慰謝料・賠償金 [公開日]2018年3月12日[更新日]2020年6月26日

当て逃げされたら泣き寝入りしかない?犯人は捕まる?保険は下りる?

自動車に事故はつきものです。こちらに過失がなくても、相手の過失で事故の被害者となることがあります。

コンビニやスーパー、マンションの駐車場、信号待ちの交差点や、狭い路地、さまざまな場所で車をぶつけられてしまう可能性があります。

場合よっては、車をぶつけた相手がそのまま逃走してしまうことや、「用事を済ませて戻ったらコインパーキングに止めていた車がぶつけられていた」ということもあるかもしれません。

このような「当て逃げ」の被害に遭ったときには、どのように対応したらよいのでしょうか。

1.当て逃げされたら初期対応が大事

当て逃げされてしまったときには、「初期対応」が非常に重要です。
注意すべきポイントは次の通りです。

  • 慌てずに安全を確保する
  • 警察に通報(110番通報)
  • 必要な情報を記録する、収集する
  • 保険会社に連絡する

(1) 慌てずに安全を確保する

運転中の事故のときには、慌てないことが大切です。
突然の出来事にパニックになったまま運転を続ければ、さらに事故を連鎖させてしまう危険性もあります。

「逃げる加害者を追いかけたい」と焦る気持ちもあるでしょうが、安全確保が最優先です。

(2) 警察に通報し被害届を提出する

当て逃げされたときには必ず警察に通報して被害届を提出し、交通事故証明書を発行してもらいましょう。

「交通事故証明書」がないときには、保険が下りない場合もあります。

また、事故の届け出をしておけば、後日加害者が警察に出頭した際に、後の手続がスムーズに進みます。

[参考記事]

交通事故証明書の内容・取り方・後日届け出る場合の注意点

(3) 事故の状況・相手の情報を記録・収集する

当て逃げの加害車両を目撃したときには、ナンバー、車種や車体の色といった「相手の特定につながる情報」を記録しておきましょう。
事故発生時や現場の状況についても、できるだけ記憶が新しいうちにメモに控えておきましょう。

後に保険の手続で、交通事故の状況を報告する書類などを作成する必要が生じたときに役立ちます。

また、当て逃げされた現場には、目撃者や防犯カメラがあるかもしれません。

目撃者がいたら、連絡先を確認し、情報の提供を受けましょう。防犯カメラがある場合には、その管理者への問い合わせ方法を確認しておくのもよいかもしれません。

さらに、車載するドライブレコーダーに加害車両のナンバープレートが映っていれば、重要な証拠となり得ます。

[参考記事]

ドライブレコーダーの証拠能力。交通事故でどれほどの効果があるか

(4) 保険会社に連絡する

当て逃げの加害者を特定できないときは、車の傷やへこみは、自分の自動車保険(車両保険)で対応することができます。

上記の措置を済ませたところで保険会社に連絡するとよいでしょう。

2.修理代などの損害賠償を請求する方法

物損事故である当て逃げの場合には、「車両の修理代」か、修理代が自動車の時価を上回る場合は「全損時の車両評価額」を加害者に請求することができます。

ただし、現在の裁判例に照らせば、自動車の物損では「思い入れのある車」が当て逃げされたとしても慰謝料が認められることは難しいでしょう。

物損事故の修理代などについては、次の4つの方法で対応することが考えられます。

  • 加害者の自動車保険(任意保険)から支払いを受ける
  • 加害者に直接請求する
  • 自分の自動車保険(車両保険)から補填を受ける
  • 保険の等級が下がるのを避けるために修理代は自己負担する

(1) 加害者が見つからなければ修理代は自己負担か車両保険で補填

警察に被害届を出すことで加害者を捜索してもらうことはできますが、実際には加害者の特定に至ることは難しいことが多いようです。

残念ながら当て逃げの検挙率は公表されていませんが、平成30年のひき逃げ事件の検挙率が60.8%(※)ですから、これより低いことは確実でしょう。
※「4-1-1-5図 ひき逃げ事件発生件数・検挙率の推移」犯罪白書平成元年版

