自動車保険 [公開日]2020年3月11日

自賠責保険の基本|120万円の内訳と限度額を超えた場合の対処法

自賠責保険は強制加入の自動車保険であるため、交通事故の被害者としてはこれを頼りにしている方も多いと思います。

しかし、事故後に調べてみたら、自賠責保険から支払われると思っていたものが「実は適用対象外だった」というのは珍しくないです。

今回は、自賠責保険とその保障内容についてご説明します。
自賠責保険の概要から保障内容、120万円を超える場合の対処法、自賠責保険が適用されないケースまでわかりやすく解説いたします。

1.自賠責保険とは?

まずは、自賠責保険の概要と保障内容についてご説明します。

(1) 自賠責保険とは

ドライバーの方なら皆さん加入されているのが「自賠責保険」です。
自賠責保険は、「自動車損害賠償責任保障」が正式名称であり、自動車損害賠償保障法という法律に基づき制定された強制加入の保険です。国が設置した自動車事故被害者のための保険であるため、全てのドライバーに加入が義務付けられています。

仮に加入していなかったり、期限切れのまま運転したりすると「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」が課せられる可能性があります。
また、保険証を携行せず運転した場合でも、30万円以下の罰金が課せられる可能性があります。

そのため、自賠責保険の期限が切れていないかどうかは、交通事故に遭った方だけでなく、ドライバーの全員が気をつけなければいけないことです。

(2) 自賠責保険の保障内容

ここでは、自賠責保険の適用範囲についてご説明します。

まず、知っておくべきは、自賠責保険が保障するのは対人の事故の人身損害部分のみです。具体的には、物損に対しては補償されません。

次に、保障金額についてです。
まず、当該交通事故による傷害に対して出る保障は、120万円が上限となっています。怪我の治療費や慰謝料は120万円までということです。

また、被害者が死亡した場合は、治療費や慰謝料、葬儀費用も含めて3,000万円まで保障されます。
後遺障害が残った場合には、治療費と逸失利益で最大4,000万円までの保障です(最も重症な1級認定の場合)。

金額だけ見ると十分に感じる方も多いかもしれませんが、実際には全ての損害を自賠責保険でカバーすることは難しいと考えられています。
よって、多くの方が、任意保険にてカバーするという対応をとっています。

任意保険と自賠責保険の違い。両方に加入しておくべき理由とは?

[参考記事]

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自賠責保険の保障は限定的であり、被害者としてはこれだけで全ての損害が保障されるとは考えない方が良いでしょう。

2.自賠責保険の限度額120万円を超えた場合

交通事故による出費で一番気にかかるのは治療費、という方も多いでしょう。日に日に積み重なる治療費が生活を圧迫することも多いためです。

自賠責保険の傷害の限度額は120万円ですが、これを超えないようにすべきなのでしょうか?また、120万円を超えたらどうすれば良いのでしょうか?

(1) 120万円は超えないようにした方が良いのか

先にご説明した通り、自賠責保険の傷害の保障限度額は120万円です。これ以上の治療費がかかるようなことがあったとしても、自賠責保険はそれ以上被害者の保障をしてくれないのが現実です。

また、この120万円の内訳は、治療費だけでなく通院交通費、入通院慰謝料など全てが含まれた合計の限度額となっています。そのため、よほど軽傷でない限り、120万円を超える方がほとんどです。

超えた分が自費になることをおそれ、「120万円を超えないように治療も制限したほうが良いのでは?」と考える方がいますが、これは適切とはいえません。
というのも、現在では、ほとんどのドライバーが任意保険に加入しているからです。そして、事故比較的早い段階で任意保険会社が対応することがほとんどです。

この場合、120万円を超えても、任意保険でカバーしてもらうことが可能であるため、この点を気にし過ぎて治療を制限すべきではありません

もちろん、必要のない治療や通院は控えるべきですが、痛みがある場合や治療がまだ必要な場合は、医師の指示のもと、きちんとした治療を受けるようにしてください。

(2) 限度額の120万円を超えるデメリット

限度額の120万円を超えてしまった場合でも、先にご説明した通り加害者が任意保険に加入していれば問題ありません。120万円を超えた部分については、任意保険会社が支払ってくれるでしょう。

もっとも、注意すべき点はあります。
すなわち、任意保険会社も慈善事業ではないため、できるだけコストを下げようと努力しています。つまり、被害者との示談金はできるだけ低い金額で抑えたいのが本音です。

