交通事故傷害保険とは?加入しておくメリットとデメリット

【この記事を読んでわかる事】
- 交通事故傷害保険とではどんなことを補償してくれるのか?
- 交通事故傷害保険に加入しておくメリットとデメリットは?
- 自分は交通事故傷害保険に加入するべきなのか?どんな人が向いているか?
「交通事故に遭った際、保険の補償内容に納得いかなかった」
「子どもたちや家族のために、交通事故に備えたい」
このようなお気持ちで、今後の交通事故被害に備えたいと思っている方も多いでしょう。
交通事故被害に備えるなら、「交通事故傷害保険」がおすすめです。
交通事故傷害保険と聞くと、いわゆる車の交通事故の補償だけと思いがちですが、実は自転車事故や日常に潜む事故にも対応しています。
そのため、万が一の事故のために保険を検討しているという方にもおすすめできます。
もっとも、そもそも交通事故傷害保険をよく知らないという方も多いでしょう。一般の傷害保険とは、補償範囲も異なりますが、お値段が安く入りやすいのが特徴です。
そこで、今回は交通事故傷害保険を解説いたします。交通事故傷害保険の概要から、補償内容、メリット・デメリット、そしてどんな方に向いているかまで、ご説明します。
実際に事故に遭ってからでは補償されませんので、今のうちに加入を検討しておきましょう。
1.交通事故傷害保険の概要
(1) 交通事故障害保険ってなに?
では、交通事故傷害保険とはどのような保険なのでしょうか。
交通事故傷害保険とは、交通事故によるケガを中心的な内容とする傷害保険の1つです。
名前としては知らない方も多いかもしれませんが、傷害保険の中でも代表的なものとして扱われています。
平成29年度の警察庁の交通事故統計によると、交通事故発生件数は47万2165件、負傷者数58万847人、死亡事故数3630件となっています。
平成16年度を境に、事故数自体は減少しつつあるものの、交通事故の危険はいまだに身近に存在しています。最近では、自転車事故の件数も報告されるようになり、交通事故に対する意識が日に日に高くなっています。
このような状況から考えると、交通事故被害に備える保険がメジャーなものとして扱われているというのも納得でしょう。
「交通事故傷害保険」というと、交通事故のみを補償の対象としていると思いがちですが、実は、建物・乗り物火災などによるケガも補償内容の1つです。
例えば、自転車事故やエレベーターでの事故でも保険がおります。交通事故傷害保険にすでに加入している方・これから加入する方は、他の事故にも対応できることを覚えておくと便利かもしれません。
日常の事故に備えたい方におすすめできる内容となっています。
(2) 交通事故傷害保険の特徴
最大の特徴は安さと補償範囲
では、交通事故傷害保険にはどのような特徴があるのでしょうか。
交通事故傷害保険の特徴としては、次の2つが挙げられます。
①交通事故でのケガに対応している
まず、交通事故でのケガに対応しているということです。
ドライバーの方のほとんどは、自賠責保険だけでなく任意保険にも加入されているでしょう。
任意保険加入の主な目的は、自分が交通事故を起こし、被害者を出してしまったときに十分な補償をすることです。任意保険に入っていれば、多額の損害賠償にも対応できるため、念のためには入っている方が多いはずです。
そして、自分が交通事故被害に巻き込まれてしまったときは、相手方の保険が対応してくれます。
しかし現実には、相手方が任意保険に加入していないということもあり、十分な補償が受けられないこともあるのです。
そんなときでも、自ら交通事故傷害保険に加入していれば、通院費用などはまかなうことができ、万が一に備えることができます。
②傷害保険より安い
交通事故傷害保険は、一般的な普通傷害保険よりも価格が安く設定されています。これは、傷害保険よりも補償範囲が狭いことが理由の1つとなっています。
もっとも、先ほどお話したように交通事故だけでなく、建物・乗り物火災などによるケガにも対応しているため、日常生活に起こりうる危険はある程度カバーすることができます。
このように、交通事故傷害保険は、補償範囲が狭いため価格が安く設定されています。
もっとも、意外にも補償範囲が広いことも隠れた特徴といえるでしょう。
(3) 一般的な傷害保険との違いは、補償範囲にある
では、一般的な傷害保険との違いはどこにあるのでしょうか。
まず、一般的な傷害保険とは、「普通傷害保険」のことを指します。