加害者を特定できないときは、修理代は、自己負担か自身の車両保険で補填することになります。

ただし、日本損害保険協会の調査によると、車両保険の加入率は45.1%(2019年3月末現在)で車両保険には加入していない車の方が多いため、まずは、ご自身の自動車保険の契約内容を確認しましょう。

【車両保険に入っていても当て逃げ修理代に使えない場合】
もっとも、車両保険に入っていても、「当て逃げの修理」には使えない場合があります。
補償範囲が限定されている「車対車限定+A(エコノミー)特約」が付帯された車両保険は、当て逃げ事件では利用できません。

車両保険に設定された免責額は自己負担

車両保険の契約では免責額を設定する場合があります。免責額とは、車両保険を用いて修理する際の「自己負担額」のことです。

たとえば、100万円の修理代が必要な際に、免責額10万円の車両保険を適用すると、90万円を受け取ることができます。

また、当て逃げで生じた傷が「小さな擦り傷」で、修理代が免責額以内に収まるときは、修理代は全額自己負担となってしまいます。

古い自動車の場合には補償額が下がる場合も

車両保険による補償は、車両保険金額が上限となります。この車両保険金額は「時価」で決まります。

大規模な修理が必要なケースでは、修理費が車両保険金額を超えるケースもあるかもしれません。
しかし、多くの車両保険には、「車両保険価額協定保険特約」が付帯されています。

この特約が付帯されていれば、事故当時に車両の時価価額が下がっていても契約当初の保険金額までは補償されます。

車両保険を使用すると保険料が上がる

当て逃げの場合でも、車両保険を使用すると翌年度の等級が3つ下がるため、保険料が上がってしまいます。

保険会社に照会すれば、車両保険使用の有無での保険料の違いは教えてもらえます。

保険料が上がる額と修理費用とを比較した上で、利用の可否を決めるとよいでしょう。

(2) 保険の利用前に加害者(犯人)を特定できた場合

後日、当て逃げの加害者が見つかる確率は、ないわけではありません。
保険を利用して車を修理する前に、加害者が見つかり、その加害者が任意保険に加入していれば、修理代などを任意保険会社に請求することができます。

しかし、事故を起こした加害者が逃走したのには、「任意保険に加入していない」という理由も考えられます。

上でも紹介した日本損害保険協会の調査によれば、対物賠償保険の加入率は74.9%です。
「未保険車」は一般の方が想像している以上に存在します。

加害者が任意保険に加入していないときには、加害者本人に直接請求しなければなりません。

【当て逃げした加害者との示談交渉は自分で行う必要がある】
当て逃げした加害者(の保険会社)への請求は、被害者自身が行う必要があります。
被害者の保険会社は、「契約者が無過失」の事故での損害賠償請求を代行する権限は持っていません。
保険会社はあくまでもこちらに過失があるときに、「こちらが支払う賠償金の交渉」を行うに過ぎないからです。

自分で加害者に請求することが難しい場合には、「弁護士に依頼する」ことも選択肢の1つかもしれません。
しかし、「物損事故の損害賠償請求」を弁護士に依頼すると、賠償額より弁護士費用の方が高くなるケースがほとんどでしょう。

契約している任意保険に「弁護士費用特約」がついていれば、このような場合でも弁護士費用を自動車保険から捻出することができます。

なお、当事務所では、人身損害の無い、民事上の物損事故のみのご相談やご依頼はお受けしておりません。

(3) 保険を利用した後に加害者が特定できた場合

「当て逃げ」のケースでは、すでに保険を使って車を修理してから加害者が見つかることもあり得ます。

この場合には、原則として被害者が加害者に修理代を請求することはできません。
すでに車両保険から修理代(保険金)を受け取っているため、修理代を請求できる権利が、保険会社に移転しているからです。

しかし、加害者への請求権は、「保険金が支払われた限度」で保険会社に移転しているので、免責額の設定があるときや修理費用が補償金額を超えたとなど「自己負担分」については、加害者に請求することが可能です。

3.まとめ

「当て逃げ」された場合には、「泣き寝入り」に近い処理となってしまうことが少なくありません。
加害者が不明であれば、弁護士でもお力添えできないことの方が多いからです。

保険内容の見直しや、ドライブレコーダーを導入する等の当て逃げ対策をすることで加害者の逃げ得にならないようにすることも大切です。

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