自動車保険 [公開日]2020年5月27日

自賠責保険でもらえる慰謝料金額と計算方法

交通事故の被害者になってしまった場合、適切な賠償金額を受け取るには、どの保険(自賠責保険・任意会社保険など)からどれくらいの慰謝料を受け取れるかなどを把握しなければいけません。

しかし、自分で調べようにも制度がややこしく「一体総額いくら受け取れるの?」と疑問に思う方も少なくないでしょう。

今回は、交通事故の保険の基本である自賠責保険について解説します。
自賠責保険でもらえる慰謝料の金額や、その計算方法を知りたいという方は、是非ご覧ください。

1.自賠責保険で知っておくべき基本内容

まずは、自賠責保険に関する基本的内容について理解しておきましょう。

(1) 自賠責保険の概要

自賠責保険は、自動車損害賠償補償法に基づき交通事故の被害者を救済する目的の保険です。
強制加入であり、車を運転するドライバーは皆さん加入しなければいけません。加入しないで運転すると犯罪になってしまいます。

【自賠責保険のポイント】

  • 人身事故のみ補償
  • 被害者のための保険(加害者の治療費は出ない)
  • 傷害慰謝料は1日4300円
  • 限度額は、傷害:120万円、後遺障害:4000万円、死亡:3000万円
  • 任意保険より補償対象が狭い
  • 治療費など同一補償部分は、自賠責で足りない場合に任意保険から補償される

自賠責保険は「事故に関することならなんでもカバーしてくれる」と思いがちですが、補償されないものも多くあります。

例えば、自賠責保険は人身事故の補償のみ対応しています。車の破損など物への補償はありません。

また、ご自身が追突等100%加害者である場合の怪我の治療費も不可です。これは自賠責保険が被害者に対する補償を目的としているためです。

自賠責の傷害慰謝料は、1日4300円が支給されます(※2020年3月以前の事故は4200円)。

(2) 自賠責保険に通院期間の限度はあるのか

自賠責保険は、自動車損害賠償補償法に基づく支払い基準に沿って補償を行います。

この中で、特に通院期間の限度は定められていません。つまり、通院期間や治療期間が制限されるということはありませんので、心配しないでください。

しかし、これとは別に自賠責保険には「補償限度額」があることは理解しておくべきです。

例えば、事故による傷害に関わる損害では、120万円が限度額です。これには、治療費はもちろん、休業損害や慰謝料も含まれます。

また、後遺障害が残った場合には、後遺障害慰謝料と逸失利益が支払われますが、これは等級に従い75万円〜4000万円までが支払われます。

死亡者が出てしまった場合には、3000万円が補償限度です。葬儀費、逸失利益、本人と遺族の慰謝料合わせてこの金額となります。

ご覧いただいた通り、自賠責には補償限度があるため、自賠責だけでは被害者にとっては十分な補償とならない可能性があります。

(3) 自賠責保険と任意保険は両方受け取れるのか

現在では、多くの方が強制加入の自賠責保険だけでなく、任意保険にも加入されていることでしょう。

日本の自動車保険制度は二重構造と呼ばれています。
これは自賠責保険、任意保険の両方が交通事故の補償を支えているということです。

もっとも、これらの目的は少し異なります。
自動車事故の被害者を救済するという目的は共通していますが、任意保険は加害者となった場合や対物事故(物損事故)の場合にも補償することができる仕組みとなっています。

自賠責保険は強制保険という性質上、最低限の補償のみを実現します。これに対し、任意保険は自賠責でカバーできない広範な対象の保障を実現しているのです。

そして、常に両方から保険料(賠償金)が受け取れるのかというとそうではありません。

傷害に関する損害である治療費、慰謝料などは自賠責でも任意保険でも補償対象です。この場合は、自賠責保険でまず補償を行い、これに足りない部分につき任意保険が支出されます。
つまり、任意保険は自賠責の足りない部分をカバーするものと考えるべきなのです。

(4) 自賠責の損害賠償金はいつ振り込まれるのか

交通事故で怪我を負い、治療が必要になると出費がどうしても多くなってしまいます。
損害賠償金は早く振り込んでほしいところですが、「いつ振り込まれるのか」という答えは、「加害者側の任意保険会社との示談成立後」数日と言えます。

現在、任意保険会社が自賠責保険の負担分を立て替える「一括対応」が主流ですが、任意保険会社との示談が成立していない状態では、賠償金の総額も確定していないため、示談成立前に不確定な賠償金を受け取ることができないのです。

詳しい支払い時期については、以下のコラムをご覧ください。

[参考記事]

交通事故の慰謝料はいつ支払われるのか?