多くの保険会社は適切な金額を支払ってくれますが、治療費が嵩んでいくと、保険会社の負担が大きくなるため、「治療打ち切り」を促してくるなどの対応をすることがあります。

しかし、痛みが残る場合には、医師と相談し、治療が必要との意見であれば、治療を続けることも検討してください。治療の終了に関しては、検討の上で決めるべきであり、必ずしも保険会社の言いなりにならないようにしましょう。

【一括対応で信用できない場合は、被害者請求に切り替えを】
最近では、加害者が任意保険に加入する場合に、「一括対応」といって、任意保険会社が自賠責保険の賠償を請求し、任意保険と一括で被害者に立替払いをするケースが増えています。
一括請求は、当事者の手続き負担がないため、被害者・加害者どちらにとっても便利ですが、場合によってはそれだけに委ねていると被害者に不利になることもあります。 
例えば、治療が長引いている場合、任意保険会社は自身の負担を減らすために治療費の打ち切りを打診してくることがありますので、打ち切られた後の部分について示談前に早期回収するために行うという方法もあります。 
したがって、場合によっては、被害者請求(被害者が直接加害者の加入する自賠責保険に請求することができる方法)を行うなどの対処が必要です。 
参考:交通事故の治療費支払いは被害者の立て替えなのか?

また、加害者が任意保険に加入していない場合は、加害者本人が限度額を超えた部分につき負担することになります。

任意保険未加入事故の被害者に…。損害賠償は受けられるか?

[参考記事]

任意保険未加入事故の被害者に…。損害賠償は受けられるか?

加害者に十分な資力があれば問題ありませんが、任意保険に加入していない人の多くはその逆です。
そのため、十分な治療費、慰謝料が支払われない可能性があります。この場合は、治療費は健康保険を利用するなどの対処が必要です。

[参考記事]

交通事故で「健康保険が使えない」は嘘!|ただしデメリットに注意

このように、120万円を超えても通常は問題ありませんが、定期的な治療をきちんと続けるなどの注意は必要です。

3.自賠責保険が支払ってくれないケース

最後に、自賠責保険が適用除外をするケースについてご説明します。

自賠責保険の適用範囲として、人身事故に限られる点はすでにご説明しました。
したがって、先述の通り、物損です。人身被害者の救済を目的としているため、物の損害に対する保障は一切行われません。ガードレールが破壊されたなどの場合でも、この修理費は自腹か任意保険で保障されることになります。

しかし、適用されないケースはこれだけではありません。具体的には、以下のケースで適用除外となります。

【自賠責保険の適用除外事例】
・物損事故
・事故を起こした本人の怪我、財産の補償
・交通事故で怪我をした相手方に100%の過失がある場合

次に、加害者自身が怪我を負った場合です。
もっとも、例えば、ドライバーが事故を起こし、ドライバーだけでなく同乗していた家族が怪我をしたケースはどうでしょうか。このうち、加害者の家族のケガは加害者以外の人身事故に当たるので、原則として自賠責保険が適用されます。

しかし、ドライバー自身は加害者であるため、自身の怪我の治療費は自賠責保険によって保障されません。保障されるのは、同乗していた家族の治療費、慰謝料、休業損害などに止まるのです。

最後に、怪我をした相手方に100%の過失がある場合です。この場合、被害者とはいえないため、自賠責保険の目的にそぐわず補償の対象外となります。

4.任意保険会社に不満があれば弁護士にご相談を

「加害者側の任意保険会社に全ての対応を任せていたけれど、損害賠償額などの交渉で相手方に不信感を抱くようになってきた」というケースは少なくありません。
示談交渉がスムーズに進まない、賠償金をいくらもらえるのか不安、などと感じたら、弁護士に相談するべきタイミングといえます。

交通事故で保険会社の対応に不満…。弁護士に交渉を任せれば解決する!

[参考記事]

交通事故で保険会社の対応が悪い!連絡がない!

弁護士に依頼すれば、面倒な保険会社とのやりとりからも解放されて治療に専念することができ、交渉の場で有利に立つことも可能です。
自賠責保険でカバーしきれない損害についても、任意保険会社から適正な額を受け取れるように弁護士が交渉いたします。

交通事故被害者で任意保険会社に不満がある方は、泉総合法律事務所にぜひ一度ご相談ください。

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