普通傷害保険とは、急に起こった事故によりケガを被った場合、死亡に至った場合を想定して作られた保険です。外で起きた事故だけでなく、家の中や職場で起きた事故にも対応しています。
他方、交通事故傷害保険は、交通事故と建物・乗り物火災に対応したものであるため、補償内容の広さが異なります。
どちらが一概に良いというわけではなく、各人が希望する補償内容を含んだものを選択する必要があります。
交通事故傷害保険は、家の中で起きた事故、例えば包丁で誤って指などを切り落としてしまった場合などには対応していません。
突然起きたあらゆる事故に対応しているのが普通傷害保険、乗り物に関する事故・火災事故に対応しているのが交通事故傷害保険を覚えておけば良いでしょう。
もっとも、交通事故傷害保険も普通傷害保険も同じ傷害保険ですから、共通点もあります。
生命保険や疾病保険などでは、健康診断が必要となりますが、傷害保険の場合はこれが必要ありません。簡単な告知のみで加入できるという特徴があります。
また、賠償責任特約などが追加出来る点も共通しています。
このように、一般的な傷害保険とは補償範囲の広さが異なります。ご自身の好みに合わせて選んでみましょう。
2.交通事故傷害保険の補償範囲
次は、交通事故傷害保険の詳しい中身についてみていきましょう。
(1) 補償範囲は「交通乗用具」に関連するもの
では、交通事故傷害保険の補償内容はどうなっているのでしょうか。
交通事故傷害保険は、大手の保険会社であれば見つけることができます。内容として大きな違いはありません。
補償内容としては、死亡保険金、後遺傷害保険金、入院保険金、手術保険金、通院保険金などが主な補償内容であり、個人賠償責任・ファミリー補償型などが付帯できるようになっています。
そして、どのような事故に対応しているかについては、どのような乗り物に対応しているかをチェックするのが早いでしょう。以下、詳しく見ていきます。
まず、交通事故傷害保険で補償されるのは、日本国内外で、自動車、バイク等の「交通乗用具」に搭乗中、あるいは「交通乗用具」との接触事故、衝突事故、火災事故によるケガ、死亡・行為傷害に至ったケースにおいてです。
次に、上記に出てきた「交通乗用具」という言葉について説明します。
交通交通乗用具とは、交通事故傷害保険の普通保険約款5条に規定されているものです。
簡単にいうと、日常生活に用いる交通のための乗り物を指します。電車、自動車、バイク、原付自転車、自転車、船舶、飛行機、モノレール、ケーブルカー、ロープウェーなどが主な例となります。
これら以外にも、エレベーターやエスカレーター、ベビーカー、障害者用の車椅子なども含まれます。
例からわかる通り、日常生活で使用する乗り物の事故のほとんどが交通事故傷害保険の補償対象となります。
また、これらに乗車中でなくとも、これらに乗車中の人との接触・衝突事故に巻き込まれてば、補償の範囲内となります。
もっとも、飲酒運転などをしていた場合には、補償の対象外となってしまうことがありますので、注意が必要です。
このように、日常生活のあらゆる乗り物での事故をカバーしています。もっとも、補償対象外とされるケースもあるため、契約の際にしっかりと確認するようにしてください。
(2) 具体的な補償例
では、どのようなケースで補償されるのでしょうか。
上述した乗り物例から、乗り物による事故について補償が行われることは理解していただけたと思います。しかし、実際にどのようなケースで補償されるのかはイマイチ理解しにくいです。
代表例としては、以下のようなものがありますので、ご覧ください。
- 車、原付自動車、バイク、電車、自転車事故でのケガ
- バス乗車中の急ブレーキによるケガ
- エレベーターの故障によるケガ
- 火災によるケガ(建物内・乗り物内に限る)
- 道路上の落下物によるケガ(乗り物乗車中、歩行中を問わず)
- 土砂崩れ・がけ崩れなどによるケガ
公共交通機関を利用する場合はもちろん、自家用車、自転車等で出会い頭に人とぶつかってしまうなんてことはよくあります。交通事故傷害保険は、このような事故にも対応しています。
これからの季節は気候もよく、イベントやレジャーに出かける方も多いと思いますが、ハイキング中の土砂崩れ・がけ崩れによる事故にも対応しています。
このように、さまざまな事故事例に対応しています。ベビーカーを毎日使用している方にも対応しているため、幅広い事例で活用していただけるでしょう。
3.傷害保険と交通事故傷害保険どっちにすべき?