2.自賠責保険の慰謝料の計算方法

皆さんが交通事故の「慰謝料」と呼ぶものには、2つの種類が含まれています。
1つは傷害慰謝料(入通院慰謝料)、もう1つは後遺障害慰謝料です。

  • 傷害慰謝料:交通事故で怪我を負って治療が必要になったことに対する精神的苦痛を賠償するもの
  • 後遺障害慰謝料:交通事故により後遺障害(後遺症)が残ってしまったことに対する精神的苦痛を賠償するもの

自賠責で補償される傷害慰謝料(入通院慰謝料)は1日4300円、後遺障害慰謝料については獲得等級によると先述しました。
具体的には、どのようにして計算するのでしょうか?

(1) 傷害慰謝料

自賠責の傷害慰謝料については、以下の計算方法を用いて計算することになります。

傷害慰謝料=4300円×【治療実日数×2 or 治療期間のいずれか少ない方】

例えば、2020年4月以降の事故で3ヶ月の通院治療で36回の実通院日数だった場合は、30万9600円(4300円×72[36日×2])が傷害慰謝料となります。

(2) 後遺障害慰謝料

自賠責の後遺障害慰謝料については、以下の表が参考にされます。

各等級の症状や認定基準については、「後遺障害」に関する各コラムにて解説しております。

3.整骨院・鍼灸でも治療費・慰謝料は受け取れる?

交通事故ではむち打ち症を発症することも多いため、整骨院や鍼灸などで治療を受けたいということもあるでしょう。
この場合でも、自賠責から治療費や慰謝料は受け取れるのでしょうか?

(1) 整骨院・鍼灸治療でも自賠責から受け取れる

結論から言って、慰謝料や治療費を受け取ることは可能です。
ただし、これには条件があります。それは必ず医師(整形外科など)の同意を得ることです。

整骨院等にいる先生は、医師ではありません。あくまで治療方針を決めるのは病院にいる主治医となります。

医師の指示がないことが後で判明し、治療の必要性・相当性に欠ける場合は損害賠償の対象とならないことがあります。

整骨院等で受けた治療期間につき、治療費、慰謝料ともに計算日数に入れられなくなってしまう可能性がありますので、気をつけましょう。

整形外科と整骨院の同時通院|適正な交通事故慰謝料のために

[参考記事]

交通事故で整形外科・整骨院の併用は可能?慰謝料減額される?

(2) 通院証明書、施術証明書について

整骨院・鍼灸治療を受ける場合、「通院証明書や施術証明書をもらえば、医師の指示がなくても治療費や慰謝料を請求できますか?」という質問が出ることがあります。

結論からいうと、これだけでは不十分です。

何度も言いますが、これらの証明書よりも、前提として「医師の指示」がなければ慰謝料や治療費は支給されない可能性があります。

通院証明書や施術証明書に関しては、緩和治療を受けたことの証明にはなりますが、これで慰謝料や治療費を受け取ることの確証が得られるわけではありません。

そのため、整骨院等に通う場合は、医師に緩和治療を受けたいことを伝え、診療情報提供書を記載してもらい、それを整骨院に渡した上で治療受けるという流れを踏むのが好ましいでしょう。

その上で、整骨院等での治療後に通院証明書や施術証明書を発行してもらいましょう。

ちなみに、整骨院等に通うからといって、病院への通院を止めることはNGです。病院にも定期的に通っていないと、整骨院の治療費について全部または一部払ってもらえなくなる、傷害慰謝料が少なくなってしまう、後遺障害が認定されないなどの不利な状況に陥ってしまう可能性があります。

整骨院等に通う場合でも、病院への通院は定期的に行うことが大切です。

4.慰謝料が少ないと感じる方は弁護士に相談を

自賠責保険は交通事故の被害者にとって最低限の補償をカバーしてくれるものですが、やはりこれだけでは十分な補償は行き届かないことが多いといえます。
慰謝料を増加させたい場合には、任意保険会社と上手く交渉を行う必要があるでしょう。

慰謝料の金額を含め交通事故の損害賠償金の金額に不満を感じたら、弁護士にご相談ください。適正な金額の慰謝料計算や増額交渉を行い、納得のいく解決を目指します。

交通事故でお悩みの方は、是非一度泉総合法律事務所の無料相談をご利用ください。

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