への聴取などをもとに事故の状況を検証して、「過失割合」を決める必要があります。
例えば、治療に100万円かかったと仮定しましょう。
過失割合が 加害者:被害者=8:2となった場合、100万円のうち加害者が負担すべきは80万円。残りの20万円は被害者が負担すべき、という結論になります。
過失割合が少し違うだけで、被害者の負担額は大きく変化します。提示された過失割合に納得がいかない場合は、専門家に相談することをおすすめします。
参考:過失割合に納得いかない場合はどうすればいいのか?

3.交通事故で怪我をしてしまったら弁護士へ相談を

交通事故の治療費は、基本的に加害者が加入している保険会社が負担します。

ただ、「被害者が立て替え払いを都度行い、その分をあとから保険会社に補填してもらう」という形になることもあります。
立て替えの費用負担が大きい場合は、健康保険を利用しましょう。

また、過失割合等によっては、全額戻ってこない(任意保険会社の提示額が少ない)ことも考えられます。

交通事故で受傷してしまった場合、正当な治療費(示談金)を受け取るためには、一度弁護士にご相談ください。
交通事故の解決実績豊富な泉総合法律事務所の弁護士が、被害者の方の利益を守るため、誠心誠意サポートいたします。

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