次に、交通事故傷害保険のメリットとデメリットをご説明します。
最また、後には普通傷害保険と交通事故傷害保険で迷っている方のために、交通事故傷害保険に向いている方についてもご説明します。
(1) 交通事故傷害保険のメリット
まずは、交通事故傷害保険のメリットをご説明します。
①普通傷害保険よりも安い
交通事故傷害保険の最大のメリットは価格が安いことです。月々300円程度から加入可能なものもあります。
普通傷害保険であれば、4000円程度〜かかるものが多いため、月々の負担を軽くできるという意味では、最大のメリットといえます。
②大きな事故による日常の怪我に備えられる
次に、意外と補償範囲が広いことです。日常で起こる事故のほとんどは、自動車や自転車などの乗り物に乗っているとき、あるいは相手方が乗車中に起きます。
そのため、乗り物に関する事故の傷害補償をつけていれば、日常生活の危険のほとんどをカバーできることになります。
もちろん、すべてはカバーできませんが、大部分で補償してくれるのは大きいでしょう。
③近年増加する自転車事故に備えられる
近年自転車事故が増加しているといわれています。
乗車中のスマホ操作などが原因で、自転車事故が増えているともいわれていますが、本当のところは昔よりも自転車事故の認知度が上がっているというのが実情です。
自転車事故に対する啓蒙活動も盛んであるため、自転車を想定した保険を検討する方も増えています。
自転車事故については自転車のみに対応した保険ではなくとも、交通事故傷害保険で対応できます。
このように、交通事故傷害保険の主なメリットは3つです。
屋内でのケガは軽症であることが多いことを考えると、屋外の事故に備えた交通事故傷害保険で十分と考えることもできます。
(2) 交通事故傷害保険のデメリット
では、交通事故傷害保険のデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
①病気は補償してくれない
まず、当たり前と言われそうですが、病気に対する補償はしてくれません。
事故と関係なくなんらかの病気に罹患された場合は、医療保険が必要となります。
交通事故傷害保険はあくまで傷害事故の補償をする保険であり、病気に対する保険は別に加入することになります。
②通院補償が少ないものがある
交通事故傷害保険の補償には、死亡・後遺傷害補償、入院一時金、入通院補償、個人賠償責任などがセットになったものが多いのですが、補償内容で見るべきポイントは、入通院補償です。
というのも、最近では通院費用に関しては、補償がない会社や少ない会社も増えているためです。
限度日数についても、90日程度〜が一般的でしたが、30日と少なく設定されているものもあるのです。
通院給付金の料率が高くなっていることが原因といわれていますが、各保険会社によって異なるため定かではありません。
そのため、入通院に関する項目が十分な補償内容かどうかをチェックした上で、契約を行う必要があります。
③加入中の保険内容を被っている場合も
意外とよくあるのが、加入中の保険内容と新規の保険内容が被ってしまっているケースです。
すでに加入中の保険で、交通事故傷害保険もカバーしているケースもあります。
普通傷害保険に加入中の方は、2つとも加入する必要はありません。乗り換えを検討される方は問題ありませんが、現在加入中の保険内容をしっかり確認した後で、新規保険加入を検討することをおすすめします。
交通事故傷害保険は、価格設定の低い保険であることが大きなメリットの1つです。損をしないように、現在加入中の保険内容と照らし合わせて加入を検討しましょう。
このように、交通事故傷害保険は、事故に対応した保険であることが前提です。保険内容が被っている場合もありますので、先に現在加入中の保険内容を確認するようにしましょう。
(3) 交通事故傷害保険に向いている人は?
最後に、普通傷害保険と交通事故傷害保険のどちらを選ぶべきかについてご説明します。
どのような方が交通事故傷害保険に向いているのでしょうか。
まず、「傷害保険には入ることに抵抗がある方、あるいは未加入の方」に向いています。
現在、傷害保険には入っていない方は、金額面や必要性から加入の必要性はないと判断した方が多いのではないでしょうか?
そんな方にこそ、交通事故傷害保険がおすすめです。なぜなら、安く加入できるからです。
毎月数千円を払うことには抵抗があっても、「数百円なら払ってもいい」という方は多いでしょう。そのため、現在普通傷害保険に加入していない方で、不安を感じている方には向いている保険といえます。
次に、「交通事故被害者になってしまったときの補償を手厚くしたい方」です。
交通事故被害に遭ってしまったときの補償が心配という方は意外と多いはずです。
残念ながら交通事故被害に遭った方の中には、加害者が任意保険に加入しておらず、実質的に損害賠償額が少なくなってしまった方もいらっしゃいます。そんなときでも、自分で備えておけば安心です。
交通事故被害に遭った時は、精神的にも参ってしまいます。そんなときこそ、少しでも安心してもらえる補償が必要になるものです。
そのため、被害に遭ったケースに備えて、補償を手厚くしたい方には向いています。
最後に、「子どもたちや家族の自転車事故に備えたい方」にもおすすめです。
現在、自転車保険というネーミングで販売されている商品のほとんどは、この交通事故傷害保険です。
自転車保険の内容をみると、乗り物は自転車に限定されていないことがわかります。
子どもが自転車に乗り始めた、夫・妻が通勤で自転車に乗るようになったという方は、ご家族のために現在加入中の保険にプラスして補完することができます。
そのため、安く加入できる交通事故傷害保険は自転車事故に備えたい方に向いています。
このように、上記3つのタイプの方で、保険の加入を検討されている方には、交通事故傷害保険が向いています。交通事故傷害保険よりもさらに充実した補償が受けたい方には、普通傷害保険が向いています。
4.交通事故傷害保険を賢く利用。交通事故で困ったら弁護士へ
交通事故傷害保険は、名前よりも広範囲を補償してくれる保険です。交通事故被害に遭ったときに備えて、加入を検討してみることがおすすめです。
被害者として交通事故に巻き込まれ、被害者に過失が一切なかった場合でも、自分が加入する保険の補償が受けられます。また、最近ニュースでも多い自転車事故は、損害賠償金が1億円近くという高額な事例も発生しています。
個人賠償責任などもカバーした保険に入っておかないと大変なことに巻き込まれてしまう可能性もあるため、注意が必要です。
もっとも、保険はすべての事例において、補償してもらえるものではありません。思っていたように保険が降りず、任意保険会社との交渉でもめてしまうこともあるでしょう。
トラブルが発生した場合には、専門家である和泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。交通事故被害に遭われた方のために、全力でサポートいたします。